糸井重里

・娘と、そのまた娘つまり孫と、エレベーターに乗った。
 エレベーターの奥、正面には鏡があった。
 その鏡に、7歳の孫が変な顔をして見せた。
 娘は、それを見て笑ってやっていた。
 しかし、わたしが鏡に写っていない。
 わたしは、どこにいるのだろう。

・シルバーウィークというけれど、
 昔から、そんなのあったか? 
 ゴールデンウィークは知ってたけれど、
 それに対抗するように秋に設定したのだろうか。
 もともと「敬老の日」というのがあったので、
 そこらへんを「シルバー」ということでまとめたのか? 
 調べない、いちいち調べるくせがついてしまって、
 なんでも「正解めいた情報」を知ってしまうのが、
 あんまりおもしろくないんだよなぁ。
 もういっそ、ないことにしてしまおうかな。
 シルバーウィークなんて、嘘だ、そんなものはない。

・ことばというのは、便利なものである。
 主語と述語があれば、もうなんでも成立する。
 彼は俊足である。さっきは時速3000キロで走った。
 そのときに履いていたスニーカーは、ここにある。
 靴底は摩擦熱でずいぶんと擦り減ってしまっている。
 欲しい方に、そのスニーカーお譲りします。
 200円で買ったものなので、5万円でいいです。
 あることもないことでも、文法的に合っていたら、
 まことしやかに語り切ることができる。

・毎日、「ちいかわ臨書」を習慣にしている。
 描かれた線が、どのように生まれたのか。
 臨書していると、自然に想像するようになる。
 もしかしたら、筆をもって描くこと以上に、
 描かれた時間に起こったことを想像するほうが、
 大事なことなのかもしれない。

◆質問no.46は「なにか嘘をついてください」です。
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今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ちょっと、自由に踊るみたいに、文章を書いてもいいわけで。

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