ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2010-02-23-TUE

いろんなことを少しずつ
(夏のメルカートに向けて)。

イタリア・サッカー界は
夏のメルカートに向けて、
すでに、水面下で動きが始まっています。
選手、監督、オーナー‥‥いろんな人間が
いろんな思惑でやって来ては、消えてゆき、
また現れ‥‥それはまるでグランド・ホテルのようです。
今回は、そんなお話です。

ベルルスコーニ、返り咲きを狙う。

まずシルヴィオ・ベルルスコーニが、
サッカーにおいてもナンバーワンにもどりたいと
願っています。
彼のACミランは、
もはやヨーロッパの列強のひとつではありません。
イタリアでは今やインテルの陰にいる格好です。
そして彼が昨年の夏にACミランを任せた
レオナルド監督に対する大きな愛情は、
2月16日の対マンチェスター・ユナイテッド戦での
敗北で、見事に冷え込んだようです。

franco

敗戦の翌日に、
「ACミランはとても強いチームだ。
 勝たないのは、
 うまくプレイさせない監督のせいだ」と
ベルルスコーニは言いました。
この発言が、レオナルドとACミランの分離を、
事実として公にしたことになります。

ということは、シーズン閉幕時には
レオナルド監督との別離があるでしょう。
このことから、
ACミランは監督を交代させるだけでなく、
カルチョメルカートでも
大きな投資をするであろうことが分かります。

franco

選挙の時期が近づいており、
ベルルスコーニは、
一番をとる勝利者のイメージの自分を
見せたいと思っています。
彼の、まいどおなじみの作戦ですね。

サッカー界は、グランド・ホテル。

カンピオナート以外では、
ACミランとフィオレンティーナは
UEFAチャンピオンズ・リーグの
決勝トーナメント第1試合で敗退し、
ローマとユーベは
ヨーロッパリーグで戦いました。
インテルはチェルシーとの対戦を
待っているところです。
ここまでではユーベが、
素晴らしいデル・ピエロのおかげもあって、
勝利をおさめた唯一のチームという結果です。

ユーベの新しい監督であるザッケローニは、
チームをデル・ピエロに託し、
彼は強靭なテクニックと動きで、これに答えました。

franco

まさにユーベのアイコンである
デル・ピエロとの契約は、
6月に切れますが、
2012年までの新しい契約、
つまり彼の現役の最後までの契約が、
もう準備されています。

こうした中で、
メルカートにおいて特に興味深いのは
ACミランの動きです。
というのも、
インテルのマリオ・バロテッリ選手が、
インテルの公開討論で、
なんとちゃっかりとACミランへの愛情を
表明してしまったのです。
このことがモウリーニョ監督と
モラッティ会長の怒りを買いました。

franco
バロテッリは
ACミラン対マンチェスター・ユナイテッドの
試合を観に、サン・シーロ競技場に出かけており、
自分がACミランのティフォーゾであることを
認めました。

franco

その翌日には、彼は少年たちに会いに行ったのですが、
「UEFAチャンピオンズ・リーグを制覇するまで
 インテルにいてね」と懇願する子どもたちに、
バロテッリは微笑みながら
「じゃあ、生涯インテルにいよう」と答えました。
これはつまり、インテルの長年の悲願であり、
かなわぬ夢のように愛してやまない
UEFAチャンピオンズ・リーグ優勝杯は、
ずっと勝ち取れないんだよと
言っているのと同じことです。

これを受けたACミランのベルルスコーニ会長は
「バロテッリがインテルを離れるようなら、絶対に買え」と、
彼の重役たちに決然とした命令を下しました。

実現すれば、
ロベルト・マンチーニが
マンチェスター・シティーに入れたがっている
パトの代りということになるのでしょうか。

いっぽう、インテルに
ブラジルのフラメンゴへ送りかえされ、
人生を立て直したアドリアーノは、
イタリアにもどる用意があると言っています。

franco

「ぼくの夢は、
 ASローマでトッティと一緒にプレイすることです。
 それを願っています」と。

これが実現するのは,
W杯の後でしょう。

来る人あれば行く人あり、
まるで大きなホテルのように‥‥。

そういうわけで、
この夏のメルカートは、
すでに始まっているのです。


訳者のひとこと

冬季オリンピックの結果も
気になるところですが、
イタリアもまだ金メダルをとっておらず、
今のところ1個の差で
日本のすぐ上にいますね。
日本と気候が似ているイタリアは、
トリノ冬期オリンピックを開催したくらい、
ウィンタースポーツも盛んなのですけどね。

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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