SAITO
もってけドロボー!
斉藤由多加の「頭のなか」。

第6回
(前回のつづき)

シーマンって、人間の顔をしている生き物です。
人間の顔がついている魚、とでも思ってください。
このシーマンは、ユーザーの声を聞いて、
説教をしてきます。
いってみれば、「おじいちゃん」や「おばあちゃん」
みたいな説教。
ゲームを立ち上げたとたん、
「こんな時間まで何処いってたんだ!?」
と説教してくるソフト。
だから、これはゲームというよりも、
『存在』みたいな位置付けでしょうか・・・。


copytight 1996-1999Yoot eNtertainment & Vivarium Inc

このために音声認識という技術を使うのですが、
AI(人工知能)とか、ファジー(あいまい)と同じく、
こういう新しい技術っていうのは、
さほど完成度が高くありません。
人間のほうが優秀すぎるから、何かやろうとすると、
逆にバカみたいにみえちゃうわけです。
つまり対話ソフトとか、お話ソフト、なんて
いままでもありましたが、どちらかといえば
『ボケ』るばっかりで、『ツッコミ』は
てんで苦手だったわけです。

で、このシーマンで私が初挑戦しようと思っているのは、
この『ツッコミ』をいかにいれるか、です。
ソフトって、要は命令のあつまりですから、つまるところ、
「こういう入力があったらねこう返せ」
というものを膨大に積み重ねたものです。
だから、『こう言われたら、自分だったら
こう言い返すだろうな』
という自己分析を延々とやって、
それを膨大な時間をかけて編成し、
擬似人格をつくってしまおうという試みなわけです。
それを複製して何万もばら撒いたら、
一人しかいない自分のクローンが、
あちこちで人と対話するわけで、
それはそれはおもしろい事が起きるのでは…、
という期待に胸膨らませているわけです。


copytight 1996-1999Yoot eNtertainment & Vivarium Inc

ここで、直接見えない人を相手に『いかにツッコむか』、
が妙となるわけですが、それはそれは、
生身の人間でしかできない、
いたってアナログな作業となるのです。
Mr.マリックのマジックのようなもんで
「なんでそんなことわかるんだ?!」といった。
いま、それをやっています…。

(つづく)

1999-03-22-MON

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