第31回 「ね」に送られた読み札たち
ねこ乗ってるから 動けない

あったかくてかわいいものが乗っているのは
ひざの上でしょうか、それともふとんの上?
愛おしい重みを感じつつ、
はじまっております「カルタ・ド・ニッポン」。
年末年始にあらためて再募集した
「ぬ」「ね」「む」「め」「よ」「ろ」から、
今回は「ね」の読み札をご紹介いたしましょう。

今回、圧倒的に多く寄せられたのは、
冒頭に登場した「ネコ」の作品でした。
おおよそ4分の1が、
ネコではじまる読み札だったのです。

・猫に、こたつに、アイスがあれば

・猫より早く こたつの中へ

・猫と こたつで 丸くなる

・ねこより こたつで まるくなる

という具合で、こたつとセットになった作品も多数。
今はずいぶんすくなくなったと思われるこたつですが、
ネコのことを想うときには、
いっしょに浮かび上がるのですねー。

ネコ派? イヌ派?

よく問われることではないかと。
上の読み札は「どっちが好き?」ということですが、
「あなた自身はどっちなの?」という作品もありました。

・猫タイプ 犬タイプ あなたはどちら?

こういうタイプわけをする国って、
ニッポンだけのような気がしますが、どうなんでしょう?

ネコもハトも 追いかけたい

あー、追いかけたいです、つい。
逃げられるとわかっていても。

・猫の肉きゅうにふれる幸せ

・ねこに群がる 小学生

・ネコの写真の カレンダー

・ねこかいたい。

どれもネコへの想いが表現されています。
群がっている小学生たちは
きっと子猫の入った段ボールのようなものを
発見したのでしょう。
じゃないと、群がればネコは逃げます。
なにしろ‥‥

ねこよ、 どこへゆく

気ままないきものですから。
自由にのんびり生きてるように見えるので、
こういうセリフ↓も、言ってしまいますよね。

ネコに向かって 「おまえはいいよなぁ」

悩みがなさそうで‥‥と。
ネコの立場になってみれば、
それなりにたいへんなこともあるのでしょうが。

猫には一生片思い

なるほど‥‥。
ネコ好きなかたがたのお気持ちがくみとれる
切ない作品です。

ネコをテーマにした読み札のラストには、
こんな作品はいかがでしょう?

猫だまし だませず土

ぶすいな解説かもしれませんが、
最後の「土」は、
「土がついた」ということですね。
要するに、おすもうさんが負けちゃったと。
意表をついての奥の手「猫だまし」に
相手がだまさせず負けてしまった、という札でした。
「土」で終わっているのがきもちいい一枚です。

「ね」の読み札で「ネコ」の次に多く寄せられたのは、
この漢字ではじまる作品でした。

寝間着でコンビニ

つまり、
「寝」「眠」でくくられる「ね」の読み札。

寝間着でお買い物、
行き先がコンビニであれば
ついついしてしまう人も多いはず。
ちょっとお行儀は悪いですけど、たしかに、
なんだか愛おしい日本の風景ですよね。

寝ちがえました、 すみません。

寝ちがえて痛いのは自分なのに、
べつにだれにも迷惑はかけていないのに。
「ご心配をかけてしまって、すみません」
という意味なのでしょうか?
ふたつのことばの組み合わせが
おもしろくて選んだ一枚です。

おもしろいといえば‥‥。

寝顔に「肉」

ここでもぶすいな解説をさせていただくならば、
この「肉」というのは、
マンガの主人公「キン肉マン」
額についているマークのことです。
修学旅行や合宿などで先に寝てしまった者は
よくこれを顔にイタズラ描きされていたと、
そういうことを詠んだ札というわけです。

「寝」「眠」ではじまる作品を、いくつかどうぞ。

・ねむりにつくまえの しあわせ

・寝息を愛でる

・寝ているのに「寝てない! 聞いてる!」

・ねむいけど 起きてていたい 大晦日

・寝相いっしょで 親子 川の字

・ねまき寝乱れ 旅館の朝餉

睡眠関係の読み札の、最後はこちら。

寝た人を 起こさぬように 食べるせんべい

パリパリ音をたてて
目の前で寝ているその人を起こさないように‥‥。
いっしょに暮らしている人との
距離感が伝わってきます。

距離といえば、こんな作品も。

「ねえ」 と呼べるきょり

この「ねえ」ではじまる読み札も、
比較的多めにいただきました。

・「ねぇねぇ」で 伝わるきもち

・「ねえ!」で だいたい話がわかる

・ねぇあなた あれとって

「ねぇ」と呼び合える仲、いいですね。
相手との、こころの近さを感じます。

熱を出すと 母がやさしい

地味ですけれど、やさしい読み札。

ちなみに「熱を出す」という読み札には
こんな共通点のある3つの作品が。

・熱に 桃缶

・熱が出た 枕元には 缶詰のモモ

・熱が出たら 桃缶

熱が出たらモモの缶詰。
どうやらこれは、
昔ちょっと一般的だったようですよ。

「ね」の読み札もぼちぼち終盤です。
7作品ほど続けてどうぞ。

ねえちゃんよ 親父の前で 着替えるな

ぜひ、そのようにお願いします。
おとうさんが困りますので。

ネギ はみだした袋

ニッポンのお買い物の風景。
夕方の景色もみえてきました。

ねじ回し セットで買うよ 大黒柱

この回で、糸井会長が言っておりました。
「父というものは精神過剰になりがちなもんですよ。
 精神過剰のことを、ロマンチックと呼ぶんです」
なのでこれも、
ロマンチックな父の読み札なのでしょう。

ねぎれない日本

はい。
基本、ねぎらないですよねー。

ねっとりと しみる焼き芋

「ねっとりと」に
焼き芋のおいしさが込められています。
食べたくなったので、選びました。

ネタにされるタイプ

ニッポンだけのこと? とは思いましたが、
たしかにそういう人はどこにでもいるので。

値札はこっそりみる

とくに高価なお洋服などは、
値段の見えにくい状態にあることが多いような気がします。
見えにくいタグをそっと引っぱり出して
ようやくこっそり見てみれば書かれているのは、
「綿100% M」のみ。
値段は、また別の紙タグに‥‥。
こういうとき、こっそりしちゃうのは万国共通?
だとしても、
ニッポン人はその傾向が強いですよね、きっと。

というわけで、
「ね」の読み札はこんなところで。

今回、選んでいるのは、
一次予選のようなものとお考えください。
「む」「め」「よ」「ろ」まで
一次予選を行いましたら、
そこで委員長・糸井重里による最終選考会を行います。

それでは。
次回、
「む」の読み札たちの発表をおたのしみに!

2009-01-23-FRI
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