佐伯チズさんにはできるけど、 わたしにはできないという理由?
第4回 自由でいるために強くなる。
佐伯 わたし、外資系にいましたでしょ。
外国の男性って、
わたしたちの心理がなかなか通じないんですよ。
「こんなことを社長に言ったら、
 気持ちを煩わせるだろうから」
と、気を利かせて伏せておくなんてダメ。
西欧の人は、たいがい、
重箱をつつくようにものごとを知りたいから、
逐一全部、言わなくちゃいけないんです。
糸井 そのとき、チズさんはどうしたんですか?
日本と外国、どっちにどう合わせたんでしょう。
佐伯 わりと、闘ったほうです。
あなたは日本人じゃないけど
日本人の心を知ってほしい、
英語でものを考えないで
どういう日本語で捉えているのか言ってください、
わかんなかったら通訳入れてください、と。
‥‥だから、結局そのときも
一匹オオカミだったんですよ。
糸井 つまり、両方から自由だったんですね。
佐伯 ええ。
外資系の会社は、規模が大きいために、
方針が短期間で
どんどん変わっていくということが
よくあるんです。
企業というのは、そうしていかないと
大きくならないところがありますからね。
だけど、必死で徹夜で考えたものを、
次の朝にひっくり返されたら‥‥
糸井 ひとこと言いたくなりますね(笑)。
佐伯 「わたしたちの時間も、もったいないんですよ!」
ってね(笑)。
ひとりではできないことを
やっていかなくてはならないから、
わたしたちがいる。
もしもひとりですべてが
できてしまうのであれば、
わたしたちは、その場にいる必要性が
なくなってしまうんです、
と反論したんです。
外国の方でも、女性の方にそう言われると、
ムカッとくるんですね。
一同 (笑)
佐伯 ダーンと机を叩いて、
「あなたにそんなこと言われることはない〜」
と、言われてしまいました。
一同 (笑)
佐伯 仕事することは、
闘うことだと思うんです。
どんなことだって、
自信があれば言えると思います。
自信がないと言われっぱなしですよ。
糸井 闘いをちゃんとやりながら自由でいる場所を
作ってるんですからね、すごいですよ。
それはやっぱり、人より余計に
たくさん考えていないと、ダメですよね。
佐伯 だけど、人さまが、
ヒントをいっぱい言ってくれますから、
いつも、そこを参考にして
考えていけばいいんです。

わたしは、いわゆる「肩たたき」で、
「もう仕事ないですよ」と
言われたことがあります。
「辞めたくなかったら、
 自分の給料を自分で出しなさい」
ということだったので、
わかりました、と答えました。
それがヒントなんです。
ですから、自分の給料を
どんどん出すことにしたんです。
糸井 たしか、急にひとりきりの部署に
なられたんですよね。
佐伯 ええ。
それまで800人以上の部下がいたのに、
ある日から、突然ひとりになりました。
だけど、いわれのない理由で
会社を辞めることは、
絶対、許せなかったんです。
糸井 きっと毎日
はつらつとなさってたんでしょうね。
佐伯 そのときも元気でしたよ、わたし。
「おはようございます」と
大きな声であいさつしてましたし、
佐伯さんがいるだけで元気になれるって
みんなに言ってもらってました。
こうやって元気でやっていって、
自分の仕事は自分でやればいいんだ、と
考えるようにしました。
‥‥だって、ある日から突然
いすのひじ掛けがなくなったんですよ。
一同 (笑)
糸井 具体的ですね。
佐伯 最後の3年間は、
窓のない窓際族でした。
電話も自分の家でかけてました。
糸井 なんと‥‥。
佐伯 何がなんでも60歳までは勤めたいという
思いがありましたから。
糸井 35歳とかじゃなくて、
60歳のときの話なんですよねぇ。
佐伯 クリスチャン・ディオールに入って
トレーニングマネージャーになって
会社のいろんなところで指導したり
建て直しを図ったりしてきました。
更年期障害でホットフラッシュもやりましたし、
四十肩、五十肩、六十肩、
ぜんぶ経験しました。
そして、いすのひじ掛けがなくなって
肩たたきにあい、突発性の難聴になったんです。
それが57歳のころ。
糸井 ストレスがかかってたんですね。
いわば、大劇団で1000人を演出していた
座長さんが、急に
ひとりで劇団やれ、しかもマイク一本で、
と言われたわけですから。
佐伯 そうなんですよ。
劇団ひとりですよね。
「劇団定年ひとり」(笑)
一同 (笑)
糸井 そのとき、チズさんをいちばん助けてくれたのは
いったいなんだったんですか。
佐伯 やっぱり、お客さまです。
お客さまが助けてくださったと思います。
それまで自分は、とにかく現場のほうを向いて
お客さまを大事にさせていただこうと思って
やっていましたから。
糸井 すべてを取り上げられてから、
どういうふうに動いたんですか?
佐伯 自分のお給料は、
自分で作り出していかなくてはならない。
何もかも自分でやっていかなくてはならない。
そこで思いついたのがデパートです。
デパートの売り子さんがいる場所には
部屋があるんですよ。
会議室みたいなところです。
糸井 なるほど。
佐伯 カウンターに立つスタッフに
そこにお客さんを10人集めるように
頼みました。
会社でわたしが使ってた
折りたたみ椅子と
スチーマーなどの道具を全部送って、
1日10人のお客さまを
お迎えすることにしました。
1時間こっちやって寝かしておいて、
そのあいだにあっちやって‥‥
糸井 (笑)ひとりきりですもんね。
佐伯 この方法で、実はかなりの売り上げを
キープすることができたんです。
糸井 それは、自分の給料を出せば、
という話じゃなくなってきますね。
佐伯 売り上げが確実のものになった頃から、
会社側の要求が入りました。
次はここ行ってください、
あっち行ってください、と指定されるわけです。
そんなことで、定年前は、
すんごい忙しかったんです。
一同 (笑)
佐伯 だから、会社員としての最後の花は、
たっぷり咲きましたよ(笑)。

(つづきます)

チズさんに訊いてみました。その4
── 美白向きの食べものを
教えていただけますでしょうか。
佐伯 ハト麦茶、飲むといいです。
一同 おおー。
佐伯 年中ハト麦茶を飲んで
シミがなくなったって人もいますよ。
それは、北海道の人ですけどね。
ハト麦茶は、
ヨクイニンという成分が入っていて、
色素沈着を防ぐと言われているんです。
ハト麦茶そのものだけじゃなくて、最近は
いろんなブレンドのお茶が売られています。
そういったものにもハト麦が入ってますから
成分を見て選ぶのもいいでしょう。
ヨクイニンはサプリメントにもなっていますので、
ビタミンCと合わせて摂取するとなおいいです。
あとは、トランサミンといって
皮膚科でもらわないといけないものなんですけど
それは、体の中からシミを消してくれる
はたらきがあると言われています。
── メモ、メモ。
佐伯 食べるものでいちばんいいのは、
黒ゴマ、すし海苔です。
── 美白には黒いもの。
佐伯 黒ゴマ1日大さじ1杯、
すし海苔1日1枚です。
それからカルシウムの多い
小松菜やホウレンソウを
温野菜でいっぱい食べましょう。
トマトジュースもいいと思います。
── メモ、メモ。
佐伯 それから、腸をきれいにすることが大切ですから、
ヨーグルトやショウガを食べるよう
心がけてくださいね。
── ふむ、ふむ。わかりました。

(このコーナーもつづきます)

2009-06-03-WED



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