堺屋太一さん、
どうしましょう?

経済企画庁に出張しての鼠穴対談

その4 「斜めの姿勢は、悲しいですね」

糸井 「ほぼ日」で700人くらいの人から
インパクのアンケートに
協力していただいたのですが、
民間の人が、ものすごい
段差を感じているんですよ。
堺屋さんが民間だった時には
支持をしていた人たちが、
国の人だということで、既に斜めの姿勢で
堺屋さんを見てしまっているんです。
国の代表者の発言だと見てしまっているんです。
堺屋 ひどく悲しいですね。
そういう見方が日本に拡がっているのは。
私は、今の位置にいるから
言えないことは、まず一つもありません。
就任以来、「政府の失敗」についても、
官僚の嫌う経済見通しも、
はっきり申しております。
糸井 そうなんですか。
相手の見方が変わっているだけなのかなあ。
堺屋 その「相手の見方」が
たいへん極端だと思うんです。
私には、言えないことはありませんし、
部下に歯止めをかけたことも、ありません。
守るべき節度は、
位置や立場に関係なく共通です。
ところが世間というのは、
「あなたの立場なら、
 そうおっしゃるだろうけれども」
「この質問はあなたの立場では
 答えにくいでしょうからいいですけど」
という質問が、よくあります。
それには、腹を立てています。
だからそういう質問が来た場合には、
「いや、その質問には答える!」
と私は必ず言うんです。でもそうすると、
「いやいや、もういいんでういいんです、けっこうです」
こういうのが非常に多い。不愉快です。
糸井 それは、明解に、ここで言っておきたいですね、
堺屋 特にテレビがひどい。
放送では、その部分が
カットされていることがあります。
糸井 ぼくが今堺屋さんを見ていると、
民間にいた時と、何にも変わらないと
思うんですけど、人がそう思っている、
ということは、痛いし、不愉快ですね。
言いたいことが言えなくなりますから。
堺屋 はい。それから、言ったことの全てを、
「その立場だから言っているんだ」
と取る人もいます。
糸井 それを、こうして
インターネットでは言えますから、
よかったですね。

今の職に就いている時も、
執筆の連載はできているのでしょうか?
堺屋 この職に就く前からの連載だけはいいのです。
「週刊朝日」はかねてから連載をしているので、
ずっと続けています。
糸井 そこには、個として書けるわけですね。
堺屋 そうですそうです。
糸井 それは、その場があってよかったですね。
堺屋 ええ。
まだ何とか、ストレスの解消になっていますけれども。


(つづく)


インターネット博覧会「インパク」の助走にあたる
プレサイトがスタートしました。
まだまだ、でしょうが、もうぼくらのチームの仕事が
はじまっているので、どんなもんかいな、と、
見ていたいただけたらうれしいです。(darling 記)
http://www.inpaku.go.jp/index.html

2000-11-03-FRI

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