SAITO
もってけドロボー!
斉藤由多加の「頭のなか」。

連載再開第二話
「デジカメの法則」

ある晴れた日に、渋谷センター街を歩いていた私は、
重大な事を発見したのです。
それは、写真にあるとおり、プリクラです。
見慣れたタダのプリクラ。
しかし、画面に映っているバーガーキングの文字が、
左右が逆転しているではないですか!!!!!!!
私は、びっくりした拍子に
下の写真を撮ってしまったわけです。
そう、何が重大な発見か、というと、プリクラは、
毎日みなれている鏡を模倣するため、
左右が逆になっていたんですねぇ。
なんということでしょう、ぜんぜん気づきませんでした。
これが自分がかわいく見える秘訣なんですね。
作った人はかなりえらいです。


バーガーキングの文字が、左右が逆転している!!
下が部分拡大図です。



しかし、デジカメというのはすごぉく便利です。
なんでこんなに便利に感じるのかというと、
ちゃんと映っているか確認できるので心配がない。
デジカメを持つようになっての最大の発見事は、
「写真を一番みたい瞬間、それは撮影の3秒後である」
という法則でした。

☆    ☆    ☆    ☆

まだ見ぬ結果を予測するのはカメラマンの職人芸です。
習得には相当な根気と時間が必要だったにちがいありません。
と、そんな話を、「たたき上げのフォトグラファー」を
自称する知人にしたところ、
おもしろい話をしてくれました。
それはただの女子高生にデジカメを配り、
身辺の写真をとらせ、それらをあつめて
そのまま出版しようという試み。
結果は、というと、彼女たちからあつめられた写真は
ほとんど自分の写真だったそうです。
プロの彼曰く、レンズを自分に向けて、
モニターしながら撮った写真は、
どれも予想外によくとれていたそうです。
「彼女たちは、どのアングルとどの表情の自分が
 一番かわいいか、誰よりも知っている」
と彼は、半ばあきれた口調で語っていました。
被写体のことを一番わかっているのが
最高のカメラマンである。
技術は、あたりまえのことを証明しただけなのかも
しれませんね。

次回に続く

2000-09-12-TUE

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