ほめ道を往く。
「ほめられて伸びる派」のためのページ。

ああ、偉大なる「おばあちゃん」!
なんつったって、
「グランドマザー」とか言うくらいですから!
フランソワーズさんが、大好きな
「おばあちゃん」をほめます。
ひとりの「おばあちゃん」をほめることによって
「おばあちゃん」全体をほめるのです。
なぜか『冬ソナ』も出てくるのです。



第四十六回
おばあちゃんをほめる。
〜80代女性の「実は実話」〜

みなさんの「おばあちゃん」はお元気ですか?
「おばあちゃん」は強くて優しくて
面白くて、みんな大好きでしょ?

わたしのおばあちゃんはもうすぐ90歳。
父方のほうのおばあちゃんはもう亡くなったけど
母方のほうはとても長生きしてくれています。

この、おばあちゃん。
よくうちの実家にも遊びに来るんだけど
最近では話し相手がいないらしく、
寂しがっているので
わたしはおばあちゃんが実家に来たときは
なるべく、おしゃべりしに行くことにしてるの。

90年間の思い出話というのは
そりゃあ、もうおもしろいよー!!

特に何度聞いてもおもしろいのは
おばあちゃん曰く「ロマンス」の話と
おばあちゃん曰く「じいちゃんの浮気」の話。

わたしたちも「女」だもの!
いつか「往く道」として「おばあちゃん」の話は
お互いが生きてるうちに聞いとかなきゃ駄目よ!!
「女の人生」は代々受け継がれていくんだから!

おばあちゃんが言うの。
「フランちゃん、わたしにもロマンスがあったんだよ」って。
「おばあちゃん、その話、聞きた〜い♪」

この話は何度も聞いてるけど、本当にドラマなの。

昔の人は早くに結婚するでしょ?
でも、20歳くらいって「恋もこれから」って時。
おばあちゃんにも、「相思相愛」の男性がいました。
でも、もちろん「清い関係」。
そのころは戦争真っ只中で「恋愛」も命がけ。
だって、相手の男性がいつ戦地に赴くことになるか
わからないもんね。
そんな時、わたしのおじいちゃんとの「お見合い話」が。
昔は「お見合い話」って
今ほど断れるもんじゃなかったみたい。
結婚なんて親同士が決めるもので、
本人に自由はなかったんだよね。

おじいちゃんは「警察官」だったので
「戦争に行かなくていい」という理由で
両親は大乗り気だったそうです。
娘を戦後、「戦争未亡人」にしたくなかったのでしょう。
結局、「お見合い当日」に初めておじいちゃんにあって
その後、すぐに結婚。

「好きだった人にも言ったの?」と聞くと
「言ったけど、みんなそうだから仕方ないのよ」
と言ってました。

なんという「悲恋」!
若い愛し合うカップルが結ばれないなんて!

その、おじいちゃんの妹が
その後、おばあちゃんの弟と結婚。
だから、親戚関係が込み入ってるの。

中には結婚相手が戦死して
親の命令で、戦死した人の弟と再婚した
親戚もいるから、本当にややこしい。
そんな簡単に「シフトチェンジ」できるものなの?

聞きながらいつも「おばあちゃんたち、かわいそう」と
切なくなります。

なんだか、この戦争中の恋愛って
どことなく『冬のソナタ』みたいじゃない?

何がそう感じさせるかというと
「純愛」です!
「純愛」=「清い関係」=「忘れられない」というところ。

前にも書いたのに、また書いてごめんね!
遂に先週は最終回でしたね。
あの最終回にどれほどの
「おばあちゃん」が涙を流したでしょう!
きっと自分たちの遂げられなかった思いと
重ね合わせたと思うなー。

『冬のソナタ』もあれだけドロドロした三角関係なのに
みんな「清い関係」だったでしょ?
現代のお話としては、珍しいよね。
いいのよ! 別に。
そりゃあ、「清らかがいいに決まってる」んだから!
「平和がいいに決まってる」ってキャッチコピーで
昔、広島で「平和コンサート」が毎年あったけど
それとは、関係ないよ!
「清らかがいいに決まってる!」はわたしが考えました。

知ってる? 『冬ソナ』って「おばあちゃん」たちに
絶大な人気があるのを。
「おばちゃん」じゃないよ、「おばあちゃん」!!

最終回まで観て、はっきりと理由がわかったね。
それは「好きなもの同士なのに清らかな関係」で
「生き別れる」からなのよね。
昔は戦争もあったし、親の決めた結婚をしてたでしょ?

でね、すごいのは
おばあちゃん曰く
「結婚式するまで、じいちゃんの顔をよく知らなかったよ」
って言うの。
だから、結婚式の後、新婚旅行くらいで
「こんな顔だったんだー」とか思うんだよ。
で、「夫婦」になるわけ。

よくある、昔の結婚。

でも、ちょっとこれってどう?
「性」のモラルとしておかしくない?

「愛し合うふたり」は「清らかな関係」で
見ず知らずの「結婚相手」とってことでしょ?

こういうのが、あたりまえだったんだよ。

だから、余計にその失った「ロマンス」への
執着が続いちゃうんだろうね。
で、『冬ソナ』にはまっちゃうわけよ!

考えてみて!
「結婚した」とはいえ、よく知らない人に
捧げてしまう、当時の女心。
想像しただけで、身を引き裂かれる思いがするでしょ?
「それがあたりまえ」だったって言ったって
悲しすぎるよね。

現代と昔を比べて
現代のほうが「性」のモラルが崩壊してると
思いがちだけど、実は大っぴらにとんでもないことが
行われていたわけよ!
それも、家族ぐるみで!!
「結婚」とつけば、なんでもアリになるんだもん。
「愛」より「形」ってことなのね。
そんなの、絶対におかしい!

でも不思議と「おばあちゃん」はそんな「おじいちゃん」を
あたりまえに受け入れて、4人も子供生んで
しかも「浮気」で悩んだらしいです。

その上、よくあることとして
「兄」が死んだら「弟」と再婚。

このあたりの「兄弟」で譲り合う感じが
ちょっと『冬ソナ』にも通じてない?
お話の中身は全然違うけど。

「フランちゃんたちみたいに
 好きな人と結婚できるような時代じゃなかったのよ」
と言うので
「でも、結局じいちゃんのこと好きになったんでしょ?」
と言うと
「あんまり好きじゃなかったねー」
って言ってました。
晩年、あんなに介護までしてたのに?

「浮気されたんなら離婚すればよかったのに」
と言うと
「あの時代に離婚なんかして
 生きていけるわけがないでしょ。
 我慢するしかないのよ。
 あんたたちの時代がうらやましいよ」
と言ってました。
「今なら離婚する?」
と聞くと
しばらく考えて「わからないねー」
とのことでした。
なんだか、昔の女ってかわいそう。
何も選べなかったから、今でも選べないんだよ。

にしても、凄いよねー。
「おばあちゃん」って。

戦争経験して、知らない男と結婚して
あんまり好きじゃない男の介護して。
場合によっては弟と再婚までして。
それで
「家族みんなが健康だから、幸せなのよ」とか言っちゃう。
同じ女として本当に大尊敬します!

「その好きだった人と会いたくなかった?」
と聞くと
「会ったよ」
と、これまたびっくりの答え!
でも、ちょっと嬉しい♪

きっと、今の若者より
気持ちの中では激しい恋愛をしていたのかもね。
「純愛」ってそうなのよ、きっと。

とにかく、80〜90代の女たちが
『冬ソナ』で今、熱いの!!
思い出してるのよ、70年間封印してきた
「純愛」をさー。
町で彼女たちを見かけたら
是非、声を掛けてみて!
そして、「ロマンス」の話を聞きましょう!
彼女たちを「暮らしの知恵袋」なんて言っちゃ
気の毒よ!
わたしたちだって、将来そんな風にしか
言われなくなったら嫌でしょ?

女はいくつになっても女よ!
ねー、「おばあちゃん」♪



フランソワーズさんのおばあちゃんが、
ほんとうに素敵だなあと思えてしまうのは
この文章に、おばあちゃんに対する
大きなホメルギーが込められているからでしょう。
ちょっと感動した、というと大げさでしょうか?
来週、またお会いしましょう。

イラスト:さとうみどり

2004-08-24-TUE


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