Lesson952
読者の声2ー
嫌と言えない自分を責めるまえに
2020-01-08
嫌な人の誘いに、嫌と言えない、
それどころか、「わー嬉しい!」と喜んで見せ、
後で、つい、「ありがとう、楽しかった、
また誘ってください」
まで言ってしまう。
「嘘をついている後ろめたさか、
嘘とバレないようにするためか、
余計なことまで言ってしまうんですよね‥‥。」
と編集者さん。たしかに!
そんなあなたに、読者のおたよりがきっとしみる。
反響の大きかったコラム
「嫌と言えない自分を責めるまえに」、
前回ではとても紹介しきれなかったので、
年をまたいで引き続き、読者の声をお届けする。
<ずっと付き合っていきたい人に>
ここ数日、あるモヤモヤ感にずっと悩まされていました。
先日、20歳も年下の友人に誘われ、
彼女の大学サークルの芝居を観に行きました。
帰り道、私は後悔の念でいっぱいに。何故なら、
「今日の公演どうだった?」
との彼女の問いに、思わず
心と正反対の感想を伝えてしまったからなのです。
さらに後日、彼女から、
「楽しんでもらえて良かった」
とお礼のメールが届いき、益々、
「あぁ、あんな化粧言葉言わなきゃ良かった」
と、頭の隅でずっとモヤモヤしっぱなし。
そんな時、このコラムの
「嫌と言えない自分を責めるまえに」で、
「気づいたときは、ゾっ、とした。」
というところを読んだ瞬間、
霧が晴れたのです。
以前、古い友人が
「そういう時は俺、
無用に相手を傷つけるより、
つい良い感想言っちゃう。
人によるけど」
と言ってたことがあり、
その時は理解出来なかったのですが、
彼の言う、
「人による」
と、コラムの「ゾッとする」が、
ピタッーっとパズルが合わさったような感じで、
「そうか! 私は、彼女を、
今後も長く付き合える相手として見ていたんだ。」
と気づいてスッキリしました。
にも関わらず、「嘘」というガスで、
「勘違い」というバルーンを育てようとしてた。
もし、コラムを読んでなければ、モヤモヤのまま、
ゾッとする大きさへ育てていたかもしれないなぁ、と
鳥肌が立ちました。
(禁断のパラダイス)
<嫌だと伝える権利>
その人にすごくいいところがあるから、
よくないことをしても許される、
わけではないし、
自分にも悪いところがあるから、
相手の悪いところも目をつぶらないといけない、
わけでない。
それはそれ。これはこれ。別の問題だ。
自分より能力が優れた相手でも、
どんなに自分にダメなところがあっても、
相手のダメだと思うこと、
嫌だと思うことを伝える権利がある。
伝えないと伝わらない。
勇気を出して、伝えたい。
(M.S)
<嫌われる勇気>
中学のころ、いわれのないいじめを3年間受けていた。
無視され、ばい菌扱いされ、その場にいないことにされ、
だから、当時もその後の数十年も、
嫌われることを死ぬほど恐れていた。
大きな転機は、転職で
小学生と関わる仕事に就いたことだった。
子どものいない自分が、
子どもたちを見ていてわかったことが一つある。
「人の感情に年齢は関係ない。」
子どもは、意味もよくわからずに
「強い言葉」を発することがある。
言葉の表面的な意味に、
いちいち傷ついてはいられない生活を送っているうちに、
「こういうこと言う、いい歳をした大人もいるな。」
と気が付いた。
「強い言葉」の表面にあるとげを捌けば、
どうしてもそう言わずにはいられなかった、
その人の「感情」が見えてくる。
悪意や、いらだちや、
「どうにかやっつけてやろう」だとか、
照れるよ、恥ずかしい、とか。
その突きあがってくる感情に、成熟も稚拙もない。
人の感情に大人も子どももない。
だからこそ、大人の言葉が子どもに届き、
子供の言葉が大人に刺さる。
いくつになっても、
感情にそぐわない強い言葉で人は傷つきあうのだ。
そう気が付いた私は、
他人の強い言葉に惑わされなくなっていった。
強い言葉に刺されても、
自分は自分なのだ、あるがままで居てよいのだ。
「嫌われても、もうかまわない」
この腹の据わりが、私の嫌われる勇気なのだ。
(K)
<本当に自分を大事にしているか>
嫌な思いをしているのに、
「今の関係がくずれたらどうしよう」
「怒らせてしまうかもしれない」
「言っても伝わらなかったら傷つく」
だから言わない。
これは自分を大事にしているように見えます。
自分が傷つかないよう、
自分の状態を悪い方に持って行かないよう。
しかし、「今嫌だと感じている自分」は
大事にされていない。
上下関係などで自分の居心地に安住している人は、
相手がどう思っているのか、
いつの間にか鈍感になってしまうことがあります。
私自身、よくあります。
感受性が鈍ってしまった人は、
相手が嫌な思いをしていることを、
想像すらしなくなってしまいます。
少なくともここに、「今嫌だと感じている思いがある」
ことだけでも形にしなければ、どこかで声を上げなければ、
ないものにされてしまいます。
自分自身の思いを大事にするために、
きちんと伝える必要があるように思うのです。
(たまふろ)
<小さな積み重ねでようやく>
ようやく、
「悪く言われて傷つくんです」「傷ついているんですよね」
と、伝える事ができるようになってきました。
進歩なのです。
「私は傷ついている!」
との訴えも。
人相手に。
または独り言でもどんどんと。
そんな自分を許し、許せるようになってきました。
(きこりん)
嫌がられているのに気づかずグイグイ来る人、
無意識に、自分の方が上だ、という思い込みが
ある場合も多いのかな、と思う。
つまり、すこし相手を見下している。
見下しているから、
「少々悪いことしても、この人は離れていかない」
と安心して、グイグイ嫌な態度をとりつづける。
でも、親でもない、恋愛中でもない相手は、
離れていくんだよね。
悪いことしたら、嫌いになる。
他がどんなに優れていようと、離れていく。
「嫌だ。」
という意思表示は、相手にとってもいいこと。
自分の方が上だ、という思い込みを取り去り、
現実に戻させる効果がある。
つくづく、自分に「嫌だ」と言ってくれる相手は有り難い、
大事にしなきゃな、と思う。
あと2通紹介してきょうは終わろう!
<他人と上手に付き合えない3人を見て、>
前回の「読者の声」で投稿を紹介していただいた、
「もつ」です。
思えば、決別した3人には、友達が1人もいませんでした。
元同級生は、
他の同級生に聞いても、
誰も20代後半以降の彼女の今を知らず(現在50代です)、
付き合いがあったのは、私が最後だったとわかりました。
元同期は、
結婚後に新居に招かれたのは数人の先輩だけ。
その人たちも再訪はなく、やはり誰もその後を知りません。
決別した3人の中でも、私は、
元同期に特に嫌な思いをたくさん受けました。
ただ、当時、彼女は、
1人で認知症のお母さんの介護をしていて、
突然見放すのは可哀想な気がしたため、
2年ほど経って彼女がお見合い結婚し、
1人じゃなくなったことを見届けてから、縁を切りました。
元上司は、
公私混同する勤務態度を問題視され、
管理職から一般社員に降格となり、
今は社内で話しかける人は誰もいないそうです。
他人と上手に付き合えない3人を見て、
「他人は自分を映す鏡」、という言葉を思い、
自分の今の環境を見回し、これを確認しました。
自分も、あるいはどこかで他人に嫌われていやしないか?
(もつ)
<今まで自分で自分を傷つけてきた>
そりゃ気づくわけないですよね。
だって、嫌だと気づかれないように返事してるんですもの。
嫌がってるとバレたら、相手が悲しがるかもしれない。
怒るかもしれない。
共通の知り合いとの縁にもヒビが入るかもしれない。
何より、否定的な返事をすることで、
自分の心も傷つけてしまうような気持ちになる。
そんないろんな感情がグルグルして、
とにかく感じのいい人だと思われるように、
嫌で嫌でしかたなくても断れずにいました。
でも、嫌で嫌でしかたなく行ったランチは、
食べた後、お金がもったいない、
という気持ちが残るんです。
ランチはおいしかったけど、
その人と過ごした時間はマズかった。
ある日、食後に来た「またランチ行こうね!」との
LINEを既読スルーしました。
ものすごく勇気のいる行為でした。
でも勇気を出したことで、
わたしは自分にウソをつかなくて済んだんです。
自分の素直な気持ちを大切にしたのは、
きっと今までの人生で本当に数少なくて、
やっとの思いで移した行動は
既読スルーっていう小さなものでしたが、
そんな小さなこともできずに
自分で自分を傷つけてきた今までを思えば、
よくやったと思います。
これからも少しずつでもいいから、
自分の気持ちにウソをつかないように
できたらいいなと思います。
(さいたさいた)
※次回は1月22日(水)更新です。
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ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!
録音版をぜひお聞きください。
●「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
(MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
または、iTunesからのダウンロードとなります。
ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!
▲『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。
『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!
『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
――山田ズーニー。
▲『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。
『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!
▲文庫版でました!
あなたの表現がここからはじまる!
『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)
ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/
おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。
「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!
『考えるシート』文庫版、出ました。
『話すチカラをつくる本』
三笠書房
NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。
『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫
自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!
『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社
『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社
『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書
内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)
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