ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2010-01-27-WED

ロッシ、F1参戦か?

世界チャンピオン9回の男が、
世界チャンピオン7回の男のポストを
引き継ごうとしています。
ほかでもない、
イタリアの根本的に重要な企業であり、
世界的に最も知られているフェラーリの「顔」として。

franco

かつてF1で7回の世界チャンピオンに輝き、
うち5回はフェラーリを操縦して勝利した
ミハエル・シューマッハは、
当時、フェラーリの顔として君臨していました。
そのシューマッハが、3年間の休業を経た今、
帰り咲こうとしています。
それも、世界的レベルを再び叩き出そうとしている
ドイツのメルセデスチームの防衛に、
乗り出すというのです。

franco

この知らせに、
フェラーリやFIATの会長である
ルーカ・コルデーロ・ディ・モンテゼーモロは、
大いに気を悪くし、
「ミハエルは我々を裏切った。
 彼は最後にタイトルを取った後で、
 もうレースには戻らないといっていたのに。
 メルセデスチームに戻るとは
 とても残念な知らせだが、
 フェラーリは、
 彼がいなくても勝利するだろう」と
語っています。

フェラーリチームを防御し、
今年のミハエル・シューマッハ復帰という
裏切り(?)にたいしては、
やはりかつての世界チャンピオンである
フェルナンド・アロンソが
応戦してくれるでしょう。

ただ、アロンソはスペイン人なんですね。
モンテゼーモロは、
ほかの全てのイタリア人たちと同様に、
フェラーリを運転するのは
イタリア人であって欲しいと思っています。
そこで浮上してきたのが、
9回の世界チャンピオンに輝いたイタリア男、
ヴァレンティーノ・ロッシです。

franco

試乗結果は上々!

ヴァレンティーノは,
最初はホンダで、後にヤマハで、
いずれもバイクでですが、
「世界タイトル」を勝ち取っています。

典型的なラテン系の外向的性格をもつ
青年ヴァレンティーノの夢は、
バイクのレースからF1に移ることです。
一方、正反対の性格である
ドイツ人のシューマッハは、
彼を取り巻く環境もひっくるめて、
ほとんど憎らしいほど冷静です。

ラテン系イタリアの象徴のようなフェラーリの希望は、
イタリア人ドライバーを擁立することであり、
ここにドライバーと企業の
ふたつの思いが重なるという出逢いがあるからには、
彼らの思惑が実現する可能性は大きいといえます。

すでにモンテゼーモロが
ヴァレンティーノ・ロッシに
フェラーリの試乗を要請し、
色よい即答をもらっています。

「F1で戦うのは最高だし、
 レースカーのドライバーにとって、
 フェラーリを運転するのは
 これ以上を望めないことですよ」と、
ヴァレンティーノは答えているのです。

franco

ヴァレンティーノの最初の試乗は、
トスカーナ州にあるムジェッロの
サーキットで行われました。
バイクのクラシックレースも行われる場所なので、
彼はここを良く知っています。

結果は上々で、その後、
もはや秘密裏にではない試乗が、
フェラーリがグランプリで走らせる車の
テストをするフィオラーノで、
数回行われました。

その試乗でも、
とんでもなく良い結果がでました。
何年にもわたりバイクで
世界有数のドライバーであった
ヴァレンティーノは、
何周かするうちにサーキットの勘を取り戻し、
車でも充分に行けることを見せたのでした。

franco

ロッシはチャンピニッシモになるか?

「とても良い感じだった」と
ヴァレンティーノは言い、
こう付け足しました
「もう、ぼくが決めることではなく、
 フェラーリ側が決めることだ‥‥」と。

本当のことをいえば、まず、
ヴァレンティーノを裕福にした
スポンサーたちの意向によるのですが、
もし彼のF1参戦が実現すれば、
スポンサーたちは
さらに彼を裕福にすることでしょう。

イタリア人ドライバーが
2011年にフェラーリを運転すると発表する、
これは本当に実現可能な願いです。

そうなれば、
ヴァレンティーノはチャンピオンから
チャンピオニッシモ(最高のチャンピオン)に、
お金持ちから超お金持ちになるのでしょうね。

彼は今年、31歳になります。
シューマッハが
ドライバーズタイトルを獲得した時と同じ、
31歳に‥‥

franco


訳者のひとこと

ラテン系の熱い男か、
ゲルマン系のクールビューティーか、
う〜ん、どちらも捨て難いですね。

‥‥というお話しではなくて、
イタリアには
「自分の故郷」とか「自分の家族」などに
誇りを持っている人が多いので、
フェラーリにイタリア人ドライバーを
という願いは、本気だと思います。

どこの国でも、
男性とはそういう生き物なのかな‥‥

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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