もしイタリアサッカー界に
論争もスキャンダルも無かったら‥‥?
イタリアサッカー界自体が
海の泡と消えてしまうかもしれません。
だって、そんなイタリアサッカーには、
みんな飽き飽きするでしょうから。
そんないつも騒がしいイタリアサッカー界に、
また論争が巻き起こりました。
ことは1月24日、
インテルとACミランが対戦する
ミラノ・ダービーで起こりました。
1回戦はインテルが勝ちました。
これは意表をつくことではありません。
4対0でインテルが勝った前回の結果や、
カンピオナートの順位を見ても、
この結果は想像しやすいものでした。
ところがインテルはこの勝利に満足せず、
突拍子もない議論の口火を切ったのです。
相手に難癖をつけて、
インテルに都合の良い審判のミスを、
いくつか隠そうとしたのかもしれないと思うほどに。
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モウリーニョの爆弾発言とは。 |
2対0の勝利をおさめたモウリーニョ監督は、
当然、チームや選手たちの功績を語るだろうと、
だれもが待ち受けていました。
勝利直後の監督は、
通常そうするものですから。
ところが、モウリーニョ監督が放ったのは
爆弾発言でした。
「動機ははっきりとしないが、
カンピオナートでインテルを勝たせないための、
よく仕組まれた陰謀が進行中である」
と明言しながら、
フェデレーションを始めとする
サッカー界の権威らに対して、
ひどく乱暴な議論をつきつけ、
論争の導火線に火をつけたのです。
翌日にはインテルのモラッティ会長が、
ACミランに有利な複雑な操作がなされていると発言し、
さらに議論をあおりました。
客観的に見れば、実際には、この話題に進むほどの
インテルに大きく不利な状況なんて、
このダービーでは見受けられなかったのですが、
インテルはこのチャンスを利用して、
イタリアサッカー界に
ベルルスコーニの操作があるかもしれないことを、
周囲に解らせようとしたのでしょう。
モウリーニョやモラッティの当て推量によれば、
ACミラン会長でイタリア首相のベルルスコーニは
ACミランに勝ち組の印象をつけて、
チームの能力に不満を抱いているティフォーゾらの
好感度を上げようとしている、というのです。
なぜならば、この春、
イタリアでは州議会の選挙が行われます。
そしてベルルスコーニが考えることは、
まいどおなじみのアレでしょう。
カンピオナート1位のチームの会長としてなら、
いくらかでも票数を上げられるかもしれないという‥‥。
ベルルスコーニはイタリアの右派の代表であり、
モラッティは公然と左派の人間です。
モラッティの弟の妻、つまりインテル会長の
義妹であるレティツィアは、ミラノ市長ですが、
彼女はベルルスコーニの党派に所属しています。
それもあって、見えない所でとはいえ、
おそらく家族間の戦いが、
存在理由のない議論をふくらませたことも
考えられます。
ぼくの多くの経験上、
5連覇になろうとしているインテルに
優勝させないための陰謀は、
全く無いと思います。
しかし、ダービー終了時に、
インテルのマルコ・マテラッツィが
ベルルスコーニのお面をかぶって
ピッチに入った時、
ことは奇妙に醜い事態になりました。
まったくひどい「からかい」ですが、
多くの人は、
ACミラン会長としてというより、
政府首相としてのベルルスコーニへの
「からかい」と理解しました。
このことをベルルスコーニは許し、
好印象さえあたえました。
全てのイタリア国民の守護者として、
ふところの深さを見せたということでしょうか。
この他に、
別のスキャンダルも起きました。
フィオレンティーナ所属の
ルーマニア人アタッカーである
アドリアン・ムトゥーが、
アンチドーピングテストで
陽性になったのです。
ムトゥーは、
すでにチェルシー時代に
コカインの陽性反応を出し、
7ヶ月の出場停止になっています。
今回の陽性反応に
フィオレンティーナ側は仰天し、
TOD'S会長であり
フィオレンティーナのオーナーでもある
ディエゴ・デッラ・ヴァッレは、
もし彼が出場停止になれば
フィオレンティーナの印象を
著しく傷つけたことで、
彼を解雇すると、明らかにしました。
最低でも1年の出場停止になると、
ぼくは思っていますが。
あれやこれで、
イタリアサッカーは
世界一優良ではないでしょうが、
退屈じゃないことは確かです。