ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2010-03-09-TUE

W杯後のアズーリ監督は?

W杯南アフリカ大会まで、
あと100日足らずになりました。
前回のドイツ大会で優勝し、
世界チャンピオンの座にいる
イタリア代表チーム、アズーリは、
南アフリカ大会後すぐに監督を変えねばならないことが、
すでに分かっています。
現監督のマルチェッロ・リッピが、
続投はしないと答えているからです。

franco

退任後の心配がないリッピ。

代表チームを監督するだけでも
大変な重圧でしょう。
そこに加えて果てしなくつづく論争や討論、
ほぼ全ての新聞やテレビによる批判などのストレスが、
リッピを本当に疲れ果てさせたのです。

すでに彼の先行きについては、
W杯後すぐにユヴェントスの総監督になるとか、
または直接に会長職に付くだろうなどと言う人もいれば、
プライベートな暮らしに引っ込むだろうと言う人もいます。

どのみちマルチェッロ・リッピは、
全てに勝った男としてイタリアサッカー史に残ります。
ユヴェントスの監督としては
スクデットやUEFAチャンピオンズ・リーグなど
様々なタイトルを獲得し、
代表チーム、アズーリを
世界チャンピオンにしたのですから。

franco

それに、監督を引退したところで、
どうころんでも、リッピの今後の生活は
輝かしく栄光に満ちたものになるでしょう。
W杯ドイツ大会に勝利した翌年、
彼は一般企業へ講演に行き、
チームを(つまり仕事のグループを)
「良い」から「きわめて良い」へ、
そしてさらに「きわめて良い」から「勝ち組」へ
(つまり、どこよりも優れている)へ、
どうフォーメーションするかをレッスンしましたが、
そういったサッカー以外の場もふくめた
あらゆる講演やレッスンで収入を得る可能性にも、
こと欠かないでしょう。

次の監督はチェーザレ・プランデッリ?

さて、アズーリは、
南アフリカへ出発する前の最後の親善試合として、
3月3日に、サミュエル・エトーのいる
カメルーン代表との試合に挑みました。

ところがこれが、
まったく見たことも無いほど酷いゲームに
数えられるほど、惨憺たる結果に終わりました。
新聞各紙や、イタリア・サッカー連盟(FIGC)会長の
ジャンカルロ・アベーテによる批判は、
とどまるところを知りませんでした。

franco

アベーテは、リッピがバロテッリ選手を
招集しなかったことを責めました。
この21歳の素晴らしい選手は、
イタリアのティフォーゾたちの気持を
つかみつつあるというのに、
なぜアズーリに呼ばないのか、と。

そもそもリッピは、
バロテッリを代表チームに呼んで
南アフリカに連れて行くつもりはありません。
リッピの契約更新が不成功に終わったことにも
苛立っているアベーテは、
リッピはサッカーの新しい贈り物を拒否して
古さから抜け出せない男だという世評を持ち出しつつ、
リッピの立場を悪くしました。
リッピは4年前のW杯ドイツ大会で優勝した
カンナヴァーロ、グロッソ、カモラネージ、
ガットゥーゾほかの、
ここしばらくで落ち目になっているのが
目に見えている選手らにこだわり、
サッカーの申し子のようなバロテッリを
無視している、という意味をこめて。

いずれにせよ、
イタリア・サッカー連盟は、
W杯が終わる前に
次の監督を決めておかないわけにいきません。
そこで、
ここ数年の活躍でマスコミが一目おいている、
フィオレンティーナの現監督
チェーザレ・プランデッリに、
ねらいが定められました。

franco

プランデッリは53歳で、
フィオレンティーナの前には、
ヴェネツィア、ヴェローナ、パルマ、ASローマの
監督を歴任した人物です。

優秀で、清潔な顔つきで、
議論の喧噪からはいつも離れていた彼は、
アズーリのような
伝統ある代表チームをリードするに、
適役と思えます。

franco

この情報は、
まだオフィシャルなものではありませんが、
最終的にこの結果が出た時に、
読者のみなさんが
「あ、フランコの言った通りになったな」
とおっしゃることになるはずです。


訳者のひとこと

正直に申し上げますと、
「スコアレスドロー」というのがあるのを、
このカメルーン対イタリア戦で
私は知りました。
双方ともに生彩を欠いた試合だったと、
日本でも報道されましたね。

日本代表はリーグ戦でカメルーンとも
対戦するわけですが、
さて、どうなることでしょうか‥‥。

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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