ほめ道を往く。
「ほめられて伸びる派」のためのページ。

今回、ほめるのは、とある職業です。
その職業はすばらしい、ということです。
おっと、みなさん、
いま、自分の職業がフランソワーズさんに
ほめられるのではないかと思って
ドキドキしはじめましたね?
さあ、緊張の一瞬です。
今回、フランソワーズさんに
ほめられる職業は‥‥‥‥
ジャジャーン! こちらです!



第七十六回
板金屋さんをほめる。
~優しさに包まれたなら~


「キズ・ヘコミ直します!」

先日、車を運転中にわたしの目に飛び込んできた
見慣れた「板金屋さん」の看板。
見慣れているはずなのに、なぜなの?
今、この瞬間、この看板が
わたしの心のやわらかいところを
グワシッと鷲掴みなの。

「キズ・ヘコミ直します!」

キズ・ヘコミ‥‥
キズ・ヘコミ‥‥
キズ・ヘコミ‥‥

うぇ~~~ん‥‥しくしく‥‥
直してください、
わたしの「キズ・ヘコミ」。

「板金屋さん」の看板はわたしに優しく言った。

「キズ・ヘコミ直します!」

あなたこそ、あなたこそ運命の人!
いや
運命の‥‥運命の‥‥

なんだ?

「板金屋さん」かぁーーー。
うん、いいねぇ、
いいですよ♪

前からすごい技術だとは思っていたのよ!

わたしもね、以前マイカーを直したことがあってね、
そのとき、信じられないくらいきれいになってたの。

「魔法のようだなー」と感動しました。

みなさんは「板金屋さん」が
どれほどキズついた車を蘇らせることが出来るかご存知?
そりゃ、あんた、本当にすごいんですよ!!

まあ、車なんて靴代わりだから
わたしとしてはキズもヘコミも味だと思うんですけど、
それでもやっぱ新品の大事な愛車に
ついついうっかりつけちまった「こすりキズ」とか
ついついうっかりつけちまった「ぶつけヘコミ」とか
ついついうっかりやっちまった「ライト破壊」とか
そのとき一緒に破壊した「電柱」とか
(これは実は実話で、
 ぶっちゃけ「板金屋さん」には直せませんぜ)
まあ、「気にしない気にしない、ひとやすみひとやすみ」
の一休さん的なわたしとしましても、
「かっこわるーーーー」と思いますの。
そこんとこ「小市民」なんですよ、恥かしながら♪

でも、そんなこと恥かしがってたら前に進めません!

恋だって恥かしがってたら前に進まないのと同じです!!

恥かしいというのは身勝手なプライドの問題で
じゃあ、今のままでいいのか? と心に問うたとき
「いいわけないじゃん!」と思うならば
恥を捨て、プライドを捨て
行かねばならぬ時があるのです!!
所詮、あなたの恥なんて
宇宙にとっちゃ、ちっぽけなもので
たとえ今日死ぬほどあなたが恥かしい思いをしたとしても
地球は回るし、わたしもお腹をすかせ、
なにも変わらないのですから!

ただひとつ
「恥かしさを乗り越えたあなた」にあなた自身が会える、
それだけの話ですので。

まあ、これはどっちかというと「いい話」ですよ。
「世界を100人の村」に例えたら、
確実に「いい」ほうに入ります。
って、この例えは全く的を射ていないのですが
こうやって、複雑に話を煙に巻いてゆくのは
とても楽しいものなのです♪

で、何の話だったっけ?

あ、そうそう「板金屋さん」ですよ。

その「キズ・ヘコミ直します!」というフレーズって
簡単な言葉のようで、なかなか言えないセリフですって!

「あなたのキズ・ヘコミ、わたしが直してあげるわ」なんて
よっぽどの愛情と自信がないと言えやしませんって!
自信といっても技術じゃなくて
何ていうか「そこまで自分は真剣なんだ」という自信!

「板金屋さん」って真剣に車を愛しているのね♪
きっと、きっとそうよ!
そうに違いない!!

ステキでしょ?
かっこいいでしょ?
男らしいでしょ?

そして、口だけじゃなく
本当に「魔法」のように「キズ・ヘコミ」が消えてるのよ!

やっぱ、真剣な愛(本気LOVE)は
どんな「キズ・ヘコミ」も
直してしまうのね!!
すばらしいお話じゃないですか!

そして、車もあなたも新しく生まれ変わることができます!

よかったね♪

そういうわけで、わたしはあの看板を見た時
一言では言い表せない、
優しさのようなものに包まれたのでありました。

「♪小さいころ~は~神様がいてぇ~」
と、歌いだすほどに‥‥。

あなたの身の回りにも
そっと見守る優しい眼差しが
ほら、そこに♪

気付いてあげてね「板金屋さん」の愛に♪

わたしもあなたの「板金屋さん」になりたいなー。
「キズ・ヘコミ」のある人が好きよん♪




いかがだったでしょうか、今回の「ほめ道」。
宇宙や恋、ユーミンなどを語りながらも、
けっきょくのところ
「板金屋さんはキズやヘコミをきれいに直す」
としか言っていないあたりがアッパレです。
このあたりの潔さは名人芸の領域です。
さて、次回はなにをほめてくださるのでしょうか?
『ルージュの伝言』を聴きながらお別れです。

イラスト:さとうみどり

2005-11-08-TUE


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