第21回 京のカルタへ、おこしやす
じっくりコトコト 古都 京都

ゆっくりで、ていねいで、あたたかくて‥‥
何て言うのでしょう‥‥はんなりと?
そんな京都のイメージが、
きれいに読み込まれた作品だと思いました。
じっくり煮物を料理する「コトコト」という音を
「古都」にかけた洒落も、かわいくてナイス。

リズミカルなこの一枚を、
キープ箱(下のほうにあります)へつ収納しつつ、
はじまっております「カルタ・ド・ニッポン」。
お題・「京都」にも、たくさんの投稿をいただきました。
先日、東京糸井重里事務所の社員旅行に同行して、
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」も
京都へ行ってきたばかりであります。
旅の興奮もさめやらぬ状態で、まいりましょう。
「京都」の読み札、2枚目はこちら。

寺! 寺! 寺!

たしかに、寺! 寺! 寺!
他府県のみなさんも、
京都のイメージは? と聞かれれば、
まずはこちらを思い浮かべるのではないでしょうか?
寺! 寺! 寺!
勢いの勝利。
キープいたしましょう。
ちなみに「テラ! テラ! テラ!」は、
映画「トラトラトラ!」のパロディかと存じました。

続きまして、ちょっと変則的なご紹介になりますが、
まずはこのメールをお読みください。
作品に添えられていたメッセージです。

「いつも楽しみに拝見しております。
 来月に京都・神戸旅行を計画しています。
 京都では清水のライトアップを
 神戸はルミナリエを主に観光したいと思います」
 
で、このかたの投稿作がこちら。

計画どおり 観光できない 京都旅行

おっしゃる通りだと思いました。
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」のメンバーも、
旅の前には各人がそれぞれにガイドブックなどを買い込み、
「あそこにいって、ここにいって‥‥」
などとワイワイやっていたのですが、
結果的には計画のすべてを実行できた者は
ひとりとしておりませんでした。
‥‥それくらい、みどころたくさんということなんですね。
でも、たとえ実行できなくても、
旅の前に計画を立てるのって、たのしいんですよねー。

修学旅行で 駆け抜けた

5月と11月が、修学旅行のシーズンだそうで。
われわれも京都の随所でみかけました。
なつかしいなぁ、なんて思いながら‥‥。
当時は、そう、駆け抜けるように
バスで京都を回ったものです。
「なぜお寺をこんなにみるのよ?」とか文句を言いながら。
今になって思えば、もったいないことなんですけどねぇ。

修学旅行で京都といえば、まず訪れる観光地、清水寺。
このお寺の名前の由来にもなっている
「音羽の滝」をごぞんじでしょうか?
それについての読み札が届いております。

・どれ飲むー? オレやっぱ長寿の水!

老婆心ながら解説させていただければ、
「音羽の滝」は流れ落ちる3本の名水で構成されています。
滝に向かって右から「延命長寿の水」、
中央が「恋愛成就の水」、左が「学問成就の水」。
(右から健康、美容、出世などといろいろ説はある様子)
ならば、この3種の水をぜんぶ飲めばたいへんしあわせ!
と、考えがちですが、そうはいきません。
「ひとつを選んで飲んでください」と言われるのです。
「いくつも選ぶと、どの願いも叶わなくなる」と。
しかも、選んだひとつの水も、飲むべきは、一口。
二口、三口と飲むほどに、
そのご利益は2分の1、3分の1と減っていく‥‥と。

・相手はだれ〜? 恋愛成就の水

という札も届きました。
滝の前で盛り上がる女子中学生を詠んだ札、とのこと。
かわいいなぁ、青春だなぁ、仲良くなれますように!

八ツ橋は ニッキの香り

「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」のひとりは、
高校の修学旅行ではじめてこれを食べたと言います。
今でこそ各地で購入できるかもしれませんが、
当時、一般の子どもが口にするには
京都に行くより他に方法がまずなかったのだとか。
その者は、確信したと言います。
「世の中にはうまいものがまだまだある!」

と、京都といえば修学旅行という流れで進めてきましたが、
ここにきて、素朴な疑問の読み札を一枚。

京都では 修学旅行 どこ行くの?

考えてみれば、そうですよね?
修学旅行のメッカで暮らす学生たちは、
いったいどこに修学旅行にいくのでしょう?
ちなみにこの札は、京都出身者からの投稿でした。
修学旅行の話題になると、
かならずこれを聞かれるのだそうです。
このかたの修学旅行先は九州だったそうですが‥‥
実際のところどうなんでしょう?
京都の高校の修学旅行って九州が多いんですか?

ここからしばし、京都に住んでいる、
もしくは住んでいた人からの、
地元目線の作品をご紹介いたしましょう。

世界遺産が 通学路

なんてスケールの大きな通学路!
京都には世界遺産がたしか17ほどありますからねぇ。
子どものころから当たり前のように、
平等院をながめながら学校へ。
うらやましいなぁ‥‥。

碁盤の目の 中に住むのが ステイタス

これはどういう意味かと思ったら‥‥。
添えられていたメッセージを、どうぞ。

「大学時代、4年間を京都ですごしました。
 最初の頃ははずれのほうに住んでいたので、
 碁盤の目の中に家があって住所に
 ○○通△△上ルなどと入っているのが
 ものすごくかっこいい気がしていました。
 3回生のとき、ついに碁盤の目の中に引っ越したときは
 うれしかったものです」

へええ〜、そういうものですか?
その感覚はやっぱり住まないと、わからないのでしょうね。
はずれのほうでも、京都は京都。
同じくうらやましく思っていたのですが、なるほどぉ‥‥。

・京都タワーの横を 今日通ったわー

まったくもって、油断もすきもありません。
地元からも、「言いたいだけ札」が。
ま、まあ、通ったんでしょうね、横を‥‥。
京都タワーはすてきでしたよ。
海のない町・京都の「灯台」のイメージなのだそうで。
旅人であるぼくらには、方向を知る目印にもなりました。

そこどいて! 帰宅途中の コンチキチン

祇園祭を詠んだ札はほかにも届きましたが、
「帰宅途中」という地元の臨場感で、
こちらを掲載させていただきました。
「コンチキチン」というのは、
祇園祭のハイライト、山鉾(やまぼこ)と呼ばれる
大きな山車(だし)が町を練り歩くときに打ち鳴らされる
独特のお囃子のことです。
ほんとうに「コンチキチン」って、聞こえるそうですよ。

乗れればラッキー! 四つ葉のタクシー

こちらも地元からの「へぇ〜」という読み札。
メッセージをお読みくださいませ。

「京都では有名なのですが、
 地元には三つ葉マークが目印のタクシー会社があります。
 そのタクシー会社のタクシーの中に数台だけ、
 四つ葉マークのタクシーがあるんです。
 乗れたら超ラッキー! 乗車記念ももらえるそうです」

こちら、じつは京都に行くちょっと前に
ぼくらも入手していた情報だったんです。
もしかしたら、と期待していたのですが‥‥
出会うことはありませんでした。
調べてみましたら、三つ葉マークが目印なのは、
「ヤサカタクシー」という会社でした。
四つ葉マークのタクシーは4台しか走ってないんですって!
なぜかというと四つ葉だから。
ああ、そりゃあ、みつかりませんわあ〜。

響きがかわいい 先斗町

たしかに、かわいいです。
ぽんとちょう。
地名としてはすばらしいネーミングではないでしょうか。
で、われら「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」も、
ぽんっと足を踏み入れました、先斗町。

かわいい名前で、かわいい舞子さんもみかけて、
とてもワクワクしたのですけれど、

・一見さんお断り というシステム

のお店もずいぶんあって、
そういう一面には、何と申しましょうか‥‥
京都の深さや怖さのようなものを感じたのでした。
かわいい、でも、かわいいだけじゃない、先斗町。
なんですよねぇ、きっと‥‥。

ぶぶ漬け 召し上がれ

「ぶぶ漬け」に関する読み札も複数いただきました。
京都では、よそにお邪魔したとき、
「ぶぶ漬けでもいかがどす?」と言われたり、
実際にぶぶ漬けを出されたりしたら、
それは「ぼちぼち帰ってくださいね」のサインなのだとか。

「本当にそうなのでしょうか?」
というメッセージが添えられた投稿もありましたが‥‥
そうですよね、本当にそうなのでしょうか?
今でも出るのでしょうか?
ぶぶ漬けの意味がこれだけ有名になった今、
それでもぶぶ漬けを出す、というのは、これ、
「暗に言う」感じではなくなってしまうと思われ‥‥。
昔ほど実際につかわれるシーンはなくなったと、
そう推測されるのですが‥‥どうなんでしょ?

・たんとおあがりやす おばんざい

こちらはやさしい京言葉。
「おばんさい」というのは、お惣菜のことですね。
おいしそうな言葉。
そしてほんとにおいしかったです!
市場でいろいろ試食しましたから!!

食に関する京都の読み札を、もうふたつほど。

・にぬき 食べる?

にぬき?
まったくなんのことだかわからなかったので、
例のごとく調べてみましたら、
これは「ゆで卵」のことなんですね!
京都では一般的につかわれているようですよ。
にぬき=煮抜きということなんでしょうか?

・意外とこってり 京都のラーメン

薄味で有名な京料理ですが、
ラーメンに限っては、こってりが多いのだそうです。
たしかに、京都が本店の「天下一品」などは、
かなりこってりなスープで有名です。
なんででしょう? ラーメンに限って‥‥。
いっつも薄味だから、その揺り返しのようなもの?
ほんとは京都の人、けっこう濃い味好き?

ふしぎなことがたくさんで、謎も残ったままですが、
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」が
間違いなく言えることがあるとすればそれは‥‥

春夏秋冬 京都へ行きたい

ということなのかもしれません。

もっとぜいたくを言うならば、
今回のように、ぜんぶの都道府県を
実際に歩いて、感じて、深く探ってみたいものです。
ふしぎで愛おしいニッポンは、
まだまだ各地に潜んでいるのでしょうねぇ‥‥。

さて、それではこのあたりで、
「フリー部門」へとまいりましょうか。
今回も、お題部門がたっぷりめになりましたので、
こちらはさらりとまいりますね。

ミートボールも 得意顔

前回のお題・「お弁当」に寄せられた読み札です。
いいですねぇ。
思い浮かべてみてくださいよ、
お弁当箱の中のミートボールたちを。
2個、いや3個くらいがちょうどいいですね。
その子たちが、あなたのほうを見て、
ほら、得意顔で微笑んでますよ。
「さあ、食べて、おいしいんだから!」

・アルマイトのふたは おおきな湯呑

今ではあまり見かけない風景。
アルマイトの大きな弁当箱。
食べ終わった弁当箱のふたに、
ヤカンのお湯を注いでそのまま湯呑みに。
男らしいニッポンの「現場」な風景です。

・コンビニ弁当 漬物もほかほか!

あー、あたたまってしまうんです、
お漬け物も一緒に。
でもまあ、それはそれ、
全体がつめたいまんまで食べるより、ね?

・必ずある のり弁

「あれは突然やってきた」
と、「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」の年配者が言います。
「町にお弁当屋さんができたとき、
 のり弁は彗星のごとくあらわれた。
 今でも基本的な構成はあのころのままだ」
‥‥そんなに必死に言わなくても、と思うのですが、
まあ、下から順に、その構成を確認してみましょうか。
ごはん、醤油のしみたおかか、のり、
白身魚のフライ、チクワのフライ、
キンピラゴボウ、桜漬け。
細かい違いはあるでしょうが、おおむねこの内容ですよね。
そういえば‥‥
はじめて食べたお弁当屋さんののり弁、感動したなぁ。
‥‥いけません、おなかがすいてきました。

桜でんぷで ハート

‥‥‥‥。
なんでしょうかねぇ? あの桜でんぶのおいしさは。
甘いものですから、なかなかおかずにならないはずなのに。
なんでしょうかねぇ? しかもそれが、ハート型ですか?
‥‥いけません、切なくさえなってきました。

お醤油って すごいなあ

同意いたします。
ニッポンが誇る万能の調味料、お醤油。
お刺し身に、煮物に、お漬け物に、お菓子に‥‥。
ちょっと焦げたこうばしい匂いなんて、もう‥‥。
‥‥いけません、ほんとにいけません。

一生ものだから

おっと、食べものからはなれました、気が紛れます。
そう、ニッポン人のすてきな言い訳、
「一生ものだから」
ほんとはね、なかなか一生つかったりもしないのですが
ま、それはよしといたしましょうね。
「一生ものだから」
そう言いながら「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」の面々も
京都でいろいろ買ってましたよ。

最後に、もっと以前のお題・「ニッポンの遊び」
届いた読み札を3点ほどご紹介しましょう。
一度やったお題でも、やっぱりまだまだ出てきますねー。

・さくせんかいぎは ひみつきちで

ぜんぶひらがなというのに、まず魅かれました。
そして、ひみつきち。
ドキドキしてくる、ふしぎなキーワードです。

・寝たふりをはさんで まくら投げ

これは今回のお題にもすこしつながります。
修学旅行、生徒たちはお寺見学よりも、
夜のまくら投げのほうがたのしいわけで。
「とぅりゃあ〜! ‥‥あ、先生だ!」
「寝たふりするぞ」
「‥‥‥‥先生、行った?」
「行った。とぅりゃあ〜!」
なんでそこまでして、まくらを投げたかったのか‥‥。
ふしぎで、愛おしくて、なつかしいです。

このゆび とーまれっ!

アイデアに乗る人は、この指に!
すばらしいです、このニッポンの風習。
大人になっても、やればいいのではないかと思いますよ?

今回はこのあたりで、ぶぶ漬けでもいかがどす?
今週もキープ札は、すべてこちらの
「キープ箱」に加えさせていただきました。

キープ箱
※きわめてニッポン的な音がしますのでお楽しみに&ご注意を

「キープ箱」の中身は、毎回更新していきます。
あなたの札が、ここに入りますように‥‥。

それでは、次なるお題を。

「あたためる」。

いよいよ寒くなってまいりました。
「あたためる」ものやことに関する
読み札を募集してみたいと思うのです。
ストーブ、こたつ、セーター、いろいろありますよね。
そういった、からだの温度をあげる道具だけでなく、
「心をあたためる」という考えかたで、
読んでいただいてもかまいません。
家族とか恋人とか、童話なんかもそうでしょうか。
過去のお題・「お風呂」もあたためるもののひとつですから
ここで再度挑戦してくださってももちろんオーケー。
そして、ぜひ、「フリー部門」もお忘れなく!
過去のお題を探れば、まだまだ思いつきますよね?

下にあります投稿のルールを軽くお読みいただきましたら、
なにとぞお気楽に、ご投稿くださいませ!
みんなで、カルタをつくりましょうねー!

投稿のルール(仮)

募集するのは「読み札」

カルタは「読み札」と「取り札」に
わかれているわけですが、
当面は「読み札」のほうを募集したいと思います。
七五調や七七調の札がカルタっぽいみたいですよ。

「ふしぎと愛おしい日本」がテーマ

なにを書いてもよい自由な投稿です。
でも「ふしぎと愛おしい日本」というテーマからは
どうぞ、はなれないようにしてくださいね。

どの文字で投稿するかは自由

「いろはにほへと‥‥」の文字のなかの、
どれを選ぶかは今のところ自由です。

部門について

大きくわけて、「お題をテーマにした部門」と、
それ以外の「フリー部門」の投稿を受け付けます。
過去の「お題」を投稿するのもOK。
その場合は「フリー部門」への投稿になります。

ひとつのメールにひとつの「読み札」

いっかいの投稿で送る「読み札」は、
一作品だけにしてください。
ひとつひとつ、集中して吟味したいので。
たくさん思いついた場合は、
何回もメールを送っていただければ大丈夫です。

詠み人しらずの投稿です

『万葉集』のように、というと大げさですが、
“詠み人しらず”の作品を集めたカルタを目指します。
“無名の知”のパワーに期待するカルタを。
なので、投稿者のハンドルネームは発表いたしません。

2007-11-21-WED
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