糸井 |
まあ、今回堺屋さんにうかがうには具体的に
どういった質問をしていこうかなと
考えたんですけど、インターネット博覧会を、
ひとつのイベント戦略と言いますか、
商品拡販戦略として、堺屋さんの立場から、
どうすればうれるのかということを
うかがいたく思います。・・・まあ、今は、
いろんな点のようにひろがっているものを
つなげる段階じゃないのかもしれないですけど、
「インパクという商品は、まず、売りやすい商品か?」
というところからうかがいたいと思います。 |
堺屋 |
どうですか?糸井さんの感覚的には。 |
糸井 |
固まる商品だと思うんです。
一部、地域限定型の商品ってありますよね。
そこだけで人気のあるものです。
明太子だとか。ああいう商品のようなものが、
バーチャルの世界で起こりうるだろう。
さきほどおききしたら、
テーマ募集のところで、非常に期間が短いですよね。
「あの短い期間で、応募大丈夫だったんですか?」
ときいたら、約3000位あったとうかがいました。
「すごいな」というイメージもあるんですけど、
国民の数からすると3000は少しも多くない。
あるいは今までのヒエラルキーのなかで、
「お上がやっているから、
うちでも何かやらねばあかん」
というような、
いわゆる義務的な古い意識で参加することを
呼びかけているんじゃないかなと。
そういう参加者の数を全部どかしちゃったときに、
その商品が伝わっていくのはどのくらいかと言うと、
ぼくの感じでは3000じゃなくて100か200。
3000と言われたときには、
たぶんこのかたちでは、200だろうと。
ぼくは「売りにくい商品だ」と
今のところは感じているわけです。
つまり、概念を転換させなければならないところで、
例えば今の「命令でやれって言ったところをどかして」
というのはもう既にとんでもない価値転換ですが、
その場合に、自発的に下から浮かび上がってくるものを
拾っていくためには、それこそ、
今ぼくらがやっているこの話しあいのようなものが
必要ではないでしょうか。
例えばうちのホームページに載っていくと、
毎日20万の人が見るじゃないですか。そうすると、
「どうせ国が言うから、何だかわかんなかったけど」
というのが、多少見えてきますよね。
そういうところの戦略が、今のところの「インパク」には
決定的に欠けてることだと思います。
売りにくいのがわかっていても
やらなきゃならないときがありますから。
これを、どう考えるんだろうというのは、
非常にこうクイズとしておもしろいんです。 |
堺屋 |
新しい商品というのは、いずれにしても売りにくい。
しかし売れたら爆発的に売れることもありますよね。
ならば、日本では、例えば薬でも、
改良型の薬品ばかりで飛躍型の薬品は少ない。
ましてや、電気製品といったものになると、
飛躍型のものをつくるのはたいへんだ。
まあ、今度のプレステ2もそうかもしれませんけど。 |
糸井 |
あれも改良型ですね。 |
堺屋 |
日本で飛躍型の商品は何があるのかというと、
まあ新幹線はそうでしょうね、きっと。
あれは世界的に言って、そう。
あとは何がありますかね?
・・・引越しセンターがそうですよね。
あれも日本独自。そして、万博はそうなんですよ。
一方、オリンピックは改良型なんです。
だから、売りやすいんですよ。
万博は一回一回違う創造物だから売りにくいんですね。
だから愛知万博は大変なんですけど。
でも、「インパク」はもっと売りにくい。 |
糸井 |
ほんとに(笑)。 |
堺屋 |
世界ではじめてですから。
それで、インターネットに詳しいひとに来てもらうと、
今のインターネットの使い方、つまり
「便利な」インターネットの使い方になります。
しかし、わたしたちの見出しというのは、
「楽しい」「おもろい」インターネットなんです。
現在では、いまだに「便利な」インターネットの
範囲をこえてないんです。 |
糸井 |
それがお金をとりやすいんです。 |
堺屋 |
「楽しい」インターネットというのは、
おじいさんが見て楽しい、お父さんが見て楽しい、
お母さんが見て楽しい、一家で見て楽しい、
いろいろとそういう要素があって、
特に、さきほどおっしゃったように、
ある地方のひとが見て楽しい、というのを、
数限りなくついてゆくと、
自分の同好の士を探すことができていいんです。
私も、インターネットで同好の士を探すのを
よくやっとんですよ。 |
糸井 |
堺屋さんですと、格闘技とか? |
堺屋 |
そうそう(笑)。女子プロレス。
あれもホームページで調べますよね。
自分の好きな選手の出ているのを探す。
そのときに通信しているひとと、
時に後楽園ホールで会って。
そういう、全国の隠れファンが集まれると
おもしろいと思いますね。
そしたら必ず増殖しますからね。
(つづく)
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