もってけドロボー! 斉藤由多加の「頭のなか」。 |
Making Of Odama 第2回「大玉選択画面」と山口晃氏 ゲームには、その分野などによっては 「マップ選択画面」というものが登場します。 大玉には全部で11(+BONUS)のマップがあるのですが、 それを選択する画面には、大玉の世界観に基づいた 次のような合戦図が用いられています。 Odama all rights reserved (C)Nintendo/VIVARIUM 2006 実はこの絵は山口晃さんという 画家の方に依頼して描いていただいたものです。 今回は山口晃さんにこの絵を依頼したお話をします。
山口さんの作品を初めて見たのは 三越百年祭の広告でです。 「コマーシャルにずいぶん変わった絵を使うなぁ」 というのが初印象です。 こんな大和絵を誰が描いたんだろう、 ともぼんやりと思いましたが、 大手代理店のデザイナーだろう、 と勝手に想像してました。 というのも、かつて、鈴木八朗さんという 腕利きの電通のアートディレクターの方が いらしたのですが、 Macが日本に初お目見えした際の水墨画による広告が その方自身によるものでした。 その記憶が甦ったから。 (作者の鈴木八朗さんが昨年末に他界されたことを 本原稿の執筆中に知りました。 謹んでご冥福をお祈りいたします。 http://www.8ro.jp/) ところが後日、その作者が 朝日新聞に紹介されているのを見て驚いた。 作者はなんと三十代の若者です。 それが山口晃さん。 さっそく画集を入手してみると、 おもしろい作品が大量に並んでいる。 何が面白いかというと、 どれもまるで建築家が描くような大和絵だったから。 (かつて自分も建築を専攻していたのに‥‥とほほ) 画廊を通じてお会いした山口さんは、 西へ東へと個展の準備に奔走してました。 「小さいサイズのものならば」という条件つきで、 たった2週間の隙間を犠牲にし引き受けていただいた。 まずは開発途中の仕様書と 画面写真やビデオを見ていただき、 ごらんのとおりに、 一枚の絵に大玉のすべての要素を入れ込んでいただいた。 さすがに仕様書のある絵なんて 描いたことはないにちがいない。 やりにくい仕事だったと思います。 予定よりも大きな絵を描いてくれたのは 私たちのわがままを聞いていただいた結果でした。 でもこの絵のおかげで、 頭を痛めていたゲームの全体像の提示が どれだけ救われたことか。 (大滝秀治さんの声と融合したオープニングは なかなかの傑作です。)
「最後の晩餐」が巨大な壁画だということは ミラノを訪れてはじめて知りました。 写真というのは絵を見たような錯覚に陥れてしまう。 ゲームのようなデジタルアートもしかり。 どんな絵画もブラウン管サイズにはめられてしまうから 怖くもある。製作者の頭には本物の残像があるけれど、 ユーザーはまったく違うスケール感で 見ていたりするから怖いです。 いつかどこかで実物を展示するイベントが できるといいのですが‥‥。 (そんなこんなで「大玉」は4月13日発売です。) 「大玉」のサイトがオープンしました。 まだ作成途中ですがどうぞ見てください。 斉藤由多加の個人Blogはこちらです。 |
2006-03-28-TUE
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