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質問:
小説を書く時は、
何が問われていると思いますか? |
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「問題を解いて正解がある」
というクセはなかなか抜けないもので、
「正解」からどれだけ自由になって
仮説を作ることができるのかが、
小説を書くことだと思います。 |
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「因果関係」も
ひとつの仮説の作り方にすぎないんです。
現実にあるものの中で
「正解」や「理屈」で説明がつくのは
ほんの一部分にすぎないわけですから、
こういう事実と
こういう事実がつみかさなって、
こういう意外なことが出てくるというところを
時間をかけて考えると…… |
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いつも考えつづけてないと
なかなか考えのモードは変わらないものだけど、
そこのところはさっき話した
民主主義の浸透と同じで時間がかかるんです。 |
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時間をかけないで
変わるものなんてたいしたことないし……
それでそうやっていつも考えていると
小説を書くことができるようになると思うんです。 |
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楽器も絵も最低限の練習が必要だけど
文章は誰でも書けるから……
小説家と役者と歌手には、
練習しなくてもうまい人がいるわけですけど、
つまり
「練習してうまくなる種類のものではない」
と考えたほうがいいのかもしれない。 |
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小説なら「文章を練習した人」より
「縛りから自由な人」
になれるかどうかが問われているような……。 |
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明日に続きます。 |
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