糸井 |
お。なるほど。
「都市のオブジェ」シリーズだ。 |
石川 |
ホームレスの家一式です。 |
糸井 |
畳まれた状態なんだね。 |
石川 |
そうですね。
開くと、ホームレスの人の家になる。
これがすべて生活道具。 |
糸井 |
そうだね。
あ、台車に乗ってるんだ。 |
石川 |
いちおう、鍵もかかってますね。 |
糸井 |
ああ、ほんとだ。
へー、おもしろいね。 |
石川 |
なんか、独特の生活感があって、
惹かれたんですよね。 |
糸井 |
取り合わせがおもしろいなあ。
この人たちって、
色を選ぶということをしないじゃないですか。
そこがおもしろいんだと思うんですよね。 |
石川 |
自然の、あったものだけですよね。 |
糸井 |
うん。
だから、セーターが欲しいなと思ったときさ、
「赤が好きだから、赤いセーターを拾う」
っていうことは、基本的にはないわけですよね。
そこが、ぼくらにはないことなのかもしれない。 |
石川 |
ああー。 |
糸井 |
そういう要素を、
ぼくらがもっと取り入れたほうが
いいのかもしれないって思いますね。
選べないことを楽しむというか。 |
石川 |
そうか、そうか。
もう、ゆだねるというか。 |
糸井 |
そうそう。 |
石川 |
たしかに。
自分で好きなものを選んじゃうと、
どうしても片寄りますからね。 |
糸井 |
うん。
自分をつくっちゃい過ぎるんだと思うんです。 |
石川 |
ああー。
人からもらった洋服、
自分じゃ絶対着ないような洋服とかが、
じつは似合ったりして。 |
糸井 |
そういうことですね。
選んだ色じゃないから、
この写真はおもしろくなってるわけで。
だって、こんな色の組み合わせの荷物なんて、
みんな持ってないでしょ? |
石川 |
こっちの家の人なんて、
ブルーシートじゃなくて
オレンジシートですしね。 |
糸井 |
選んでないよね、このオレンジは。
いや、おもしろいなぁ。 |
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石川 |
こういう写真が10個くらいあると
作品になるんでしょうけどね。同じのが。
2つだけだと、まだ弱いんだよな。 |
糸井 |
でも、シリーズとして
作品になりそうな力は、
伝わってきますね。 |
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(続きます) |