糸井 |
「ほぼ日」で700人くらいの人から
インパクのアンケートに
協力していただいたのですが、
民間の人が、ものすごい
段差を感じているんですよ。
堺屋さんが民間だった時には
支持をしていた人たちが、
国の人だということで、既に斜めの姿勢で
堺屋さんを見てしまっているんです。
国の代表者の発言だと見てしまっているんです。 |
堺屋 |
ひどく悲しいですね。
そういう見方が日本に拡がっているのは。
私は、今の位置にいるから
言えないことは、まず一つもありません。
就任以来、「政府の失敗」についても、
官僚の嫌う経済見通しも、
はっきり申しております。 |
糸井 |
そうなんですか。
相手の見方が変わっているだけなのかなあ。 |
堺屋 |
その「相手の見方」が
たいへん極端だと思うんです。
私には、言えないことはありませんし、
部下に歯止めをかけたことも、ありません。
守るべき節度は、
位置や立場に関係なく共通です。
ところが世間というのは、
「あなたの立場なら、
そうおっしゃるだろうけれども」
「この質問はあなたの立場では
答えにくいでしょうからいいですけど」
という質問が、よくあります。
それには、腹を立てています。
だからそういう質問が来た場合には、
「いや、その質問には答える!」
と私は必ず言うんです。でもそうすると、
「いやいや、もういいんでういいんです、けっこうです」
こういうのが非常に多い。不愉快です。 |
糸井 |
それは、明解に、ここで言っておきたいですね、 |
堺屋 |
特にテレビがひどい。
放送では、その部分が
カットされていることがあります。 |
糸井 |
ぼくが今堺屋さんを見ていると、
民間にいた時と、何にも変わらないと
思うんですけど、人がそう思っている、
ということは、痛いし、不愉快ですね。
言いたいことが言えなくなりますから。 |
堺屋 |
はい。それから、言ったことの全てを、
「その立場だから言っているんだ」
と取る人もいます。 |
糸井 |
それを、こうして
インターネットでは言えますから、
よかったですね。
今の職に就いている時も、
執筆の連載はできているのでしょうか? |
堺屋 |
この職に就く前からの連載だけはいいのです。
「週刊朝日」はかねてから連載をしているので、
ずっと続けています。 |
糸井 |
そこには、個として書けるわけですね。 |
堺屋 |
そうですそうです。 |
糸井 |
それは、その場があってよかったですね。 |
堺屋 |
ええ。
まだ何とか、ストレスの解消になっていますけれども。
(つづく)
|