「やっかいな面倒はあるし、工夫も必要だけど、
ここはひとつ、うまい具合にやっておいてくださいね。
それでは、お先に失礼しまーす!」
というような意味が込められた、
たった4文字のことば「よろしく」。
さっそうと帰ってゆく男の後ろ姿を目に浮かべつつ、
はじまっております「カルタ・ド・ニッポン」。
年末年始にあらためて再募集した
「ぬ」「ね」「む」「め」「よ」「ろ」から、
今回は「よ」の読み札をご紹介いたしましょう。
最も多かったのが、
この「よろしく」ではじまる作品でした。
・「よろしくね」 言っとかないと、何か不安。
・「よろしく」言っとけば だいたいオッケー
・よろしく よろしく これで五回目
・「よろしく」は がいこくごに やくせない
毎日のように使っていることばであることや
その便利さをあらわす読み札が、たくさん届きました。
実際、みんなが頼りにしている挨拶ですよね。
メールにも
必ずといっていいほど書いているのでは?
何度も使うから、こんなふうに↓なってる人も多そう。
「よろしく」の次に多く寄せられたのは、
なぜか、このことばではじまる作品でした。
ニッポンのお菓子、ようかん。
それを詠んだ札のほとんどには
「たくさん食べたい」という気持ちが込められています。
・ようかんは あつぎりでね
・ようかんの端は 家族で奪い合い
・ようかんの左の端は わたしのもの
・ヨウカンを いつか1本 丸かじり
で、きわめつけはこちら。
「食べたいな」じゃなくて「食べる人」と
作品に客観性があるのも、なんだか面白かったです。
それにしても「バナナみたいに」って‥‥。
続きまして、やはり多めに投稿いただいたのは、
「夜」ではじまる読み札です。
・夜の部 昼の部 浅野忠信
という「言いたいだけ札」も届きましたが、
これらはさらりと流させていただきまして、
「夜」の札にはこんな傾向がありました。
・夜のコンビニ 灯がともる
・夜もやってるスーパー
・夜もコンビニ 走れば行ける
・夜 用がなくても 寄るコンビニ
どうやら「夜」ということばから
「コンビニ」を連想するニッポン人、
なかなか多いようですね。
基本、笑える作品ですけれど、
よくよく読めば、それだけでもない様子。
「ニッポンの夜の安全」のことも、
ちょっとあらわしているような気がしました。
さりげなく掲載しましたが、重厚な2作品。
「嫁」の読み札も数作届きましたが、
漂う緊迫感で上のふたつを選びました。
続いて、「洋」ではじまる読み札を3作品。
「ふしぎと愛おしい日本」というテーマのカルタに、
あえて「洋」ではじまるものがあるのもおもしろいですね。
対としての「和」をかならず意識するので。
「ぜったい字幕」という人もいれば、
「吹き替えのほうがラク」という人も。
考えてみれば、ほとんどの洋画に
吹き替えが準備されているって、すごいことですよね。
なるほど、境い目かもしれません。
ちなみにこのイチゴ大福、
世に出たのは昭和60年頃だったとか。
「うちが元祖です」というお店が全国に何軒もあって、
どこが発明したかははっきりわからないのだそうです。
感受性がどんどん豊かになる時期ですから。
「ほぼ日本カルタ委員会(仮)」にも
まさしく中二の子を持つ親がおりますが、
それなりにはまりはじめているようです、洋楽に。
それでは、
「よ」の読み札の最後に、7作品を続けてどうぞ。
山田さんとか山崎さんは、ほぼ『やまちゃん』。
渡辺さんは、ほぼ『なべちゃん』。
鈴木さんは、ほぼ『すーさん』。
せつない‥‥。
やさしいおじいちゃんでしょうに‥‥。
たのしみにしてたんですよ、きっと。
でも、逃げちゃう気持ちもわかります。
お客さんを迎えるおかあさん、
電話をかけるおかあさん。
いつものしゃべり方とちがうんですよね。
そう、よそゆき。
これからますますこうなっていうんでしょうね。
いいとかわるいとかではなく。
「人だけど」で終わっているのがナイスだと思いました。
きれいな読み札。
一度手にすると、捨てられないものです。
完全に、酔っています。
というわけで、
「よ」の読み札はこんなところで。
こうして選んでおりますのは、
一次予選のようなものとお考えください。
あとひとつ、
「ろ」の読み札までこの一次予選を行いましたら、
そこであらためて
委員長・糸井重里による最終選考会を行います。
いよいよ、あとひとつなんですねー。
ついに、読み札がそろいそうですよ?!
次回、
「ろ」の読み札たちの発表をおたのしみに!