怪・その32

「冬の駐車場」

冬の話なので
あまり怖さを感じないかもしれませんが、
とても印象に残っているので投稿しました。

私が住んでいる団地は、
冬になると除雪当番があります。

一昨年のお正月のことです。
私が担当の日、
まだ薄暗い早朝から雪かきを始めました。

夜中に降った雪は十数センチは積もっていましたが、
その日の朝は、雪はもう止んでいました。


お正月ということもあって、
早朝から出掛ける人もなく
寒い中、
ただ私一人だけが重い雪と格闘していました。

約三十分ほど掛けて
自分の駐車スペースと建物の周りの
およそ六割程度終わったころには
あたりはもう明るくなってきていました。

「最後は娘の駐車場だな〜。」

と考えながら、
そちらのほうを見ると

娘の車とその隣の車の間に
上下シルバー色の防寒服を着た
ロングヘアーの女性が
携帯電話を操作している姿が見えました。


私はこの団地に住んでいる住人を
そんなに知っているわけでもないのですが、
出勤時や帰宅時には
一度も見かけたことのない人でした。

その後数十分たち、
ようやく娘の駐車場に向かって、
そばに近づいたとき
気付いてしまったのです。

さっき見かけた女性の立っていた場所に、
なんの跡もないことを。

足跡などあるどころか
その周りはずっと新雪のままなのを‥‥。

(AK)

こわいね!
2015-08-28-FRI