石川 |
おお!? |
糸井 |
わかんないでしょ。 |
石川 |
これは、遺跡‥‥じゃないか‥‥。
なんですか、これは? |
糸井 |
まったく、ぼくにもわからないんです。 |
石川 |
え!?(笑) |
糸井 |
ここは、いちおう公園なんですよ。
すごく中途半端な公園。
もう、あまりにも半端すぎて、
なんとかしたくなっちゃうんです。 |
石川 |
意識的に撮ったんですよね。
間違えてシャッター押しちゃったとかじゃなく。 |
糸井 |
意識的です。
それどころか、
この「石シリーズ」だけで、
ずいぶん撮ってます。 |
石川 |
ははははは。
この「石シリーズ」で。 |
糸井 |
「石シリーズ」で。 |
石川 |
んーーー、どういうことだろう? |
|
糸井 |
いちおうね、半端な公園だけど、
撮ろうと思えば、絵になる風景はあるんですよ。
それっぽい風景、というか。
でも、それはけっきょく、
撮っても全部つまんないんですよ。
で、おもしろみを感じたのがこの石で、
「なんでこの石はこの位置にあるんだろう?」
っていう、わけのわからなさが、
いちばん引っかかったんですよ。 |
石川 |
石の配置に脈絡がないような・・・。
見てて、なんの秩序も感じないですねー。 |
糸井 |
そうなんですよ。
で、撮って、どうなるわけでもない。
でも、逆に、この中に、
無理矢理、意味を見つけたいなと思えた。
だから、たとえばこれは「石庭」であると。 |
石川 |
あ〜、たしかに石庭といえば、石庭(笑)。 |
糸井 |
この中に無理矢理に美を見つけるとすれば。 |
石川 |
深い世界が隠されていると。 |
糸井 |
美を発見したいなと。 |
石川 |
ははははは。 |
糸井 |
この場所、けっこう長くいましたよ。
おかしいんだもん、やっぱり。
たとえば、この左端の丸い石、
なんでここにあると思う? |
石川 |
おかしいですよね。どう考えても。
うーん。手前の苔の場所を
囲んでくれてたら、まだわかるのに。 |
糸井 |
そうなんですよ。 |
石川 |
うーん。石庭か‥‥。
これは、また、出す写真が難しいですね。 |
糸井 |
すいません(笑)。 |
石川 |
じゃあ、もう、
こっちも、石でいくしかないですね。
これにします。 |
糸井 |
へぇー、こんなものがありましたか。
植村直己さん? |
石川 |
「北極点 グリーンランド
犬そり単独行 植村直巳」
と刻まれてました。敬愛する
植村さんの直筆・・・。 |
糸井 |
もともとは、
色紙かなんかに書いたんですかねぇ。
なんで上野に碑があるんですかね? |
石川 |
いやー、詳しくは知りませんが、
あんまりゆかりはないと思いますよ。 |
糸井 |
上野と植村直己‥‥。
「う」っていうだけか。 |
石川 |
「え」もそうですね。 |
糸井 |
はははははは。
いい広げ方しましたね。 |
石川 |
(笑) |
糸井 |
しかし、2枚並べると、
いっそうわけがわからないね(笑)。 |
石川 |
いや、でも、これが対決だとしたら、
完全に「石庭」の勝ちですよ。 |
糸井 |
ははははは。
なんで撮ったのかなあ、この石。
でも、撮っておくもんだな、
という気持ちもある。 |
石川 |
うん、わかります。 |
糸井 |
あの、子どもとかね、
でたらめになにかをしているようで、
その中にふっと「これいいな」って
思えるのがあったりするじゃないですか。 |
石川 |
ああ、はい。 |
糸井 |
自分の中に、
それが発見できるといいなっていう気持ちも
ちょっとぼくの中にあるんですよね。 |
石川 |
あー、なるほど。 |
糸井 |
だから、ときどき、
「ダメでもともと」っていう感じで
シャッターを押すときがありますね。 |
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石川 |
わかります。わかりますけど、
「ダメでもともと」だとしても、
普通はなかなか押せないですけどね。 |
糸井 |
押せない、押せない(笑)。 |
石川 |
押せないですよね(笑)。 |
糸井 |
「押せない」ってことばはすごくいいね。
人は「押せない」ですよ。 |
石川 |
やっぱり、フィルムだったらそこで1枚
減っていくわけですからね。
その覚悟はいりますよね。 |
糸井 |
「押せない」っていう気持ちのもとは、
白紙を与えられて
「自由に絵を描いてごらん」って
言われたときに困るのと同じで。 |
石川 |
「描けない」とか、「押せない」とか。 |
糸井 |
そうそう。 |
|
(続きます) |