佐伯チズさんにはできるけど、 わたしにはできないという理由?
第3回 悔しい! と泣く前に。
佐伯 いろんな営業マンを見てきましたけど、
その方ほど上手に「ヒモ」になってる人は
いませんでしたね。
女性の使い方、天下一品。
普通の営業マンって、
言われたことや命令されたとおりに動くだけの
「作業人」になってしまっている人が多いのに。
糸井 その方は、
「できる」ようには見えないんですか?
佐伯 外見に「できる」オーラが
出ているわけではないんですよ。
背は高いわけではないですし、
ヘルニア持ちだったために、
力仕事は苦手でした。
ご本人には申し訳ないのですが、
顔もアバタが多くあって、
決して女性から「イケメン」と
呼ばれてたわけでもないんです。
一同 (笑)
佐伯 おまけに声にも特徴があって、
ガラガラ声の上に
山形弁が抜けてなかったんですよ。
糸井 ははは。
女性への接し方、
どこで覚えたんでしょう?
佐伯 どこかで苦労されたんでしょうね。
とにかく、人にやさしかったです。
わたしも、
イヤなことは一切言われなかったですし。
糸井 その逆の男だらけだったでしょうに。
佐伯 残念ながら(笑)。
でも、だからこそ、
彼は目立っていたのかもしれないですね。
とにかく数字を出さなくては認められない、
そういう世界でしたから。
とにかく、どんなときでも
「数字数字」って言われるんですよ。
女性は数字がほんとうに苦手なんです。
「前年対比いくら」とか言うでしょう。
糸井 はい、言いますが‥‥
佐伯 そんな対比がわからないから、
この業界に来てるのに! って
みんな、思ってるわけですよ。
一同 (笑)
佐伯 自分はパソコン使えない、計算も苦手。
そういう自分を理解しているからこそ、
この化粧品業界の中でも、販売業に来てるのに!
糸井 なるほど、なるほど。
佐伯 それを、男性の方たちは
なかなか理解してくださらないんですよね。
前年対比の%の数字よりも、
あといくら売れ、あと100万ですよ、と
言ってくれたほうが
よっぽどわかるじゃないですか?
たとえば、女の人に
「あと1.5kmですから」と言うよりも
「あと20分歩きますよ」と
言ったほうがわかるんです。
糸井 量でつかめる感覚がほしいんですね。
数になる前の段階の
量感をわかってない人が
いくらものを言っても説得力がないですし、
その心理をわかってないとダメですね。
佐伯 だけど、逆に、
女性の方にもダメなところがあるんですよ。
わたしは、仕事でたくさんの若い女性と
ごいっしょしてきましたけど、
女性の方は、
区別しないでものを言ってしまうことがあります。
糸井 というと?
佐伯 「この人にこのことを言っちゃいけない、
 あの人に言わなきゃダメよ」
ということがあるんですけど、
区別しないで言っちゃう。
一見区別しないことは
いいことのように思えるのですが、
それでトラブルが起きてしまうんです。
このことを理解されていない方が、
実は結構な数いらっしゃるんですよ。
糸井 そうなんですか。
佐伯 そういうトラブルに遭って
「悔しいー!」って
泣き寝入りしてしまう女性の方って
多いんです。
一同 (笑)
佐伯 その方に、「誰に何を言ったの?」と訊くと、
案の定、言う相手を
間違っていたりするんですよね。

「そのようなことを、あの方に伝えたとしても
 意味が無いんですよ。
 それは、伝えたあなたが悪いんです!」
「悔しいー!」
「自分の考えだけで、物事を考えてしまうと
 そう陥りやすいんですよ。
 まずは、相手を見ること。
 相談すべき相手はその方でいいのか?
 物事を誰に相談したら、
 スムーズに展開していくのか?
 相手を見れば、おのずとわかってくるはずです」
糸井 うん、うん(笑)。
佐伯 相手を知らずに、ものを言っちゃう。
女性の方のトラブルは、
ほんとうにそれが多いです。
糸井 逆に男は気が弱いから、
言わないことばかりに
なったりしますね。
佐伯 たしかに、
言わなくてもわかるだろう、
ということになりがちですね。
糸井 そっちに頼りすぎですよ。
やっぱりお母さんに
やさしくされすぎたんでしょうか。

(つづきます)

チズさんに訊いてみました。その3
── 日焼けやシミについては
たくさんの読者の方から
メールをいただいています。
いちばん多かった質問は、
「1回できたシミはとれないの?」
佐伯 とれる。
── え!
一同 ‥‥‥‥
糸井 いま、しーんとなりましたね。
佐伯 シミには、ふたつあります。
ひとつは内因性のシミ、
もうひとつは外因性のシミです。
内因性のものはホルモンのバランスや
肝臓の調子が悪い、などといった、
からだの不調が原因のものです。
外因的なものは、太陽光線など
肌にとってストレスがかかる環境によるものです。
まず食べるものから変えていってください。
そして、美容液やクリームなどで、
年中、美白のケアをしていきます。
いっぺんにはなくなりませんけど、
よーく、顔を見ててください。
春には必ず肌の脱皮が起こりますから。
── 脱皮?!?!
佐伯 春は、肌がみなさんに
ご褒美をくれるんですよ。
1年間よくやってくれてありがとうって、
衣替えと同じように、
きれいに、徐々に徐々に剥けて
白いところが増えていきます。

特に気になるシミがあれば、
そこだけ集中して
まず、美白の化粧水でローションパック、
次に美白のパック剤でパックして、
最後に美白美容液を
塗らしたコットンにつけてパックします。
これを3段パックと呼んでいるんですけど、
これでシミをキャッチして取っていきます。
1年間ずっと続けていったら
どんどん薄くなっていきますよ。

5百円玉大のシミのある64歳の人が
1年間、3段パックをおうちでなさって、
いまは5円玉の「穴」ぐらいの
大きさになりました。
その方、もう気分も変わって、
お洋服も変わって、外に行くことができて、
人生変わりました、っておっしゃってました。
それは、その方が「つづけたこと」への
ご褒美なんです。
とにかく、自分をよく見ておくこと。
そして、つづけること。
わたしの言ったこと、覚えておいてください。
「必ず春になったとき、脱皮します」

(このコーナーもつづきます)

2009-06-02-TUE



まえへ
このコンテンツのトップへ
つぎへ
(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN