SAITO
もってけドロボー!
斉藤由多加の「頭のなか」。

キス病。

ご無沙汰しておりました。暑い日が続いております。
さて、読者の皆さんの中に、ここ2〜3ヶ月で
左の首を寝違えた人はいませんでしょうか?
多分けっこういらっしゃるのでは?
だとしたらその寝違えは、
たぶん風邪のウィルスによる症状です。

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いまから15年くらい前に、僕は寝違えをしました。
運動をやっていない時に寝違えたのは初めてです。
職場でその話をすると隣の席の後輩も
「あ、偶然ですね、僕もついこないだ寝違えたんですよ」
なんていう。
「へぇー。そりゃ偶然だね」となったわけですが、
ふとした好奇心から部内で聞いて回ったら、
同じような寝違えを起こした社員が5、6人いた。
それでピンときたわけです。「こりゃウィルスだ」と。
今年も、15年ぶりに寝違えをしたわけですが、
「ははぁ、これは」と思って社員に聞いてみたら案の定、
チェーンのように寝違えた症状を自覚する社員が
数名名乗り出たという次第です。

以前にこんなニュースを読んだことがあります。
アメリカの田舎で珍しいウィルスが発見報告された。
このウィルスは唾液感染し、微熱とリンパ腺の腫れ、
そしてほほがすこし赤らむのが特徴だが
症状はそれ以上は悪化することもなく
時間とともに引いてゆく。
実はこの現象はこの地方では
ずっと以前から知られていたそうです。
知られてはいたが、異性と接触しはじめる
思春期の若者に多いことから、
人々はただの成長期特有の現象だと思い込んでいた、
ということです。
感染症と判明した時点でこの地方特有の思春期症状は
「キス病」という名前とともに
見事病気の仲間入りをし知れ渡った、という訳です。

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以前に「現象」の反対語は
「本質」という話を書しましたが、
私たちが目にしている多くの現象
(生理的なものは症候群とよぶのでしょうか)には
ほとんど名前がついていません。
名前のないものというのは存在しているようで
存在していない。誰かが名前をつけない限り
ただの「状況」で終わってしまう。
セクハラという言葉がない時代には
セクハラ行為が存在しなかったのと同じです。

実は、「ゲーム」などという重さも形もないものを
多数のメンバーでつくっていると、
なんとも文字で表現しにくいアイデアやら
不都合点やらがたくさん飛び交います。
長時間飛び交って議論されても
そのままだと言葉の羅列として消え失せてしまいます。
これが「企画」という仕事における
相当なストレスになっておりまして、
議論を重ねても成果が積み重なっていかない。
ですから重要なものには
いちいちへんてこりんな名称をつけるようにしています。
それによってメンバーの意識の中にしっかりと出現する。
ですから、私たちの企画会議では「命名の儀式」という、
よその人がみるとすこしおかしなイベントが
ときどき行われます。

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そうそう、今月の19日から3日間、
麻布十番祭りが開催されます。
今年も「シーマン焼」は出店しますので
どうぞいらしてください。
くわしくはこちらまで。

斉藤由多加さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「齋藤由多加さんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-08-14-SUN

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