そうですか、しょうがの炊き込みご飯ですか。 いただこうじゃないですか。 |
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糸井さん、ごめんなさい、 もうちょっとで炊きあがりますので、 少々、もう少々お待ちくださいー。 |
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わかりました。 少々ですね、少々お待ちしますよ、ぼくは。 |
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じゃあ、炊き込みご飯の前に、 しょうがシロップをいただきません? |
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しょうがシロップー。 |
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もちろん、掘ってきたしょうがで つくったんですよね。 |
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しょうがシロップは基本ですから。 たいせつです。 で? だれがつくったんですか? |
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山下さんと、おーたちゃんでーす。 |
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ほお、山下さん。 |
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しょうが掘りに行った日の夜に、 さっそくつくりました。 これです。 |
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一同 |
おー(拍手)。 |
ちょっと黒いね。 |
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ほんとだ、色が濃い。 おーたちゃんのは? |
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こちらですー。 |
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一同 |
おおおーー(拍手)。 |
こっちは薄いね。 |
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ピクルスっぽいです。 おいしそー。 |
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じゃあ、ふたを開けて、と。 スプーンですくうと‥‥ なんか、こんな具合になりました。 |
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わー、とろとろー! |
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なんでそういうふうになったんですかね。 レシピとかは? どうやってつくったんですか? |
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よくわからなかったので、シンプルに。 しょうが1に、きび砂糖1、水が2の割合で。 これの場合だと、 しょうが300グラム、きび砂糖300グラム、 水が600ccにしました。 |
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うん。 |
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しょうがを皮付きのままスライスして、 鍋に、材料ぜんぶを入れて中火でコトコト。 あくを取りながらつくりました。 |
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それだけ? |
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はい。 |
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煮るとき、レモンは入れなかった? |
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入れてないです。 ほんとうに、しょうがときび砂糖だけで。 |
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スパイスも入れてない。 |
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ええ、スパイスは上級テクニックな気がしたので、 とにかく最初はシンプルにいこうと。 |
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どのくらい煮たんですか? |
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ええと、1時間以上は。 |
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えー、そんなにぃ?! わたしなんか15分くらいでした。 |
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しょうがスライスは、こんなふうになって。 |
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一同 |
わーーー。 |
飴みたい。 |
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それはあれだ、 砂糖を煮詰めた、あれなんだと思いますよ。 |
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そうですよね。 カラメルになってるんですよね。 だからこのしょうがスライス、 お菓子みたいにおいしいんです。 |
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へえー、カラメル。 |
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焦がしてはいないですよね。 |
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焦がしてはいないです。 ずっと鍋の前にはりついていたので。 シロップというからには トロトロのほうがいいと思って、 ずーっと長いこと煮込んでしまいました。 |
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ああー。 それは、おれも通った道なんだよ。 |
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通った道(笑)。 |
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痛めつけるように煮込んでやろうとするんです。 でもシロップは結局あとで薄めるわけだから、 そんなに時間をかけて 濃い味にしなくてもいいんだよね。 20分とか30分煮ればいいんじゃないでしょうか。 |
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なるほどぉ‥‥。 |
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ジンジャエールとかにするときは、 結局シロップを薄めるんだから。 |
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あ、ジンジャエール! そうです、きょうはこれで、 ジンジャエールをつくるのを すごくたのしみにしてたんです。 |
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つくりましょう! |
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つくろう、つくろう! |
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まず、グラスにシロップを入れて‥‥。 これくらいかな? |
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とろとろ〜。 |
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炭酸水をそそぎまして‥‥。 |
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どう? できた? できた? |
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ん? んんん? |
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どうしたの? |
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いや、これ、混ざらない。 濃すぎて冷たい炭酸水に、 なかなか混ざらないんですよ。 ‥‥ちょっと待ってくださいね。 よーく混ぜれば‥‥よし、混ざった。 どうでしょう? |
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糸井さん、ぜひどうぞ。 |
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♪あ〜あ〜、あああああ〜。 (『北の国から』のテーマ) |
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また出ました(笑)。 |
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なぜこのタイミングで(笑)。 |
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♪あ〜あ〜、あああああ〜。 |
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‥‥いかがでしょう? |
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♪んんんんん〜、ん〜。 |
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‥‥どうなんでしょう? |
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ん〜、ちょっと、まあ、いいんですけど。 なんていうの? かき混ぜすぎるとソーダがとぶんですよね。 |
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ああー、そうかあー。 |
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なるほど、気が抜けた ジンジャエールになっちゃう。 |
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うん。 だから、濃く作りすぎないほうがいいんだ。 ジンジャエールの場合は。 |
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濃いと混ざらないから。 |
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ということは、おーたちゃんのでつくれば、 ちょうどいいかもしれないですね。 |
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あ、いいかもしれない。 |
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そうなんでしょうか。 |
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サラサラしてるから。 |
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つくってみましょう。 |
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じゃあ、糸井さん、ぜひどうぞ。 |
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はい、飲み比べます。 |
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一同 |
(今度は『北の国から』を歌わないんだ。 ああ、社長の発言パターンが読めない) |
ど、どうでしょう? |
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こっちはね、 甘さが足りなくなっちゃった。 |
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あー、今度はさっぱりしすぎ。 |
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わたしも、いただきまーす。 |
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どう? |
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そうですねえ、やっぱり薄め? これだとかなりシロップを入れないと。 さわやかなんだけど、辛みがない感じで。 |
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おーたくんの場合は逆に、 あんまり煮込まなかったでしょ? 15分くらい? |
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よく覚えてないんですが、 たぶんそのくらいだったかと。 |
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じゃあ、山下さんとおーたちゃんの ちょうど中間くらいの濃さが よかったんでしょうね。 |
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そうですねぇ‥‥。 ぼくのシロップは濃すぎました。 |
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でもほら、もしかしたらそれは、 お湯で割ったらおいしいかもしれませんよ? |
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そうか、お湯ならよくとけますよね。 |
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お湯、あります。 |
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ください、ください。 お湯割りをつくってみましょう(つくる)。 |
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わー、とけたとけたー。 |
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じゃあこれは、しほさん、どうぞ。 |
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わたし? |
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召し上がってみてください。 |
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あー、葛根湯の匂いみたい。 |
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ほんとだ。 そういえばしょうがって、 漢方薬にずいぶん使われているそうです。 |
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あったまりそう。 いただきまーす。 |
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どうですか? |
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からーい(笑)。 |
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いいリアクション(笑)。 |
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うん、でも、おいしい。 |
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よかったー。 |
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あの子のハタチのお湯割りに。 |
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え? |
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あの子のハタチのお湯割り(お祝い)に。 |
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はははは‥‥。 |
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いや、山下さんのも、おーたくんのも、 どっちもいいんじゃないですか? だってそれは、 どっちもしょうがは入ってますから。 |
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シロップづくりに、まちがいはない? |
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でも、ぼくのシロップのほうが おいしいですよ、たぶん。 |
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一同 |
おおー。 |
もう、くそ真面目につくりますから、 こういうものは。 |
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つくり方、きかせてください。 |
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やっぱりいちばん簡単でうまいのは、 20分ぐらい煮ればいいんじゃないですかね。 で、スパイスなんです。 シナモンとか、クローブとか、カルダモン。 しょうがの唯一の弱点は、 「ちょっと芋臭い」ことなんですよ。 煮込んでると、素直にいい匂いだけじゃない 何かがあるんですね。 そこにスパイスが効くのよ。 高級感が出るっていうか、 なにせ芋臭さがなくなるんです。 クローブは5粒くらい、 カルダモンもやっぱり5、6粒ですかね。 一緒に煮込むんです。 シナモンはこうやって、 パーンと(手を打つ)やって入れちゃう。 |
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スパイスはね、いいんですよ。 でも下手すると、カレーになっちゃうかなって。 |
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一同 |
カレー?(笑) |
それだけは気をつけたいなと。 カレーになるタイプのスパイスがあるんだよ、 クミンとか。 まあ、いずれはその辺も やってみようと思ってるんだけどね。 つまり「インドしょうがシロップ」 っていうのもあると思うから。 クローブにクミン、みたいなことすれば、 ちょっとインドになるんだと思う。 |
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あと、しょうがのスライス。 山下さんのは、 シロップの中にスライスを漬けたままだけど、 ぼくは保存食にしたいっていう 気持ちがあるんで、別にして干しちゃうんです。 ザルに並べて干しちゃう。 で、まだ生乾きのやつを袋に入れて、 そこにグラニュー糖をバーンってやって、 バババーって振ると、 スライスにグラニュー糖がバーッとまぶされて いい感じのお菓子になるんですよ。 |
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糸井さんが、いつも持ち歩いてらっしゃる。 |
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そう、小袋に入れて。 まあ、とにかく、 しょうがシロップはたくさんつくってますね。 瓶に入りきらないやつは、 容器に入れて、冷蔵庫に入れておくんです。 それでも入りきらない分は冷凍庫に。 冷蔵庫のほうを使い切ったら、 冷凍庫の凍ったやつを移動させて解凍する。 そのローテーションです。 ぼくがいないあいだに、 カミさんがぜんぶ使っちゃったりして。 |
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一同 |
へええーー。 |
うちのカミさん、 これに関してはすごい前向き。 |
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ジャムについてはどうだったんですか? |
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いや、それも食べてはいますよ。 リクエストとかしてくるしね。 「今度はあれがいい」とか。 ‥‥ああ、そうだ、 そういえば、しょうがのジャムもやりました。 |
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しょうがで、ジャムも。 |
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うん。 おいしかったけども、 シロップのほうが役に立つね。 しょうがをジャムにして よく紅茶に入れたりしてたんだけど、 それだったら、もういっそ シロップにしちゃったほうがいい。 |
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ジャムとシロップって 作り方がどうちがうのでしょう? |
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しょうがのジャムは、すりおろすのがたいへん。 縦にすると、繊維がグワーッとなって、 おろし板の刃にからみついて えらいことになっちゃう。 それはまちがいで、断面をすりおろすの。 繊維を壊し切るように、円を描くようにすりおろす。 たて(館?)ひろしじゃなく、まどか(円)ひろしで! そうすると、ねっとりとした感じになります。 でもね、それができるほど切れる刃金を 持ってる人は普通いないんですよ。 で、ぼくは寿司屋さんにそれをもらったの。 おかげでうまくできたんだけど‥‥ うーん‥‥ 果たして、そんなにまでがんばって、 ジャムにする必要があるんだろうかと。 |
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一同 |
(笑) |
でも、しょうがジャムは、 バターと合うんだよ! バタートースト! ほんのちょびっと塩を振ったりすると、 ものすごい、うまいの。 |
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一同 |
ああ〜。 |
みたいにね、心を揺らしてさ、 苦労してた時代があったんですよ。 ところがもう、シロップにしたら、 「これでいいや」になっちゃった。 |
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一同 |
なるほどー。 |
あ!(手を打って)、 ジャムのノウハウが生きてることが、 ひとつあった! |
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お、なんでしょう? |
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シロップをつくるとき、 しょうがをスライスするじゃないですか。 で、ボールに入れるじゃないですか。 そこにね、使う分の砂糖を ぜんぶザーって入れちゃって、 キムチのようにまぶして放っとくの。 半日でも1日でもいいから。 そうすると、ちゃんと砂糖が染み込んで、 なおかつ、 中の水分が、じゃんじゃん出てくる! |
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一同 |
へええーーー! |
これはジャムでやってたことなんです。 それに水を足して煮ると、 ぜんぜん出来がいい気がしますね。 |
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それ、糸井さんがつくってるところを 見たいですね、今度。 |
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別に、いま言っただけのことですけど、 かまいませんよ、お見せしますよ。 |
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ぜひ、お願いします。 |
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いや、けっこうね、 ここまで泳ぎ着くのにはね、 いろいろあったのよ(笑)。 ジャムの海を泳ぎ切ってさ、ここまできた。 |
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一同 |
(笑) |
‥‥あ、もう、あったまってきた。 |
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‥‥あ、ほんとだ。 |
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ちょっとおしゃべりしているあいだに。 |
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ポカポカしてきた。 |
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しょうがって、 おもしろいですねー。 |
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そして、さあ、みなさん、 炊き込みご飯ができましたよー。 |
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一同 |
おおーーーーー! |
(つづきまーす) |