第8回 明るくて勉強になる近畿地方のカルタ
「きんき」の 「き」が書けない!

みなさんはスッと書けますでしょうか?
「きんき」の「き」という漢字を。
「きんき地方」ということば以外では
ふだん、まず使用することのない漢字ですから、
「何へんだっけ? ええと‥‥あ、わかった、きへんだ!」
などという人もいらっしゃるのでは?
きへんではないですよ、部首は「いとがしら」ですよ。
(偉そうに言ってますが調べました)

そういえばニッポンの地名には、
とっさに書けなさそうな難しい漢字が
けっこう使われてますよねぇ‥‥。
そんなことをあらためて思いつつはじまりました、
「カルタ・ド・ニッポン」。
たくさんの投稿をいただいております。
更新日の火曜を中心に、読み札が届いております。
ありがとうございます!

お題・「近畿地方」に届いた読み札から、まいりましょう。
お土地柄でしょうか、
全般的に、明るい作品が多いんです。

親戚に 一人はほしい 大阪のおばちゃん

「大阪のおばちゃん」という存在の
キャラクターの確立ぶりには驚くべきものがあります。
他の都道府県に置き換えてみれば、はっきりしますよ。
「東京のおばちゃん」「山形のおばちゃん」
「和歌山のおばちゃん」「徳島のおばちゃん」‥‥。
ね? それぞれにイメージはわくかもしれませんが、
「大阪のおばちゃん」
ほど明確ではないでしょう?
そして、そのイメージの、元気なおばちゃんは、
ぜひ親戚にひとりほしい!
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」は、共感しました。
キープ!!

驚いた! お好み焼きに ご飯とみそ汁

驚いた!
みそ汁も?!
お好み焼きとか焼きそばをおかずにご飯を食べる
大阪の方々の食スタイルは知ってましたが、
おみそ汁もつくんですか。
そういえば、

・お好み焼き定食、一つ

という読み札も届いていたし‥‥。
定食ということは‥‥おつけものも、つく?
ふしぎだなぁ‥‥。

関西の食べものといえば、こんな読み札も。
あ、こちら、こんかいの「おかぶり札」ですね。

見知らぬ人にも アメちゃん配る

・親分も アメちゃんと呼ぶ 飴玉を

・飴は あめちゃん 芋は おいもさん

相手にあまり負担を感じさせないよう、
ちいさな飴をプレゼント。
「ちゃん」をつけて、
円滑なコミュニケーションの道具に。
関西ならではの素敵な習慣ですねー。

大阪以外の、
近畿の読み札も、もちろん届きました。

・甲子園 大阪じゃないよ 兵庫だよ

甲子園=大阪と思っていた、あなた。
いま、しっかりと覚えましょう。
甲子園は、兵庫県です!

高野山という名の 山は無い

これについては「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」も
おおいなる勘違いをしておりました。
高野山という名の立派な山が、ドシンとあるものだと。
そうではなくて、
和歌山にあるいくつかの山の「総称」、
それが「高野山」だったのですね!

ホンマです 京都と三重は 接してます

続けてこちらも知りませんでした。
Googleマップで確認してみましたら、
ホンマでした、京都と三重はくっついてましたよ!
10kmにもみたない短い境界線で、触れ合うように。
投稿者のメッセージによりますと、
「三重の人も、案外知らない人が多いです」
なのだそうです。

ふしぎな住所 上ル 下ル
京都で道に迷ったら 左折3回 元の道

上ル、下ルという京都の住所とか、
碁盤の目のように走る道路とか、
これらは有名なことですけれど、やっぱりふしぎ。
ことばとしておもしろい「上ル下ル」の札を、
キープさせていただきますね。

滋賀県の半分は 琵琶湖でしょ? って違います!

滋賀県のほとんどは琵琶湖が占めてる、
そんな印象がありましたが、失礼しました。
ほんとうは6分の1程度が湖だそうです。
(それでもすごいです)

‥‥明るい読み札をご紹介しながら思います、
こんかいは、なんだか勉強にもなってますね?
こうなると、
勉強にならない作品にも触れたくなりますね?

・清水の舞台から 道頓堀に飛び込むくらいの 覚悟

どんだけの覚悟!
この2カ所間の距離は50km近くあります。
「飛びおりる」と「飛び込む」を関西くくりで
ひとつにまとめた、おもしろい読み札でした。
でも、いくらか「言いたいだけ札」の香りが‥‥?

ならばいっそ、「お題部門」の最後には、
より「言いたいだけ札」に近い、こちらをどうぞ。

ちゃうちゃうちゃう? ちゃうちゃう ちゃうちゃうちゃうんちゃう?

投稿メールにはこんな「訳文」が。

訳:(犬の)チャウチャウじゃない?
  違う違う、
  チャウチャウじゃないんじゃない?

‥‥あれってたしか、中国の犬だよなぁ、
ふしぎで愛おしいニッポンではないよなぁ、
でもおもしろいなぁ‥‥などと思いながら、
このあたりで
「フリー部門」へとなだれこんでゆきましょうか。

じゃあ学年は 同じだね

キープ!
すばらしい読み札だと思います。

・年齢の 上下にこだわる ニッポン人

という我が国の人々の習性を、
短い「セリフ」の読み札で心地よく表現してくれています。

銭湯ではじめて見る なま刺青

ぎょっとする描写に、ついついキープ。
「なま」ということばに、景色を感じます。
そして、「タトゥ」ではなく「刺青」。
ちょっと懐かしいニッポンを想いました。

銭湯を詠んだ札には、お題・富士山に寄せられた、

・ケロリン洗面器と 壁の富士山

・風呂の富士 描いた人数 知りたいな

という作品も。
ケロリン洗面器、いまでも銭湯にあるのでしょうか?

叩けば直ると 母が言う

たしかに多くの母は、そういうことを言いそうです。
「テレビが映んない? 叩いとき!」
そしてその母の姿には、
「大阪のおばちゃん」を連想してしまいます。

田舎のもてなし 食べきれん

「ぎょうさん食べなあかんやん」
‥‥どうにもこんかいは、
「大阪のおばちゃん」を思い描いてしまいます。
でもこちらは、大阪とは限りませんね。
田舎のおもてなしは、いつだってタップリ。
山盛りの料理に、うれしいけれど困った経験、
だれしもあるのではないでしょうか。
キープ。

しっとりとしたのでは、

・ちょっぴりしあわせ 朝の茶柱

などはいかがでしょう。
ちいさな茶柱にちいさな幸福を感じるニッポン人‥‥。
静かにかわいい読み札でした。

耳かきは 縁側で 膝の上で

ふくよかな膝の上、
耳かきをしてもらっているのは、やはり男性でしょう。
‥‥世界が嫉妬する、ニッポンの男性。

と思えば‥‥。

・都会の真ん中 ホタル族

部屋での喫煙を禁じられた男たちが、
仕方なくベランダでホタルになっています。
‥‥世界が気の毒に思う、ニッポンの男性。

蚊取り線香 焚いてもか 焚いても蚊

しっとりしたまま、夏のムードになりました。
前回、「夏」の札を数点ご紹介したのですが、
夏本番ということで、この季節を詠んだ作品は
引き続き寄せられております。

・雑音と 聞こえぬ不思議 セミの声

・金魚すくい すくいたいのは 熱帯夜

俳句っぽいカルタですけれど、
ジャストシーズンなだけに、響きます。

カレーが美味い ラーメンが美味い 海の家

こんかいは、こんなところで。

みなさま、良きニッポンの夏休みを。
(海外に行かれるかたもおられるでしょうが)

「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」も、
来週は夏休みをとらせていただき、
次の更新は8月21日(火)を予定しております。
順番でいうと次のお題は「中国・四国地方」なのですが、
いつもより間隔があいてしまいますので、こちらはひとつ
「中国・四国地方」を先送りにいたしましょう。

というわけで次回のお題は、

「お祭り」。

ニッポンのお祭りの、ふしぎで愛おしい読み札を募集。
全国のお祭りが対象ですから、
ここまでのお題に出た地方でも、もちろんOK。
各地のお祭り情報や、
お祭りにまつわるあれやこれや‥‥。
題材はたくさんありそうですね。

あわせて「フリー部門」も、どしどしお寄せください!
夏休みの旅先や帰郷先で、
ふしぎで愛おしい日本をみつけたら、
それをそのまま読み札にしてみてはいかがでしょう?

下にあります投稿のルール(仮)を
サラッと読んで、お気軽に投稿してくださいね!
みんなでカルタをつくりますよー!

投稿のルール(仮)

募集するのは「読み札」

カルタは「読み札」と「取り札」に
わかれているわけですが、
当面は「読み札」のほうを募集したいと思います。
七五調や七七調の札がカルタっぽいみたいですよ。

「ふしぎと愛おしい日本」がテーマ

なにを書いてもよい自由な投稿です。
でも「ふしぎと愛おしい日本」というテーマからは
どうぞ、はなれないようにしてくださいね。

どの文字で投稿するかは自由

「いろはにほへと‥‥」の文字のなかの、
どれを選ぶかは今のところ自由です。

部門について

大きくわけて、「お題をテーマにした部門」と、
それ以外の「フリー部門」の投稿を受け付けます。
過去の「お題」を投稿するのもOK。
その場合は「フリー部門」への投稿になります。

ひとつのメールにひとつの「読み札」

いっかいの投稿で送る「読み札」は、
一作品だけにしてください。
ひとつひとつ、集中して吟味したいので。
たくさん思いついた場合は、
何回もメールを送っていただければ大丈夫です。

詠み人しらずの投稿です

『万葉集』のように、というと大げさですが、
“詠み人しらず”の作品を集めたカルタを目指します。
“無名の知”のパワーに期待するカルタを。
なので、投稿者のハンドルネームは発表いたしません。

2007-08-07-TUE
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