堺屋 |
何万人という大企業は個性がない。
今、個性のないひとが同じ規格に従って
大量生産を築いたのが、日本の現状です。
ところが教育も個性化個性化と言っているけど、
先生のほうは、
「やっぱりみんなと同じことはしなきゃあいかん」
ってゆうてるわけです。
やっと品川区が学区を自由にしたわけですけど、
この「インパク」は、そういう超個性、
個性の極地を引っ張り出したいですね。 |
糸井 |
うれしいですよねー。
つまり、どう時間をつかうのかというところが
ぼくには興味があるんです。
インターネットでぼくは毎日読者と
直にインターフェイスしてますから、
声がきこえてくるわけですよね。
全部職業を持っているわけです、だいたい。
ページでアンケートひとつとっても、
ものすごい熱心に答えてくれるんです。
今まで、ギャランティして、
仕事としてアンケートをとっていたものよりも、
うちで無料でおたずねしたほうが、来るんです。
このエネルギーって、
会社のために使えなかったんじゃないか。
ぼくは「放課後のエネルギー」と呼んでるんだけど、
勉強の嫌いな生徒は、
6時間目の授業が終わってからが「快」の時間ですよね。
それとおんなじことが、インターネットの場合で、
日本が今二重に動いているんじゃないかと思うんです。
つまり、会社のために、何か事業目標があって
そこに歩むための努力。これは、
ギャランティされてるから、やってるぶんだけやればいいな、と。
もうひとつは、自分のため、あるいは、
自分がそれをやっていること自体が楽しいと、
もうひとつの才能を、
おそらく女子プロレスのホームページ
つくっているひとも、会社勤めが終わってから、
会社以上に熱心にやっているわけですよね。
その、放課後と帰社後のエネルギーが、
日本を変えるんじゃないか、と。 |
堺屋 |
しかもね、会社におけるランキングと
帰社後のランキングが違うところが、うれしいんですよ。
国際会議に行っても、
外国代表団の大臣、次官、局長、課長、課長代理がいる。
でも、課長代理が
「わしは国務省では課長代理だ。
でも、ワシントン第**町内では、聖歌隊長だ」
というわけです。この地位の逆転がうれしいんです。
役所では辛抱ですけど、教会でははりきって歌う。
このはりきる時間のひとを、
「インパク」で集めたいですよね。
県のパビリオンでも、
例えば、蝶や恐竜や、いろいろできます。
蝶なら、ぜひとも自分の好きな蝶々を選んでもらって、
単に標本化してもらうだけじゃなくて。
リナックスシステムで、それぞれの自己顕示欲で。
そのかわり優秀なものは表彰しますよ。
表彰したものをまた集めて、DVDに置き換える、
そういう転換をしてゆきますからね。
そこではお金にならなくとも、
そこで1等になったひとは、
次の注文があると思いますよ。
今のインターネットで
リナックスモードでやっているのには、
無料で出してたんだけど、
「夢は世界の有名人」と、
そういう可能性があるのがいいと思う。 |
糸井 |
お話をしていて思ったんですけど、
大阪で万博をやったときには、
目で見える敷地の広さがありましたよね。
修学旅行生で行くにしろ何にしろ、
「あんなところで何かやるよるね」
という街のサークルで、目で見えるものだった。
今度の場合は、例えば蝶々を集めているかたは、
蝶々の同好会のなかでは、
ある程度自足しているわけですよね。
これを、もうひとつステージを、
「あの舞台で踊ってみたい」という
気分にさせるための建設予定地のイメージが
バーチャルにどうつくれるかというあたりが、
今、どうやらカギですね。
つまり、インターネットというのは
必ず点でつながっていますから、
広さを出すことはできない。
すると、どういう舞台が?
(つづく)
|