あります。
それは納豆だったり、お茶漬けだったり、
お味噌汁だったり、白いご飯だったり‥‥。
なんでもない食べ物ほど、
ときどき無性に食べたくなること、ありますよね。
日本の食についての、深く同意できる読み札を紹介しつつ
はじまっております「カルタ・ド・ニッポン」。
年末年始にあらためて再募集した
「ぬ」「ね」「む」「め」「よ」「ろ」から、
今回は「む」の読み札をご紹介いたしましょう。
最も多く寄せられたのは
「無」ではじまる読み札でした。
・無事故で ゴールド
・無意識の ゴルフスィング 駅風景
・無人島に 何持ってく?
・無名の時代から支えてきました
・むやみに ハモる
・むちゃなお願い 神頼み
などなど。
あえて解説の必要な作品はないでしょう。
どれも日本人にとっては心当たりのある、
ことがらや風景が並びました。
そんななか、完全な意味はつかめないながらも、
妙に気になった作品が一枚。
おばあちゃんは、いったい何を望んで
それをあきらめることになったのでしょう?
おばあちゃんに「無理そうだよ」と言っているのは、
孫? 他人の青年? お嬢さん?
そこには優しさや思いやりが漂っている気もします。
いずれにしても、不明な点は多いものの、
気になる札を気になるままに掲載いたしました。
こちらはわかりやすく。
「肉を焼いて食べる」という実感には、
じゅうじゅう脂がはぜる音とともに
もうもうとわきあがる煙がほしい、と。
たしかに日本の焼肉店、
「無煙」のシステムがかなり増えましたよね。
無駄毛は厳しくチェックして処理できても、
無駄肉となるとすぐには減らせませんからねえ。
どうしても甘くなります。
「無駄肉に甘い」だけなら他の国にもありますが、
「無駄毛」を出したことで
一気に「今のニッポン」な読み札になっています。
四頭身というのはかなりのデフォルメにしても、
読み札が言わんとすることはわかります。
むきになってがんばったところで、日本人体型‥‥。
でも最近の若い人は
ずいぶんスタイルがよくなりましたよ?
なぜかしら「カルタ・ド・ニッポン」には、
「お父さん」の札がコンスタントに投稿されます。
それらはたいがい、滑稽な描写で。
この読み札は、お父さんの心の叫びでしょうか。
せつなくもあり、おもしろくもあり‥‥。
「無」ではじまる読み札はここまで。
続いては、「お父さん」つながりで「娘」の札の登場です。
「みんなそう言ってる!」
「みんな持ってるし!」
「みんな買ってもらってる!」
っていうのは、そう、せいぜい二人。
ああ‥‥。
ここにも「お父さん」のせつない存在が見えます。
「一番風呂は一家の主」というのはもう、
古い日本の風習なのでしょう。
あああ‥‥。
最近は、ぬるめで半身浴とか流行ってますから‥‥。
・むすめの帰りを のまずに待つ
これもまた、せつない。
父は娘と一緒にのみたいのでしょうか?
のんでくれることを願います。
・む、む、娘さんを ください!
やがて父には、こういう場面がおとずれるわけで。
先に風呂に入られても、
お湯の温度をぬるくされても、
毎晩帰りが遅くても、
それでもやっぱり、かわいい娘。
あとで笑い話にされたりしますが父は、
あふれる涙で結婚式を盛り上げるのです。
ここにもまた、糸井重里のことば、
「父というものは精神過剰になりがちなもんですよ。
精神過剰のことを、ロマンチックと呼ぶんです」
が当てはまるのではないかと思いました。
ちなみに、「娘」の投稿はたくさんありましたが、
「息子」の作品はほとんどありませんでした。
ふしぎな事実として、おしらせしておきます。
さて、続きまして、
今回の「おかぶり札」(久々の言い回しです)を。
・むかしむかし あるところに
これと同じ作品を実にたくさんいただきました。
数多くの民話や昔話が同じフレーズではじまるというのは
たしかにふしぎなニッポン。
すこし表現に工夫を加えた作品としては、
・むかしむかしは おじいさんとおばあさん
・むかしむかしで始まり めでたしめでたしで終わる
というものや、
・むかしむかし ある ところてんが旨かった
などという「言いたいだけ札」もありましたが、
なかでも個性的に成立していたのがこちら。
これはもちろん、
テレビアニメ『まんが日本昔ばなし』のこと。
この番組で声優をつとめたのが
市原悦子さんと常田富士男さんでした。
1970〜80年代に子供時代を過ごしたかたは、
「むかぁし、むかし」という言葉から
このおふたりの独特な声を思い出すのではないでしょうか。
・昔話 場所はひとまず「あるところ」
・昔話に出てきそうな おにぎり
・昔話に いろんな太郎
「昔」ではじまる作品の多くは「昔話」がテーマでしたが、
どういうわけかここにも‥‥。
「父」が混ざってきました。
‥‥のあとに続くセリフとしては、
「強かった」「悪かった」「モテた」
などがあります。
やっぱりなぜか、せつないものがあります‥‥。
気を取り直してまいりましょう。
「虫」ではじまる読み札も多めに到着しました。
・虫の声で知る季節
・虫メガネ 虫は滅多に見なくとも
・虫に高値が付く
・虫 自販機に群がる
なかでもシンプルで力強く、印象的だったのがこちら。
「なのだから」、いいですよね。
堂々としています。
声に出して読んでみても、気持ちがよかったです。
「む」の読み札の最後に、3作品を続けてどうぞ。
しゃべりかたがどうだ、
とまで書いていないところがナイスです。
みんなが想像できることですからね。
隣のテーブルはおいしそうに見える。
誰しも経験があることでしょう。
最初にこの商品を見たときは驚いたものです。
コンビニに並ぶお菓子たちへの
日本人の探求心って
すごいものがありますよね、考えてみれば。
というわけで、
「む」の読み札はこんなところで。
今回こうして選んでおりますのは、
一次予選のようなものとお考えください。
残りの「め」「よ」「ろ」まで
この一次予選を行いましたら、
そこであらためて
委員長・糸井重里による最終選考会を行います。
すべての読み札がそろうのは、もうすぐ?!
次回、
「め」の読み札たちの発表をおたのしみに!