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質問:
編集者として、これまで、
どんなふうに本を作ってきましたか。 |
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最初に通った企画は
ジャマイカでラスタの研究をしている
文化人類学の先生の企画でした。
学生時代によく聴いていたのがレゲエで、
レゲエの本を作りたいと思って
探した方なのですが、企画会議で
「レゲエはただの南国の音楽ではなくて、
ラスタファリズムという
思想が貫かれていて、虐げられた
黒人のメシアニズムがその背景に……」
とプレゼンすると通りました。 |
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どうすれば企画が成立するのかといった
初歩の初歩から掴んでいくところからの
スタートだったんですけどね。
結局その先生とは
まだおつきあいはありますが、
本にはなっていません(笑)。 |
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毎週編集会議時代は、約一年で終わりました。
というのは依頼した原稿が書きあがりはじめ、
いよいよ創刊ということで、
実際の入稿作業が始まったからです。
ここで実際の編集作業に入ります。
ここでいう編集とは、
読みにくい漢字を開いたり、
小見出しを入れたり、
タイトルを考えたりというような
わりと小手先のものでした。
最初はとにかく
書いてもらうというだけで必死でしたから。 |
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ただだんだん、
すごくおもしろい人の原稿とかを読むうちに、
どんなテーマであれ、なんとかおもしろくして
読者に届くようにしたいという気が出てきて、
原稿をおねがいする時の誘導の仕方に
力を入れるようにはなりました。
そういう工夫でできあがってくるものが
変わったりするとわかったので。
まぁ、まともに働けるようになるには
六〜七年はかかったと思います。 |
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実はメチエの創刊時に
第一巻を丸山圭三郎先生にお願いしていました。
一巻は、個別のテーマではなく
大きな視座を与えてくれるようなものを
考えていたからです。
ところが創刊の半年前、
丸山先生が急逝されました。そこで急遽
第一巻を今村仁司先生に書いてもらおう
ということになりました。
(今村先生は、別のテーマですこし後に出す予定でした) |
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しかし今村先生も
そんなにすぐには書けないと仰られ、
では講義をしていただき
それを起こして本にしようと
創刊も数ヵ月前に迫った秋の日に、
二日間にわたって
「近代とはなにか」
についてのお話をうかがいました。
その講義を拝聴したとき、
もやもやしていたものがはっきりとした像を結ぶ
快感があったことをよく覚えています。 |
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その後、
池田清彦先生の『さよなら、ダーウィニズム』
高山宏先生の『奇想天外! 英文学講義』といった
一連の講義ものを企画しました。
書くと難しくなるものを語りにすることで、
わかりやすくできる。
また人を前にして語ることで、
臨場感も出てきますし。
しかも、早くできるというのが
編集者にとってはありがたいんですね。 |
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談話は、今日で終わりです。
ご愛読いただいて、ありがとうございました。
感想などを、ぜひ、お送りくださると幸いです。 |
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『アースダイバー』
◆著者:中沢新一
◆講談社
◆定価:1890円(税込)
◆ISBN:4062128519
タモリさん、中沢新一さん、糸井重里による
『アースダイバー』座談会は、
近日「ほぼ日」に登場します!
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Photo : 大森克己
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