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質問:
カイエ・ソバージュ・シリーズが
おもしろくなった理由は何だと思いますか。 |
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ここ最近の
中沢さんの飛躍の理由のひとつに、
このシリーズの講義をしていた最中に起きた
「9・11」があると思います。
あの事件が起きたことで、
この講義を続ける動機をもらった、
という面も多分にありました。
「なぜ一神教の世界は
うまくいかなくなるのだろうか?」と……。 |
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いつもの会話でも
話がすごく面白いので、
講義の準備も「ちょちょい」なのかなと
思っていたのですが、大間違いでした。
つまり、講義の構成を
きちんと考えているということです。
準備用のノートがあり、
キーワードをつなげたり、丸で囲んだり、
考えたことを記しておいたりと
見えないところで努力しているんだと知り、
ますます信頼するようになりました。 |
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それから、
講義のテープ起こしに手を入れる際は、
こちらは基本的には
「みなさん、
今日は何の日かわかりますか?
ぼくの誕生日です!」とか、
「最近のモー娘のあの子について……」
というような、明らかに
単行本に入れないであろう内容だけは
整理して中沢さんにお送りしていました。 |
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するとそれに見事に
手を入れてくださるんですね。
実際聞いていて
もうすこし話を聞きたいと思ったところが
しっかり書き足されていたりして、
ご自分の原稿を客観的に見ることが
できる方なんだというのは毎回感じました。 |
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そして「もうすこし話を聞きたい」と
こちらが希望した以上に
二歩も三歩も突っこんだ話を
書いてくださることには参りました。
毎回すげぇなぁと思いました。 |
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カイエ・ソバージュ・シリーズを作って、
本のひとつの理想像を体験できたと思います。
話のレベルや質を落とさないまま、
多くの人に届く本は作れるんだ、と。
専門分野の難しいテーマなんだから、
一所懸命勉強しない人には
通じないところがあっても仕方がない、
という雰囲気も学芸出版にはつきものなのですが、
その部分をもうすこし何とかできるのではないか、
と思うようになりました。
(次回に続きます。) |
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Photo : 大森克己
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