『言いまつがい』装丁伝説!
あのへんな本をつくった人たち。
祖父江慎×しりあがり寿×糸井重里
ご存じのように、『言いまつがい』という本は、
裁断がナナメで、表紙が折れていて、
場所によっては穴があいていて、
とにかく、非常におかしな本なのです。
べつな言いかたをすると、
非常にステキな本なのです。
装丁を手がけた祖父江慎さんと、
挿画を担当したしりあがり寿さんに
のんびり語っていただきました。
あちこちふらふら寄り道しますが、
突然核心をついたりするので注意。

最近届いた「言いまつがい」を
携帯でも読めるようにしてみました!
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第1回 だいたい四角い本。

第2回 もうね、浮世絵ですよね。

第3回 字がたくさん書いてある指定書

第4回 できるものはできるよね。

第5回 ぼくの上に上司がいたら困るんですよ。

第6回 いいダメ出し

第7回 本気でものを言う

第8回 自信と信頼関係

第9回 ダメな上司のままでいる

第10回 理想のチームは?

第11回 予算と見合うかどうか

第12回 編集者って大事

第13回 変な本にしてるつもりじゃないんです。

第14回 祖父江慎びっくり装丁解説その1

第15回 祖父江慎びっくり装丁解説その2

第16回 祖父江慎びっくり装丁解説その3

第17回 粘着気質と情熱。

── すっごい野暮なこと訊きますけど、
ふつうじゃない装丁にしようとすると、
コストの問題と、ぶち当たりませんか?
祖父江 ぶち当たりっぱなしですよ。
毎日コストとの戦いですもん。
デザイン作業より、そっちのほうで
時間がたりなくなってしまってますよ。
企画出しても、
だいたいは通らないですね。
── ですよね?  というか、
それが通るときのほうを
知りたい感じなんですけど。
通るときは、どうやって通るんですか?
祖父江 愛と‥‥‥‥粘着気質。
── ね、粘着気質!
祖父江 通らないなら、
なぜそれが通らないか、
どこがそれを通さないか、
っていうのを明快にして、
「じゃ、ここをやめて、
 そのぶんの予算を使って、
 こうするのはどうでしょう?」
って、つぎのプランを出します。
しりあがり ふーん、なるほど!
祖父江 で、それでも通らなかったら、
「じゃ、いまのはナシで、
 新たにこういうプランで
 どうでしょう?」って、出します。
愛をもってくりかえしてゆくと
だんだんと‥‥。
 
しりあがり だんだんと。
祖父江 うん、だんだんと、
向こうのコストと、
こちらのイメージが擦り合ってきて、
「GO!」が出る。
── なるほど。
祖父江 ‥‥情熱さぁ!
擦り合わないときも
たまにあるけど。
一同 (笑)
── なんか、たとえばぼくが、
ふだんあまり自由にできない
若手のブックデザイナーとかだったら、
「祖父江さんは名前があるから
 好きなことできていいなー」
みたいに思っちゃうと思うんですけど、
そういう問題じゃないんですね。
祖父江 う〜ん、でも昔は
とことん通らなかったから‥‥。
でも、あきらめないで、かといって
デザイナーのワガママでもなく、
情熱をもって著者や編集者、
出版社の制作部、
あと印刷・製本の人と
良いものをつくろうって
同じ方向を見られるようになれば
きっと平気ですよ!
そんなふうにつくった本は、
たとえ出来が悪くても
ステキな本になるんです。
プロである必要はないですよ。
── でも、その、プランを
つぎつぎに提示したり、
コストを下げようとするのって、
本のことを
よく知ってるからこそなんですよね。
だからこそ代案ができるというか、
粘れるっていう。
祖父江 最初は何もわからなかったです(笑)。
しりあがり 今まで、何冊ぐらいつくったの?
祖父江 えっと、わかんないけど、
そんなにたくさんはつくってないよ。
あの、ペースが遅いから。
1週間に1冊できないかできるか、
そんなんじゃないかな?
しりあがり でも、1週間に1冊でも、年間50冊?
もう20年くらいやってるでしょ?
50冊×20年って、1000冊だよ?
祖父江 そんなに、ないない。
昔は1冊だけに
1ヶ月以上かけてたし。
‥‥ないないないない。
糸井 半分は確実にありますよね、
きっとね。
 
しりあがり ありますよね、きっとね。
祖父江 ‥‥数えたことないけど、
きっともっと少ない。
しりあがり それさ、ちゃんと数えて、
1000冊目、なんかやろうよ。
糸井 うん。
しりあがり やったほうがいいですよね。
糸井 みんなに千円配るとか(笑)。
しりあがり お札で本つくるとか(笑)。
糸井 パーティだ!
── 損するだけじゃないですか(笑)。
しりあがり あ、そっか(笑)。
糸井 いや、それをみんなが
3千円で買えばいい!
しりあがり あー、そうか(笑)。
 
── ええと、1000冊目はさておき、
最新作が、いちおう‥‥。
祖父江 はい。『言いまつがい』。
いい出来です!
糸井 そうですねー。
── だからこれ、掲載されてる人は
きっとうれしいですよね。
糸井 うん。こういうふうに装丁されて。
しりあがりさんの挿画もあって。
── どうもありがとうございました!
一同 ありがとうございましたー。
(終わりです!)

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2004-03-29-MON

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