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糸井 |
「ZED」のトライアウト公演がはじまって、
今、ずいぶんお忙しいでしょう。 |
ジラール |
今は「ほんとうに忙しい時期」が
ちょっと終わりまして、
数日ちょっと静かな時期があり、
で、そこから先はまた、
ご存知のとおりです(笑)。
(註:ジラールさんは、
このインタビューを行う場所に着くまでに
シアター内の通路で
いろんな人に呼び止められ、
ちょっぴり遅れて到着されました) |
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糸井 |
僕は、なんとなく、
舞台や映画の演出なら
きっとこういうふうにするんだろうなと
ある程度の想像がつくんですが、
サーカスの演出というものが
いったいどんなものなのか、
ちょっとわからないんです。 |
ジラール |
シルク・ドゥ・ソレイユは、
とても伝統を大切にするところです。
そして、その伝統を活かして
「アクロバット」と「ドラマチックな演出」
というふたつのことを融合し、
常に成功をおさめてきています。
ですから、まず、シルク・ドゥ・ソレイユの
サーカスの演出においては、
「アクロバット」と「ドラマチック」
これがひじょうに重要な要素となります。 |
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糸井 |
なるほど。
そのふたつがまず軸にあって。 |
ジラール |
それが基本ですが、そのほかは、
こうじゃないといけない、ということは
特にありません。
ギー・ラリベルテという、
シルク・ドゥ・ソレイユの創始者がいますが、
彼も、演出をする我々に
考える余地を広く与えてくれます。
そしてまた、私たちが
演出として考え出したものを
サポートしてくれる
周囲の力にも恵まれています。
そういう意味で、この仕事は
私にとってほんとうに幸運だと思っています。
このシアター自体もそうなんですが、
力がみなぎるような
パワフルなクルーに囲まれているんですよ。
そういう人たちのサポートを得ながら、
全体を成功に導いていく、という制作スタイルを
シルク・ドゥ・ソレイユは常にとっています。
しかも、これは充分ご存知だと思いますが、
ひじょうにスキルが高い
パフォーマーの方々がいます。 |
糸井 |
そうですね。 |
ジラール |
客席にいらっしゃるみなさんと、全体が、
ある種の対話を通してつながっていくのが、
シルク・ドゥ・ソレイユのショーの特徴です。
ですから、私の演出も
「みんなが同じ空間を共有する」
ということに注力して行っています。 |
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糸井 |
ジラールさんは、もともと
シルク・ドゥ・ソレイユにおられたわけではなく、
外部からいらっしゃった方です。
依頼を受けて、まず最初に、
何からはじめましたか? |
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ジラール |
そうですね、
私はシルク・ドゥ・ソレイユのショーを
すべて観たわけではありませんでしたから、
まずは2か月ほどかけて
すべてのショーを観てまわりました。
ラスベガス、オーランド、
また日本にも「アレグリア」を観に来ました。
その段階で、シルク・ドゥ・ソレイユとは
どういうものなのか、
充分に理解したかったんです。
また、その途中で、
自分のイマジネーションを働かせて
「さて、自分はどういう演出にするのか」
と、考えていきました。
とはいえ、あまり早急には
進めたくなかったのです。
ゆっくりと、自問自答しながら、
オリジナルのアイデアは重視しつつ、
徐々に徐々に展開させていくという作業を
行っていきました。
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(つづきます)
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