ほぼ日ハラマキ PRESENTS しょうがの お勉強。
「しょうが掘り体験」編
その4 しょうがシロップをつくりました。
イトイ そうですか、しょうがの炊き込みご飯ですか。
いただこうじゃないですか。


コイケ 糸井さん、ごめんなさい、
もうちょっとで炊きあがりますので、
少々、もう少々お待ちくださいー。
イトイ わかりました。
少々ですね、少々お待ちしますよ、ぼくは。
あやや じゃあ、炊き込みご飯の前に、
しょうがシロップをいただきません?
みちこ しょうがシロップー。
コイケ もちろん、掘ってきたしょうがで
つくったんですよね。
イトイ しょうがシロップは基本ですから。
たいせつです。
で? だれがつくったんですか?
あやや 山下さんと、おーたちゃんでーす。
イトイ ほお、山下さん。
山下 しょうが掘りに行った日の夜に、
さっそくつくりました。
これです。


一同
おー(拍手)。
イトイ ちょっと黒いね。
しほ ほんとだ、色が濃い。
おーたちゃんのは?
おーた こちらですー。


一同
おおおーー(拍手)。
イトイ こっちは薄いね。
みちこ ピクルスっぽいです。
おいしそー。
山下 じゃあ、ふたを開けて、と。
スプーンですくうと‥‥
なんか、こんな具合になりました。


あやや わー、とろとろー!
イトイ なんでそういうふうになったんですかね。
レシピとかは?
どうやってつくったんですか?
山下 よくわからなかったので、シンプルに。
しょうが1に、きび砂糖1、水が2の割合で。
これの場合だと、
しょうが300グラム、きび砂糖300グラム、
水が600ccにしました。
イトイ うん。
山下 しょうがを皮付きのままスライスして、
鍋に、材料ぜんぶを入れて中火でコトコト。
あくを取りながらつくりました。
イトイ それだけ?
山下 はい。
イトイ 煮るとき、レモンは入れなかった?
山下 入れてないです。
ほんとうに、しょうがときび砂糖だけで。
イトイ スパイスも入れてない。
山下 ええ、スパイスは上級テクニックな気がしたので、
とにかく最初はシンプルにいこうと。
イトイ どのくらい煮たんですか?
山下 ええと、1時間以上は。
おーた えー、そんなにぃ?!
わたしなんか15分くらいでした。
山下 しょうがスライスは、こんなふうになって。


一同
わーーー。
みちこ 飴みたい。
イトイ それはあれだ、
砂糖を煮詰めた、あれなんだと思いますよ。
山下 そうですよね。
カラメルになってるんですよね。
だからこのしょうがスライス、
お菓子みたいにおいしいんです。
あやや へえー、カラメル。
イトイ 焦がしてはいないですよね。
山下 焦がしてはいないです。
ずっと鍋の前にはりついていたので。
シロップというからには
トロトロのほうがいいと思って、
ずーっと長いこと煮込んでしまいました。
イトイ ああー。
それは、おれも通った道なんだよ。
あやや 通った道(笑)。
イトイ 痛めつけるように煮込んでやろうとするんです。
でもシロップは結局あとで薄めるわけだから、
そんなに時間をかけて
濃い味にしなくてもいいんだよね。
20分とか30分煮ればいいんじゃないでしょうか。
山下 なるほどぉ‥‥。
イトイ ジンジャエールとかにするときは、
結局シロップを薄めるんだから。
山下 あ、ジンジャエール!
そうです、きょうはこれで、
ジンジャエールをつくるのを
すごくたのしみにしてたんです。
みちこ つくりましょう!
しほ つくろう、つくろう!
山下 まず、グラスにシロップを入れて‥‥。
これくらいかな?


あやや とろとろ〜。
山下 炭酸水をそそぎまして‥‥。

しほ どう? できた? できた?
山下 ん? んんん?
あやや どうしたの?
山下 いや、これ、混ざらない。
濃すぎて冷たい炭酸水に、
なかなか混ざらないんですよ。
‥‥ちょっと待ってくださいね。
よーく混ぜれば‥‥よし、混ざった。
どうでしょう?


山下 糸井さん、ぜひどうぞ。
イトイ ♪あ〜あ〜、あああああ〜。
(『北の国から』のテーマ)
コイケ また出ました(笑)。
あやや なぜこのタイミングで(笑)。
イトイ ♪あ〜あ〜、あああああ〜。

山下 ‥‥いかがでしょう?
イトイ ♪んんんんん〜、ん〜。

みちこ ‥‥どうなんでしょう?
イトイ ん〜、ちょっと、まあ、いいんですけど。
なんていうの?
かき混ぜすぎるとソーダがとぶんですよね。
あやや ああー、そうかあー。
山下 なるほど、気が抜けた
ジンジャエールになっちゃう。
イトイ うん。
だから、濃く作りすぎないほうがいいんだ。
ジンジャエールの場合は。
コイケ 濃いと混ざらないから。
山下 ということは、おーたちゃんのでつくれば、
ちょうどいいかもしれないですね。
みちこ あ、いいかもしれない。
おーた そうなんでしょうか。
しほ サラサラしてるから。
あやや つくってみましょう。

おーた じゃあ、糸井さん、ぜひどうぞ。
イトイ はい、飲み比べます。
一同
(今度は『北の国から』を歌わないんだ。
 ああ、社長の発言パターンが読めない)


おーた ど、どうでしょう?
イトイ こっちはね、
甘さが足りなくなっちゃった。
しほ あー、今度はさっぱりしすぎ。
あやや わたしも、いただきまーす。


コイケ どう?
あやや そうですねえ、やっぱり薄め?
これだとかなりシロップを入れないと。
さわやかなんだけど、辛みがない感じで。
イトイ おーたくんの場合は逆に、
あんまり煮込まなかったでしょ?
15分くらい?
おーた よく覚えてないんですが、
たぶんそのくらいだったかと。
しほ じゃあ、山下さんとおーたちゃんの
ちょうど中間くらいの濃さが
よかったんでしょうね。
山下 そうですねぇ‥‥。
ぼくのシロップは濃すぎました。
コイケ でもほら、もしかしたらそれは、
お湯で割ったらおいしいかもしれませんよ?
山下 そうか、お湯ならよくとけますよね。
みちこ お湯、あります。
山下 ください、ください。
お湯割りをつくってみましょう(つくる)。
しほ わー、とけたとけたー。
山下 じゃあこれは、しほさん、どうぞ。
しほ わたし?
山下 召し上がってみてください。
しほ あー、葛根湯の匂いみたい。
山下 ほんとだ。
そういえばしょうがって、
漢方薬にずいぶん使われているそうです。
しほ あったまりそう。
いただきまーす。


山下 どうですか?
しほ からーい(笑)。


あやや いいリアクション(笑)。
しほ うん、でも、おいしい。


山下 よかったー。
イトイ あの子のハタチのお湯割りに。
山下 え?
イトイ あの子のハタチのお湯割り(お祝い)に。
山下 はははは‥‥。
 
イトイ いや、山下さんのも、おーたくんのも、
どっちもいいんじゃないですか?
だってそれは、
どっちもしょうがは入ってますから。
山下 シロップづくりに、まちがいはない?
イトイ でも、ぼくのシロップのほうが
おいしいですよ、たぶん。


一同
おおー。
イトイ もう、くそ真面目につくりますから、
こういうものは。
山下 つくり方、きかせてください。
イトイ やっぱりいちばん簡単でうまいのは、
20分ぐらい煮ればいいんじゃないですかね。
で、スパイスなんです。
シナモンとか、クローブとか、カルダモン。
しょうがの唯一の弱点は、
「ちょっと芋臭い」ことなんですよ。
煮込んでると、素直にいい匂いだけじゃない
何かがあるんですね。
そこにスパイスが効くのよ。
高級感が出るっていうか、
なにせ芋臭さがなくなるんです。

クローブは5粒くらい、
カルダモンもやっぱり5、6粒ですかね。
一緒に煮込むんです。
シナモンはこうやって、
パーンと(手を打つ)やって入れちゃう。

イトイ スパイスはね、いいんですよ。
でも下手すると、カレーになっちゃうかなって。
一同
カレー?(笑)
イトイ それだけは気をつけたいなと。
カレーになるタイプのスパイスがあるんだよ、
クミンとか。
まあ、いずれはその辺も
やってみようと思ってるんだけどね。
つまり「インドしょうがシロップ」
っていうのもあると思うから。
クローブにクミン、みたいなことすれば、
ちょっとインドになるんだと思う。

イトイ あと、しょうがのスライス。
山下さんのは、
シロップの中にスライスを漬けたままだけど、
ぼくは保存食にしたいっていう
気持ちがあるんで、別にして干しちゃうんです。
ザルに並べて干しちゃう。
で、まだ生乾きのやつを袋に入れて、
そこにグラニュー糖をバーンってやって、
バババーって振ると、
スライスにグラニュー糖がバーッとまぶされて
いい感じのお菓子になるんですよ。

コイケ 糸井さんが、いつも持ち歩いてらっしゃる。
イトイ そう、小袋に入れて。

まあ、とにかく、
しょうがシロップはたくさんつくってますね。
瓶に入りきらないやつは、
容器に入れて、冷蔵庫に入れておくんです。
それでも入りきらない分は冷凍庫に。
冷蔵庫のほうを使い切ったら、
冷凍庫の凍ったやつを移動させて解凍する。
そのローテーションです。

ぼくがいないあいだに、
カミさんがぜんぶ使っちゃったりして。
一同
へええーー。
イトイ うちのカミさん、
これに関してはすごい前向き。
あやや ジャムについてはどうだったんですか?
イトイ いや、それも食べてはいますよ。
リクエストとかしてくるしね。
「今度はあれがいい」とか。
‥‥ああ、そうだ、
そういえば、しょうがのジャムもやりました。
コイケ しょうがで、ジャムも。
イトイ うん。
おいしかったけども、
シロップのほうが役に立つね。
しょうがをジャムにして
よく紅茶に入れたりしてたんだけど、
それだったら、もういっそ
シロップにしちゃったほうがいい。
みちこ ジャムとシロップって
作り方がどうちがうのでしょう?
イトイ しょうがのジャムは、すりおろすのがたいへん。
縦にすると、繊維がグワーッとなって、
おろし板の刃にからみついて
えらいことになっちゃう。
それはまちがいで、断面をすりおろすの。
繊維を壊し切るように、円を描くようにすりおろす。
たて(館?)ひろしじゃなく、まどか(円)ひろしで!
そうすると、ねっとりとした感じになります。

でもね、それができるほど切れる刃金を
持ってる人は普通いないんですよ。
で、ぼくは寿司屋さんにそれをもらったの。
おかげでうまくできたんだけど‥‥
うーん‥‥
果たして、そんなにまでがんばって、
ジャムにする必要があるんだろうかと。


一同
(笑)
イトイ でも、しょうがジャムは、
バターと合うんだよ! バタートースト!
ほんのちょびっと塩を振ったりすると、
ものすごい、うまいの。
一同
ああ〜。
イトイ みたいにね、心を揺らしてさ、
苦労してた時代があったんですよ。
ところがもう、シロップにしたら、
「これでいいや」になっちゃった。
一同
なるほどー。
イトイ あ!(手を打って)、
ジャムのノウハウが生きてることが、
ひとつあった!
あやや お、なんでしょう?
イトイ シロップをつくるとき、
しょうがをスライスするじゃないですか。
で、ボールに入れるじゃないですか。
そこにね、使う分の砂糖を
ぜんぶザーって入れちゃって、
キムチのようにまぶして放っとくの。
半日でも1日でもいいから。
そうすると、ちゃんと砂糖が染み込んで、
なおかつ、
中の水分が、じゃんじゃん出てくる!

一同
へええーーー!
イトイ これはジャムでやってたことなんです。
それに水を足して煮ると、
ぜんぜん出来がいい気がしますね。
山下 それ、糸井さんがつくってるところを
見たいですね、今度。
イトイ 別に、いま言っただけのことですけど、
かまいませんよ、お見せしますよ。
コイケ ぜひ、お願いします。
イトイ いや、けっこうね、
ここまで泳ぎ着くのにはね、
いろいろあったのよ(笑)。
ジャムの海を泳ぎ切ってさ、ここまできた。
一同
(笑)
イトイ ‥‥あ、もう、あったまってきた。
おーた ‥‥あ、ほんとだ。
しほ ちょっとおしゃべりしているあいだに。
山下 ポカポカしてきた。
みちこ しょうがって、
おもしろいですねー。
コイケ そして、さあ、みなさん、
炊き込みご飯ができましたよー。
一同
おおーーーーー!
  (つづきまーす)

2009-11-23-MON

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