ほめ道を往く。
「ほめられて伸びる派」のためのページ。

ほめるほめないはさておき、
いや、「ほめ道」なのだから、
さておいてはいけないのですが、
あえて、ほめるほめないはさておき、
「ほめ道」の魅力のひとつは
フランソワーズさんの自由奔放な文体です。
なにがどうしてそうなるのだかわかりませんが、
勢いのままに、我々は結論へと導かれ、
「そうかもしれない」と
わけもわからず納得してしまうのです。
そんな無軌道な濁流に、
今日も身を委ねてみましょう。



第三十四回
美容院をほめる。
〜綺麗になるのは戦いだ!〜

今日、「美容院」に行ってきました!

「美容院」はいいねーー!!
行くまでは「あー、めんどうくさいー」なんて
思うけど、店内に入ると急に「きれい」になったような
気分になるんだよねー。

主婦なんてさー、別にそこまで自分にかまわなくっても
誰かに迷惑かけるわけじゃないし。
はっきり言って、誰も見てないし。
正直、誰からも期待されてないし。

ああーー!! やめてーー!!
今に見てなさいよ!!

ということで、今日は「美容院」に行って来ました。

「びよういん」と「びょういん」って似てるねー!
それは単なる偶然ではないかもしれませんよ!

常々、折に触れ、しばしば感じてたのですが
「美容院」って「手術室」みたいだと思わない?

「髪は女の命」と昔から言いますが
その「命」を救ってくれるのが「美容院」。

どんな「瀕死」の髪も「美容院」に行けば
命を吹き返すでしょ?

「命の現場から」ってやつなのよ!

救ってくれるのは「髪」だけじゃないの。
「女」としての「命」も救われるのよ!

きれいになって「命拾い」をするのはもちろんだけど
まず、何がいいかって
あの「美容院」の空気!

おしゃれなサロンで、おしゃれなスタッフさんたちに
どこかの「貴婦人」のように丁寧に扱われ
シャンプーの香に包まれて、いい気持ち!
身も心もリラックス♪
この「空気」だけで「女」の「命」は2週間延びます。

もちろん、あの「てるてる坊主」みたいなケープと
ターバンみたいに巻いたタオルで鏡の前に座った時は
「ゲゲゲ!! ここで、地震が起こったら、悲惨だーー」
って感じますけど、この恥ずかしい姿を目に焼き付けてこそ
「己を知り」そして
「美しくなってやるぞ!」と闘志が燃えるのです!
そして、その姿を美容師さんは知っています。

ね、これって「手術室」と一緒でしょ?

素っ裸で体毛とか剃られて
そんなわたしをお医者さんと看護婦さんだけが知っている。
おおー、なんか怖い。

そして、「びよういん」も「びょういん」も
すべての「こと」が終わると
来た時とは違う自分になって帰るわけですよ。
「恥ずかしい姿」なんて何もなかったかのように。

そして、貴婦人気分になれる「美容院」では
実は、鏡の前に座ってからが本番なの。
そこでは「己との戦い」が待ち受けています。

それは美容師さんの
「今日は、どのようにされますか?」
という一言でその戦いの火蓋は切って落とされます!

さあ、わたしたちは年甲斐もなく
ポッケに潜ませた「竹内結子」やら
「長谷川京子」などの切り抜きを今、この瞬間
平静を装いながら、出さなければいけないのです!!

鏡の中には「ターバンてるてる坊主」。
しかし、ポッケの中には「夢」が!!

さあさ、さあさ、「はっきりカタをつけてよ!」
「はっきりカタをつけてよ!!」
「はっきりカタをつけてよ!!!」

「やってられないわ」

ということで、「やってられない」のは
きっと「美容師」さんでしょう。

この鏡の中の現実に立ち向かう勇気は
「女」の人生に起こりうる「修羅場」で大いに役立つのです。

「やってられない」とあきれられても
「やってくれ」と言ってください!!

「無理を通せば道理引っ込む」のですから
「引っ込んで」もらいましょう!
そのくらいの強い気持ちがないと、
「女」はやってられないのよ!

戦いの相手は「他人」ではなく「己」です。
この訓練によって「己」を見詰め
「己」に挑戦できるのです!

もしも、「竹内結子」にならずに
「竹内力」になったとしても
それもまた「人生」。
ジタバタしてはいけません。
「あるがままの自分」を受け入れてこそ
美しいのです!!
ホーホホホホ!!

「美容院」は「女のリング」なのよ!!
さあ、立て、立つんだ! ジョーッ!!

時に、リングサイドで丹下のおっさんになり
時に、リングサイドで涙する葉子になり
ひとりで何役もこなしながら
「美容院」で「己」との戦いを繰り広げなければ
いけません! がんばって!

「美容院」へ行く。

そこにはこれだけの「ドラマ」があったのですねー。
本当に、ありがたい「美容院」。
「贅沢なひととき」の中の「厳しい世界」。
「女」を磨くのって、本当に大変ねー!

あなたの「力石徹」はだれですか?




いや、「だれですか?」とか言われても
困ってしまうのですが。
ともかく、「美容院」が
「厳しい戦いの場」であるということは
よくわかりました。
今後は恥ずかしがらずにポッケから
写真を出して見せることにします。
泪橋を逆に渡ることにします。
個人的にはカルロス・リベラが好きです。
コラム界の無冠の帝王、
「ほめ道」を来週もおたのしみに。

イラスト:さとうみどり

2004-06-01-TUE


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