第15回 お風呂のカルタは、ほっかほか
ごくらくは わが家のお風呂に あったんだ

温かいお湯にゆっくりと身を沈めながら、
「あ〜、ごくらく、ごくらく‥‥」
つい、口から出てしまいますよねぇ。
ごくらく。漢字で書けば「極楽」。
何の苦しみもない「楽」の「極み」ということです。
そんなにすごい場所が、わが家にあるなんて‥‥
ニッポン人はしあわせです。
ほのぼのと温かいこの読み札、
キープ箱(下のほうにあります)に収納いたしましょう。

もうもうと湯気のたつ浴室へと向かうような気分で、
今週もはじまっております「カルタ・ド・ニッポン」。
お題・「お風呂」には、
ほっかほかの読み札をたくさんいただきました。

あつっ!

沸かしすぎたようです。
シンプルだけど強い読み札、キープしましょう。

今回、明確な「おかぶり札」はなかったものの、
多かったのが、こうした「お湯の熱さ」の札でした。

父さんの後は 熱い

そうかもしれません。
父さんという人々は、熱いお風呂じゃないと
入った気がしないのかもしれません。
江戸っ子の父さんなら、きっとなおさらでしょう。

熱いぐらいが かっこいい

ニッポンでは一般的に、
熱いお風呂に入る人=かっこいいとされています。
考えてみればふしぎかも。キープしますね。

・落ちるの遅い サウナの砂時計

サウナ風呂の読み札も、熱さをがまんするものでした。
うーーん‥‥
何の苦しみもないはずの「ごくらく」で
「がまん」をする‥‥。
ますますふしぎです、ニッポン人の入浴。

・ニューヨークで 入浴

というような「言いたいだけ札」は、これ1枚。
そして、投稿の9割以上が「お風呂」の作品でした。
「フリー部門」を考える時間を減らしてまで、
入浴に想いを巡らせてくださったわけですね。
お風呂への、みなさんの真剣さが伝わってくる今回です。

肩までつかって とおまで数える

「肩までお湯につかることが大切」、
とされるのは、おそらくニッポンだけではないかと。

・肩までつかって 100数えなさい!

そんな厳しい読み札もありました。
でも最近では、肩までつかるのが
必ずしも良いことではないと言われてますよね。
ぬるめのお湯に、長い時間、
ゆっくりつかるのが健康には良い、と。
‥‥とはいうものの、それはわかっているんだけれど、

半身浴 ほんとは肩まで つかりたい

というニッポン人も、すくなくないようで。
熱いお湯に肩までつかるのって、
それはそれでやっぱり気持ちいいですものねー。

・お背中 流しましょう

愛おしい風習、「背中をながす」を詠んだ札も
何通かいただきました。

ながすと広い お父さんのせなか

お父さんの背中を流してみたら、
思っていたよりも、そこはずっと広くって‥‥。
なんと申しましょうか‥‥
お父さん、よかったですね。

もうお父さんとは 入らない

お、お父さん、大丈夫ですか?!
わかります、わかりますよ、そのダメージ。
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」にも、
娘をもつ父がおります。
さいわい、まだこのようなことは言われてませんが
いつか、そういう日はくるものだと、
それは成長の証なのだと、
今から肝に銘じるようにしております。
がんばりましょう! ニッポンのお父さん!

風呂場では なぜか演歌

ふだんは演歌を歌わないくせに、
お風呂につかると回したくなるものです、こぶしを。

・お風呂で歌うと よく響く

からなんでしょうね。
ごくらく気分で、好きな歌を思いっきり歌える。
お風呂は、最高のカラオケボックスです。

・お風呂でだったら グラミー賞

‥‥失礼しました。こちらのかたは、
ものすごい舞台で、しかも洋楽を歌われていたようで。
お風呂は、最高の妄想ステージです。

うまくできるか お湯鉄砲

おとなになってもやりますね、これは。
「あの石けんに当たるまで!」とか。

おならが 目に見える

‥‥見えます、お風呂では。
でもこれってニッポンだけのこと?
とは思うのですが、すばらしい描写力。
キープせざるをえない一枚でした。

お風呂があんまり気持ちよすぎて、

・お湯を飲んで 目が覚めた

・寝てしまい 鼻から お湯を吸う

・うっかりお風呂で 一晩寝過ごす

なんていう読み札も届きました。
「一晩寝過ごす」以外は
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」も経験ありますが、
危ないらしいですよ?!
お風呂では、眠らないようにしましょうね。

カポーン

この音だけで、そこがお風呂場だとわかる。
ふしぎで愛おしいニッポンの擬音です。

由美かおる そして しずかちゃん


このふたりの名前を並べるだけで、お風呂を連想する。
ふしぎで愛おしいニッポンの美女たちです。
ちなみに由美かおるさんは、『水戸黄門』に、
「かげろうお銀」と「疾風のお娟」という役名で
出演されていますが、どちらの役のときも、
入浴シーンが番組の名物となっております。

内風呂あるのに 銭湯に行く

たまには大きなお風呂につかりたいですよね。
気軽に行くなら、やっぱり銭湯でしょう。

・湯上がりに 腰に手をやり コーヒー牛乳

という、「銭湯で牛乳を飲む」読み札も
たくさん届きました。

白か コーヒーか フルーツか それが問題だ

ことばの並びがおもしろい、
こちらをキープしておきますね。

・壁越しに 放る石けん ナイスキャッチ

「おとうさーん、せっけーん!」と、お母さん。
男湯から、壁をこえてポーンと石けんが飛んできます。
いまはもう見られないかもしれない、
懐かしい風景です。

・平日の 誰もいない銭湯 平泳ぎ

誰もいないならまあ、いいのでしょうが、
どうせなら広い湯ぶねで泳ぎませんか?

・露天風呂で 泳ぐ

そうそう、やっぱり温泉で。
あ、でも、ほかに人がいるときはよしてくださいよ。

・露天風呂への 雪道はキツイ

キツくても、ニッポン人は行くのです。
そこに温泉があるかぎり。

・還暦祝いは温泉でいい と母が言い

母へのプレゼントに、「入浴」を贈る。
そんな国って、ほかにある?

鍵を持つ 彼の方が 長風呂だった

彼とふたりで温泉旅行。
お風呂から早く出ると思った彼に
部屋の鍵を渡したら、彼のほうが長風呂で‥‥。
じわじわと物語が伝わる読み札を、キープ。

湯あたりするほど いいお湯でした

はい、ほんとうに。

たっぷりいいお湯をいただいたところで、
「フリー部門」へと移りましょう。

先にお伝えしましたように、
今回は「お風呂」への投稿がほとんどでしたので、
「フリー部門」はさらりとまいりますね。

雛人形 出すもしまうも タイミング命

前回のお題・「年中行事」に遅れて届いた一枚です。
お雛さまを出す時期が遅かったり、
うっかりしまわずにいたりすると、婚期を逃す。
これって俗説みたいですが、有名ですよね。
信じている人も多いのではないかということで、キープ。

海苔は しっとりか パリパリか

ニッポンの食に関する読み札、今回はおにぎりで。
しっとり派か、パリパリ派か、
たしかに意見のわかれるところ。
パリパリのおにぎりって、コンビニエンスストアで
海苔の湿気を防ぐためにそうしたのが普及のきっかけだと
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」は思うのですが、
どうなんでしょ?

ルール知らねど ガンバレニッポン!

「ニッポンのスポーツ」の読み札です。
オフサイドを知らなくても、ガンバレニッポン!
こういう愛すべき「にわかファン」の存在って、
ニッポン独特のものかもしれませんね。

・値札があっても これなんぼ?!

大阪のおばちゃんを詠んだ札、とのことです。
様々な地域の作品って、やっぱり味わい深いなぁ。

・ひとボケしないと落ち着かない 関西人

こちらも、関西の読み札でした。
最後にもう一枚、どうぞ。

小京都じゃなく 金沢です!

金沢から届いた、誇り高い読み札。
小京都って、日本中にありますよね。
小京都と呼ばれる地域が集まった
「全国京都会議」という団体まであるそうです。
詳しくは例によってウィキペディアをごらんくださいね。

今回のキープ札も、すべてこちらの
「キープ箱」に加えさせていただきました。

キープ箱
※きわめてニッポン的な音がしますのでお楽しみに&ご注意を

「キープ箱」の中身は、毎回更新していきます。
あなたの札が、ここに入りますように‥‥。

それでは、次なるお題を。

「名物」。

ニッポン各地の名物がテーマです。
ついこの前まで地域別のお題でやってきたのに?
と思われそうですが、ここは、あえて。
ご当地な感じの札って、やっぱりおもしろいので、
「名物」というテーマで掘り下げてみたいと思うのです。
名物といえば、
料理、お菓子、特産品、工芸品、行事、観光地、
いろいろですよね。
ふしぎで愛おしいニッポン各地の名物、お待ちしています!
「フリー部門」も、お願いしますよ!

下にある投稿のルールを読まれましたら、
どうぞお気楽に、ご投稿いただけるとさいわいです。
次はたぶん、キープ札が100枚を超えますよ!!

投稿のルール(仮)

募集するのは「読み札」

カルタは「読み札」と「取り札」に
わかれているわけですが、
当面は「読み札」のほうを募集したいと思います。
七五調や七七調の札がカルタっぽいみたいですよ。

「ふしぎと愛おしい日本」がテーマ

なにを書いてもよい自由な投稿です。
でも「ふしぎと愛おしい日本」というテーマからは
どうぞ、はなれないようにしてくださいね。

どの文字で投稿するかは自由

「いろはにほへと‥‥」の文字のなかの、
どれを選ぶかは今のところ自由です。

部門について

大きくわけて、「お題をテーマにした部門」と、
それ以外の「フリー部門」の投稿を受け付けます。
過去の「お題」を投稿するのもOK。
その場合は「フリー部門」への投稿になります。

ひとつのメールにひとつの「読み札」

いっかいの投稿で送る「読み札」は、
一作品だけにしてください。
ひとつひとつ、集中して吟味したいので。
たくさん思いついた場合は、
何回もメールを送っていただければ大丈夫です。

詠み人しらずの投稿です

『万葉集』のように、というと大げさですが、
“詠み人しらず”の作品を集めたカルタを目指します。
“無名の知”のパワーに期待するカルタを。
なので、投稿者のハンドルネームは発表いたしません。

2007-10-03-WED
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