ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2009-05-27-WED

果てしなく続くインテルとACミランの
「ミラノ・ダービー」。

インテルの通算17個めのスクデットを祝う祭典が行われ、
ミラノの街は機能停止状態になる騒ぎでした。
永遠のライバルの勝利がお気に召すはずのない
ACミランの会長でもあるベルルスコーニ首相を尻目に、
インテルのモラッティ会長は、
彼のチームのモウリーニョ監督へのプレゼントとして、
すぐに3人の選手を買い与えました。
どうせモラッティには、
お金が足りないなんてことはないのでしょう。

adriano

彼は、ジェノアからミリトとティアゴ・モッタを
4千万ユーロほどで、それから、
ヨーロッパでとても期待されている
チームのひとつであるトゥエンテ(オランダ)から、
若いアルナウトヴィッチを、買い受けました。

それでもなお、インテルは、
来期のスタートに不安をいだいています。
バロン・ドールをねらっているイブラヒモヴィッチが、
ヨーロッパでもっと活躍しているチームへ
移りたがっているようなのです。

レアル・マドリード、
フロレンティーノ・ペレスが新会長に。

スクデット獲得の祝祭パーティーで、
イブラヒモヴィッチは、
インテルから去る可能性があることや、
3〜4年でチームを移籍するほうが好きだ
などと明言しました。
この発言は、彼をバルセロナや
レアル・マドリードの申し出から遠ざけようと、
彼の報酬を引き上げる用意のあったモラッティ会長を、
飛び上がらせました。

そして肝心なモウリーニョ監督はといえば、
レアル・マドリードと接触しています。
ただ、インテルに残留する確率が99.99%だと、
直後に発言していますが‥‥。

adriano

レアル・マドリードは6月15日に
新会長を選出する予定で、
すでに立候補しているフロレンティーノ・ペレスが
最有力であろうと言われています。
彼は以前にもこのチームの会長を務めており、
その時期には、フィーゴ、ジダン、ロナウド、
ベッカムといったトッププレイヤーたちを購入して
敏腕ぶりを発揮しました。

ペレスは、何かを思いついたら、
その考えを変えさせるのは難しい男ですから、
本当に彼がレアル会長に納まれば、何が起るか、
まだまだ油断は禁物というのが、実際のところです。

モラッティは、このイブラヒモヴィッチやモウリーニョ、
そしてバロテッリを確保しておくために、
大変な高額金を使うことになるでしょう。
ところでそのバロテッリですが、
スクデットの祝賀パーティーを欠席しました。
なんでも特別なヘアカットをしに
ヘアサロンに行っていたというのですが、
スクデット獲得後の最初の練習に現われた彼の
新しい髪型が、これです。

adriano

レオナルド、ACミランの監督に。

さて、数々の問題を抱えているACミランですが、
特に重要な問題を解決するために、
ベルルスコーニ会長みずから、
個人的に話しをしなければなりませんでした。

カルロ・アンチェロッティ監督が、
年俸800万ユーロの3年契約で
チェルシーに移るのですが、
その後埋めが簡単ではなかったのです。
最終的にベルルスコーニが選んだのは、
世界中で勝利を収めたレオナルド・ナシメント・
ジ・アラウージョでした。
彼は日本でも、1995年の
鹿島アントラーズの優勝時に
選手として在籍していましたね。

adriano

最初は、
監督のライセンスを持たないレオナルドは辞退し、
フィリッポ・ガッリか
マウロ・タッソッティ(元ACミラン選手)が
新監督になる可能性もありましたが、
最終的には、ベルルスコーニが電話で、
新監督になってくれるように
レオナルドを説得し、一件落着しました。

選手としての素晴らしいキャリアに加え、
今、レオナルドには監督としての
キャリアが開けたことになります。
かつてACミランでプレイした人々を歓迎するのは、
ACミランの伝統です。
カペッロやアンチェロッティも、
そのように歓待されたのです。

adriano

ACミランにはカカの案件もあります。
レアル・マドリードとチェルシーが、
彼を獲得するために記録的なオファーを
提示する準備を整えていますが、
まさにこの件について、レオナルドは、
カカを絶対に手放さないという約束を、
ベルルスコーニから取り付けたようです。

adriano

そういうわけで、ピッチの外でも、
インテルとACミランの「ミラノ・ダービー」は
果てしなく続くのです。
ベルルスコーニはインテルの連覇を阻止すべく、
ふたたび記録的な金額を使うつもりのように見えます。

世界中の国々と同じく、
イタリアも底無しの経済危機の中にあり、
首相は、つまりベルルスコーニは、
国民に犠牲を要求し続けています。

他のあらゆることのためになら、
我慢や犠牲が必要な時もあるでしょう。
でも「ベルルコーニのために」というのは、
ちょっと‥‥。

いずれにせよサッカーは、
現実とは別世界に属しているのです、
特にイタリアでは。


訳者のひとこと

経済危機‥‥たしかに。
日本でもそうですが、
結局お金は、ある所にはある、
つまり格差が広がっているだけ、
ということでしょうか。

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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