連載再開第一話
「デジカメ報道ジャーナリスト」
7月4日といえば、アメリカの独立記念日ですが、
西暦2000年のこの日、私にとって、
ちっょとした事件がありました。
皆さんにとっては他愛もない事件ですが、
私にとってはとてもインパクトのある事件でしたので、
そのことを書きます。
その日、新幹線で東京駅についた私を待っていたのは、
これまで見たこともないような大雨でした。
どれくらい凄かったかというと、
東京駅の構内の天井が決壊し、
大量の水がどっと流れ込んでいたのです。
私がその時たまたまもっていたのは、
サンヨー製の「動画デジカメ」なるもので(DSCSX150)、
いわゆるビデオカメラにくらべたら
どうという事のない映像しか撮れないのですが、
邪魔にならない大きさなので、
たまたまその日は持っていたのです。
で、すかさずそのすさまじい風景を
動画で撮影したのでした。
その後、携帯電話で、秘書の女の子に、
無事到着したことを知らせたついでに、
「どこかのテレビ局に電話して、
東京駅構内の天井が決壊した映像を撮った、
といってごらん」
と興味本位で指示すると
「本当にですか!? 飛び込みでですか??」
と怪訝そうに言われたのでした。
しかし、その15分後、TBSの報道部と連絡がとれ、
すぐにピックアップしたいという旨が携帯に入ったのです。
「いわゆる「ビデオテープ」じゃなくて
IBMのマイクロドライブだけど大丈夫かな?」
とその秘書に尋ねると、
「先方は、新品のカメラを買ってでも、
って意気込みでしてたよ」とのことでした。
知人と駅ビルで食事をしているところにバイク便が到着、
カメラごと持って行かれたわけですが、
その40分後に、
「TBSの8時54分のニュースで流れることになりました」
という連絡が入ったのです。
夜10時過ぎに帰社したときには、
カメラはテレビ局からきちんと戻って来ていて、
すべては終わっていました。
そのときの映像が、これです。
(画面をクリックすると動画が流れます。)
編集部註:ウインドウズメディアプレイヤーで配信しています。
方法がわからない人はこちらを参照ください
後日、局から手紙が送られてきました。
そこには映像使用に関する報酬は2万円で、
スクープ映像の場合にはMax200万円までの
用意があるのでこれからもよろしく、
ということでした。
買ったばかりのカメラの値段は44800円、
340MBマイクロドライブは35000円くらいでしたから、
2万円でモトが取れたというわけでありませんが、
とてもハッピーな気持ちになったのです。
(たかだか2万円の収入ですが、駆け出しの
映像ジャーナリストの初ギャラとしては上々です。)
このときの「ハッピーな気持ち」は、
マックにはまっていたときの感覚と凄く似ています。
CD-ROMで電子出版をはじめた時の感覚です。
自分の机上で、別の人生が始まったような感覚。
自分の描いた絵を
有料のギャラリーサイトにアップしたら、
「月々1000円くらい鑑賞料が入ってきた。
制作にかかった費用は10万円だった」
なんて話はザラにあります。
一般的には、こういう人たちは「熱心なマニア」とか
「趣味が昂じて」という言葉とともに表現されがちです。
コミケットも(ネットサイトではありませんが)、
そのひとつの例かもしれませんし、
かつてのMacWorldEXPOもそうでしたが、
自分の作ったものが誰かに買われてゆく醍醐味は、
実は一度味わったら忘れられない最高の贅沢です。
収支、なんていう考え方は、あまり重要ではありません。
ここのところ、
いま各社が価格競争でしのぎを削っている
「インターネット」の宣伝は、
どうも消費することばかりに
重点がおかれているように思えて
つまらないわけです。
プロとまではいかないが、
「あたらしい自分をかなえられる」、
ということになれば、
誰しもがよろこんでパソコンでも
インターネットでもISDNであっても、
その可能性に投資するように思うわけです。
たった1円でも回収できてしまったら、
もっともっと
「第二の人生」は広がるように思える今日この頃です。
かくいう私も、さっそくこの一件の直後、
自分のデジカメをグレードアップし(SX550)、
来たる日に備えている次第です。
第二話につづく
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