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本田 |
日野原先生には3年ほど前から
先生が主宰していらっしゃる勉強会に
お招きいただき、とても感謝しています。
それがご縁で先生にご相談申しあげていた
「ほぼ日の健康手帳」が
このような形にできあがりました。 |
日野原 |
ほぅ、これは小さくていいね。
女性のハンドバックにも入れられるし、
手帳にはさんでおいてもいいね。 |
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本田 |
はい。使っていただくかたがたに
気軽に持ち歩いていただきたいと思って
できるだけ小さくしました。
きょうは、できあがりましたことのご報告と、
もうひとつ、
先日お目にかかったときに教えてくださった、
自分の健康状態をまとめておくことの大切さについて
あらためてお話をお聞きして、
「ほぼ日」読者のみなさんに、
お伝えできればと思ってうかがいました。
どうぞ、よろしくお願いします。 |
日野原 |
自分の健康状態をまとめておくということは、
つまり、自分の健康を自分で守る
ということなんですよ。
もう30年くらいになるかな、
「自分の健康は、自分で守る」という意識を
一人ひとりがもつことが何より大切だということを
ぼくは、ずっと言ってきたんです。
これは、ぼくが設立した
「ライフ・プランニング・センター」の
ひとつの思想でもあってね。
そのために、まず、自分の健康についての情報を、
医師に正確に伝えることが大事なんです。
患者さん自身が
「自分から提供する」という意識をもつ。
これは、自分のカルテ(診療録)のようにして、
自分の健康状態をまとめておく手帳でしょう。
健康の記録なんだけど、病気のことも、
書いておくということだね。 |
本田 |
先生の患者さんのなかには、
すでにご自分でカルテを書いているかたも
いらっしゃいますね。
先日、参考にと見せていただいたものは
とてもしっかりしたカルテでした。 |
日野原 |
そう、お医者さん以上によくできているよ。
ほんとに、びっくりするぐらい。
病院では、患者さんが入院するときに、
病歴をとるでしょう。
ある患者さんに、そのときの参考になるようなものを
自分で書いて持っていきなさいと言ったんです。
そうしたら、医師やナースが書くものよりも、
よっぽど立派なものを書いてきてね。
これまでの病歴にしろ、いまの症状にしろ、
経験している本人が、
だれよりもじょうずに書けるんだね。
医師が「いつから痛みました?」とか聞いて書くのと、
本人が自分で書くのとは違うんですよ。
それを見たときにぼくは
あぁ、医療に素人のひとでも、訓練すれば、
こんなに立派なものができるんだとわかったんです。
医療は、システムを発展させるよりも、
人間、ひとりひとりを発展させる、
そのほうがはるかに効果的だという考えを
ぼくは以前からもっていたんです。
自分のカルテの書き方にしても、
医師やナースが教えるのではなく、
それができる一般の人が
書き方の先輩として教えるほうが、
ずっと説得力があるんですよ。 |
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ほぼ日 |
わたしたちが自分のカルテを書くときに、
書くコツといいますか、気にしておいたらいい
ポイントのようなことはありますか? |
日野原 |
そうだね。できるだけ具体的に、
自分のことばで書くことです。
たとえば、医師がカルテを書くときには、
「胃に違和感を訴える」と書いたりするんですよ。 |
本田 |
そうですね、よくあります。 |
日野原 |
「胃に違和感」と書いてあったって、
胃が変だということがわかるだけで、
いったいどんな症状なのかわからないでしょう。
もっと具体的に、自分のことばで言うと
どういう表現になるのか。自分で考えて、
そのままのことばで書けばいいんです。
それから、「ムカついた」と
書けばいいようなことも病院のカルテには、
「悪心(おしん)をもよおした」と書く。 |
本田 |
カルテに書くときの、医学用語なんですよね。 |
日野原 |
「悪い心」なんて、
どうしてそんな字を使うのだろうか。
「つわり」なんかでも、漢字で書くと難しい字ですよ。
「悪阻」と書いてあっても、ふつうは読めない。
医療の現場でも、ほんとはもっと、
生きたことばを使うべきなんです。
最近ようやく、医学用語も、日本語として
もっとわかりやすいことばにしようという
運動がおきてきているけどね。
だから、この手帳を使う人は、
自分のそのままのことばで書くのがいちばんだね。
患者さんが自分の健康のことをまとめていれば
医師にとっても役に立ちますよ。
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本田 |
そうなんです。
病院にはじめていらっしゃったかたのお話から、
健康に関する情報を拾い出すのは
難しいときも多くて、時間もかかりますし、
うまく引き出すことができないこともあるんです。
そういうときに
ご自分のカルテをお持ちになっていると、
すごくわかりやすくて、
問題に早くたどりつけるようになると思います。 |
日野原 |
たとえ3分診療だったとしても、
これがあれば、その同じ3分が、
充実した時間になるわけだからね。 |
本田 |
ほんとに、そう思います。
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日野原 |
この手帳、できるだけたくさんの人が
持つようになるといいよね。
ほんとはスーパーのレジの横とか
駅のキオスクとかに置くと
パッと手に取れていいんだろうけどね。
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一同
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(笑)
(明日につづきます)
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