第11回 男らしい、九州・沖縄地方のカルタ
九州弁は 七色に光る

ひとくくりに「九州弁」といっても
九州の方言は決して一種類なんかではなくて
7つの県ごとに微妙なちがいがあるのです、という読み札。
これってきっと、東北や近畿などの地方でも
同じようなことがいえるのでしょうね。
でも、そのちがいを、この読み札は
「七色」と表現しているところがかっこいいです。
方言への誇りを感じて、キープ!!

「7つの県」というキーワードでは、

・九州なのに 七県?

という内容の作品を最もたくさんいただきました。
そうです、これが今回の「おかぶり札」です。

「ぜったい、おかぶり札だと思いますが、
 つっこみたくなるんです‥‥」
と、そんなメッセージが添えられた投稿もありました。
気づいちゃうと、つっこみたくなるのでしょうね。
(ちなみに九州の「九」は、
 かつての日本の地方行政区分でこの地域が、
 筑前・筑後・肥前・肥後・豊前・豊後・日向・大隅・薩摩
 という9つにわけられていたことからきている数字です)

というわけで、
今週の「おかぶり札」を確認しつつ、
はじまっております「カルタ・ド・ニッポン」。
お題・「九州・沖縄地方」にも、
たくさんの投稿が届きました、ありがとうございます!
今回は、そうですね、独特で力強い方言の影響でしょうか、
ぜんたいに男らしい読み札が多いような気がしました。

ばってんって ホントに言うの?

ホントなんです。熊本や長崎などで。
他地域の人からすれば、かなりふしぎな日常語ですけど、
ばってん、ほんのこつ、言うとですたい。
(しかしながら、事実として、言うのです)

おいどん とは言わないらしい

こちらは残念ながら使われていないそうで。
「ごわす」もいまは、言わないんですって。

こっちの醤油は あーまいぞ

九州の醤油って、甘口なんですよね。
なんで、甘いんでしょうね?
そんなふしぎが、かわいい読み札になりました。

体育の時間は ヤーと叫ぶ

なんのことかと思いましたら、
福岡の小学校では体育の時間に、
先生の掛け声の後、必ず「ヤー」と叫ぶんですって。
「立ちましょう」「ヤー」
「座りましょう」「ヤー」
へええええ〜、はじめて知りました!!

ヤキソバっぽいのに 皿うどん

ですよね? あれって、あんかけヤキソバ的ですよね?
なぜ、うどん?
まぁ、おいしいからいいのですが‥‥。

ちょっとふしぎな長崎県の読み札では、

・長崎は お墓で爆竹を鳴らす

というのも、すごいです。
長崎ではお盆にお墓で爆竹を鳴らすのが常識なんですって!
「長崎爆竹」っていう、
ふつうの爆竹より音の大きいものまであるとか。

もっこす ってなに?

「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」には、
熊本に住んでいた者もいるのですが、
もっこすの意味を説明するのは、むずかしいそうです。
「がんこだったり意地っぱりだったりする
 熊本男性の気質をあらわす方言なんだけど、
 もっこす以外に的確なことばがみつからないんだよなー。
 もっこすは、もっこすなんだよ!」
とのことで‥‥。

熊本県で、こんな読み札も。

・馬刺しで たてがみ ちょいビビる

名物・馬刺し。
馬のたてがみの部分の脂身‥‥高価だそうです。
値段にビビるんですね。

ぬっ!

きました。
カルタ界の常識をくつがえすような札が届きました!
表記は3文字ですが、発音はほぼ1文字分です。
で、これはなにかというと、佐賀県の方言です。
「寝る!」という意味なんですって。
晩酌でいい気持ちになったおとうさんが、お茶の間で、
「ぬっ!」
と言ったら、それは「寝る!」という意味。
‥‥それにしても、この読み札で
ほんとにカルタ取りをしたら、おもしろそうですね。
「ぬっ!」 「はいーっ!」

佐賀県でもうひとつ。

・佐賀県にもあった ナゴヤ城

正しくは「名護屋城」。
城跡なんですが、もうひとつナゴヤ城があったとは‥‥。

地獄に行けるよ 大分県

別府温泉ですね。ストレートな読み札です。
観光旅行で「地獄めぐり」だなんて‥‥。
そのふしぎさにあらためて感じ入り、キープ。

雪も降る 鹿児島 灰だけじゃない

南国とはいっても、冬には雪が降るんです。
桜島の灰と合わせワザで、キープ。

ちけあげ 食べてみんしゃい

「ちけあげ」って、
「さつまあげ」のことなんですって?!
ごぞんじでした?
しらなかったなぁー。

鹿児島の読み札には、「島」を詠んだのもいくつか。

・種子島 昔は鉄砲 今はロケット

・宝島は 本当にあった!

宝島という名前の島があるんですね、トカラ列島に。
これも、しらなかったなぁー。
ニッポンのカルタをつくろうとしている、われわれ
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」が言うのもあれですが、
ニッポンには、まだまだしらないことが
たくさんあるものなのですねぇ‥‥。

沖縄にいってみましょうか。

市場のブタに サングラスは定番

「沖縄」「サングラス」「ブタ」「市場」あたりのことばで
検索をかけてみると、出てきます、画像も。
ちょっとかわいそうですけれど、
これもまたふしぎなニッポンといえるでしょう。

愛しいものには 「ぐぁ」をつける

投稿者のメッセージによりますと、
「沖縄では、愛しいものには「小」(ぐぁ)をつけます。
 たとえば、まやーぐぁ、いんぐぁ、という具合です」
ということなのですが‥‥
「まやーぐぁ」「いんぐぁ」がわかりません(笑)。

九州・沖縄地方の最後に、
無いとさみしい「言いたいだけ札」を1枚。
小学生レベルの思いつきのようで、かなり「いまさら」で、
でも、なんだかにくめないこの1枚を
そっと忍び込ませておきましょう。

しりもちついて おーいたけん

「フリー部門」まいりますね。

ルールあれこれ マンガで学ぶ

「る」をどんな札にするべきか、
というのはすべてのカルタの重要事項と思われます。
「る」ではじまることば、すくないですから。
「カルタ・ド・ニッポン」には、
こんなみごとな読み札があらわれました。
マンガで学習。
まさしく、ふしぎで愛おしいニッポンの一面です。

礼に終わる ニュース

いわれてみれば‥‥。
ニュース番組の最後は、
キャスターのおじぎで終わることが多いです、よね?
これはニッポン以外ではないことなのでしょうか?
事実だとすれば、ちょっとした発見かも?
キープ? はい、キープ。

DSに 便座に とりあえずカバー

昔は固定電話にカバーをつける家庭もありました。
ブックカバー、布団カバー、座布団カバー、
ランドセルカバー、おむつカバー、ティッシュカバー、
ドアノブカバー、ハンドルカバー‥‥。
汚したくない、傷つけたくないニッポン人は、
カバー好きな人種といえそうです。

壊れてないのに 「なおしといて」

ここにも方言の札が。
「なおす」を「片づける」と理解するかどうかは、
どうやら東西でわかれている様子。
西では「なおしといて」は「片づけといて」。
東では「なおしといて」は「修理しといて」。
ちなみに関東付近では、
「片づける」を「かたす」ということもあります。
「片づける」ひとつでも、こんなに様々‥‥。

・でえれーでけー でーこんじゃ

中国・四国の方言ですね。
訳文がついていました。
「どえらく大きな ダイコンだ」
なるほどー。

・かぼちゃのたいたん

こちらは京都。
「かぼちゃの炊いたもの」という
調理方法がそのまま料理名になっています。
たいたん‥‥ほのぼのとやさしい表現です。

・もんじゃで築いた 土手 決壊

東京下町の料理が出てきました。
そう、最初に具で土手をつくるんです。
土手が決壊すると、溶かした小麦粉があふれちゃって‥‥。

ソース2度浸けは 違反やろ

すっかり有名になりました、
大阪串カツ、ソース2度漬け禁止のルール。
こんな地域ルールが全国的に有名になるということが、
なんとも愉快だなぁ。で、キープ。

江ノ電が 洗濯物をなびかせる

鎌倉と湘南江の島を走る江ノ島電鉄には、
民家が建ち並ぶ中を走る区域があります。
電車の窓から民家が近い。
かと思うときれいな湘南の海がみえる区域があったり。
ふしぎでたのしい電鉄なんです。

お気づきかと思いますが、
過去に「お題」になってきた地方の札が続いています。
届いているのです、引き続き。

・なんにもないこともない 襟裳岬

・ひとボケしないと落ち着かない 関西人

・大阪人 笑いたいより 笑わせたい

というような具合で。
言い忘れたことのある方々は、ぜひご投稿を。

新橋名物 千鳥足

東京名物をご紹介したところで、
今回はおしまいといたしましょう。

千鳥足のように、おぼつかない足取りではじまりました
「カルタ・ド・ニッポン」、
ようやく日本列島を渡りきるところまでまいりました。
すべては、みなさんのたゆまぬ投稿のおかげなのでした。
これからも、よろしくお願いしますね!

次なるお題をお知らせいたします。

「旅行」。

旅です。国内旅行です。
旅にまつわることであれば、お土産とか、温泉とか、
観光地とか、旅館のこととか、なんでもOK。
これはつまり、過去に「お題」となった地方の
読み札になっても構わないということ。
ふしぎで愛おしいニッポンの旅を、募集いたします。
下にあります投稿のルールを軽くお読みいただきましたら、
どうぞ気楽に、ご投稿くださいませ!

来週は、今までのまとめのようなことをやってみようかと、
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」は予定しております。
どうぞ、おたのしみに。

みんなでカルタをつくってしまいましょうか!

投稿のルール(仮)

募集するのは「読み札」

カルタは「読み札」と「取り札」に
わかれているわけですが、
当面は「読み札」のほうを募集したいと思います。
七五調や七七調の札がカルタっぽいみたいですよ。

「ふしぎと愛おしい日本」がテーマ

なにを書いてもよい自由な投稿です。
でも「ふしぎと愛おしい日本」というテーマからは
どうぞ、はなれないようにしてくださいね。

どの文字で投稿するかは自由

「いろはにほへと‥‥」の文字のなかの、
どれを選ぶかは今のところ自由です。

部門について

大きくわけて、「お題をテーマにした部門」と、
それ以外の「フリー部門」の投稿を受け付けます。
過去の「お題」を投稿するのもOK。
その場合は「フリー部門」への投稿になります。

ひとつのメールにひとつの「読み札」

いっかいの投稿で送る「読み札」は、
一作品だけにしてください。
ひとつひとつ、集中して吟味したいので。
たくさん思いついた場合は、
何回もメールを送っていただければ大丈夫です。

詠み人しらずの投稿です

『万葉集』のように、というと大げさですが、
“詠み人しらず”の作品を集めたカルタを目指します。
“無名の知”のパワーに期待するカルタを。
なので、投稿者のハンドルネームは発表いたしません。

2007-09-04-TUE
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