ほめ道を往く。
「ほめられて伸びる派」のためのページ。

「ほめ道」というのは、
なにも視点の特異さのみを特徴とするのではない。
人がほめられないものを、
どうにかしてほめてみせるという、
隠し芸のようなものではない。

対象となるものを、
人々がすでにほめていようと、
誰もほめてなかろうと、
「ほめ道」には関係がない。

ほめたければ、ほめる。それが「ほめ道」。

だって、今回のテーマは「イカ」である。
しかも、一行目にはこう宣言されている。

「イカ」はうまい!!

ああ、なんてありふれた導入だろう。
ここからフランソワーズさんが
どのように世界を広げていくのか、
とくと味わっていただきたい。



第九回
イカをほめる。
〜「イカ」新時代への提言〜

「イカ」はうまい!!
これほどまでにメニューの豊富な食材が
他に存在するだろうか?

「刺身」「煮付け」「バター焼き」「イカ天」
「イカ飯」「リング揚げ」「姿焼き」
「イカ」単品でもこれだけのメニュー。
その他は「シーフードカレー」「シーフードピラフ」
「シーフードサラダ」などなど。
乾き物としても数種類あり、
私たちの生活を豊かにしてくれています。

特に「イカ飯」なんて「イカ」がまんま「容器」ですよ!!
「イカとっくり」のように「風味だけ目当て」で
「イカ」を使う贅沢なものもあります。

そう!「イカ」はシーフード界の陰の王者なのです!!

確かに、派手さは欠けるかもしれません。
「たい」「ひらめ」のように「龍宮城」で「舞踊り」だって
そりゃあ、しやしませんよ!!
でも、「たい」や「ひらめ」は人間界で言えば「タレント」。
所詮イベントでしかないのです。
どんなに、ちやほやされても、いざとなったら
みんな「イカ」のような親しみやすい
「庶民的」な人を選ぶものです。

そんな「イカ」の魅力を裏付けるように
昔から日本語の中にたくさんの「イカ」が隠されています。

これは私の独自の考えですが、まあ、いつもそうですが、
「イカす」「イカれる」「イカがですか」
「イカがなものか」「イカないであなた」など。
ほら、こんなに私たちは「イカ」を連発していたのです。

そして、誰もが気にする
「タコ」との決着に関する問題ですが、
これも今日ここで解決したいと思います。

まず、「姿」。
「タコ」は丸に足八本。
「イカ」は三角に四角に足十本。
造形的な量の多さと足の数の多さにより審査。

「イカ」の勝ち。

メニューの幅の広さでは
「タコの刺身」「タコ天」「タコ焼き」「煮付け」
ほら、もう詰まった。
「タコ飯」って言ったって「タコ」が刻んで入ってる
炊き込み御飯でしょ!!
「イカ飯」ほどのインパクトは残念ながらありません。

「イカ」も「タコ」ももっとメニューはあるでしょうが
パッとでてくる数がもう、遥かに違うでしょ!!

「タコ」に勝つことと「イカ」が素晴らしいことは
全く関係のないことではありますが、
この因縁の決着に関して触れないのは
クリームソーダを出してストローを出さないような
ものなのですからしょうがありません。
ようするに「セット」ということです。

「イカ」の素晴らしさ、お分かりいただけましたか?

こんなに素晴らしい「イカ」。
「タコ」のようにもっと愛着あるキャラにしていく
必要があります。
「タコのはっちゃん」って、
別にキャラクター商品じゃないけどなんとなく
「頭にハチマキ」して「うちわ」持ってるという
万人に共通のイメージがあるでしょ!!

「イカ」もそろそろ、そういうのが必要な時期に
来ていると思います。

白い肌にスマートなスタイルから
「シルクハット」に「ステッキ」で
「イカのセルジュ」とか。
「セルジュ」の「ジュ」は
もちろん「十」の「ジュ」という意味。

こんなにお世話になっている「イカ」ですもの!!

この「イカのセルジュ」を流行らせましょう!!

今日から魚屋で「イカください」というのを
「セルジュ」ください。と言ってください!!

全国の「お魚屋」さんの力を借りて
「おさかな天国」の時みたいに
「セルジュ」ブームを私たちの手で作りましょう!!
来年の「流行語大賞」を目指して!!

さあ、今日から忙しいですよ!!
レッツ!! ビギン!!(BY 村野武範)



「イカ」の勝ち。

かつてこれほど明確に「イカ」の勝利が
宣言されたことがあったでしょうか?

「イカ」の勝ち。

そもそも試合をくわだてたのが誰なのか、
相手の「タコ」はどんな気分なのか、
ジャッジをくだす立場とはなんなのか、
そういったことを考え始めるのは愚かです。

「イカ」の勝ち。

そう、とっくに勝負は
ついてしまったではありませんか。
いま、あなたの目の前で。
もちろん、あなたは覚えていますね。
勝負に勝ったのは、どちらでしたか?

「イカ」の勝ち。
「イカ」の勝ち。
「イカ」の勝ち。
そう、そのとおり。
また来週、お会いいたしましょう。

イラスト:さとうみどり

2003-12-02-TUE


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