第10回 ライブハウスのおもしろさ。

糸井 テレビを観ていて
「バラエティー番組は
 どうして仕事の邪魔なんだ?」
と思ったことがあるんですけど、
そこにも、ジャズの話と同じで
「事件性」があるんですよ、やっぱり。

ドラマに比べると、そこにいる本人が
どうなるかを知らないでやっているという。
タモリ そうですね。
糸井 だから、
つまんなくても観ちゃうんですよね。
そのあたりに、ジャズなものがある。
山下 うん。
で、オーディオを好きな人って、
やっぱりライブハウスを作るよね。

ライブハウスをやるっていうのも、
世の中でいちばん儲からない商売で、
やってはいけないものなんです……
でも、やるんですよね。
糸井 そこに出演する人の
気持ちというのは、どうなんですか?
山下 出演する人は、大よろこび、ですよ。
糸井 「俺の話を聞け」だから?
山下 ええ、もう、
聞いてくれる場所に、
呼んでくれるわけですから
「一晩中、みっちり語って聞かせましょう」
ですよね(笑)。

ただ、席亭(オーナー)はたいへん。
オーディオを好きな人は、
やっぱり、ライブハウスに
別の魅力を発見しちゃうんだろうねぇ。
タモリ うん、やっぱり、オーディオだけじゃ……。
糸井 ぼく、必死に考えているのは、
劇場が欲しいってことなんです。
山下 あぁ……それはくれぐれもお気をつけを、です。
どの人にとっても
「現場を持ちたい」というのは、もう
たとえようもない快楽らしいですがね。
糸井 うん。
そうだと思いますね。

看板番組っていう言いかたがあるみたいに、
タモリ劇場とか、さんま劇場という、
ここでは、ヘタなことはできないぞ、
という名前のついた劇場があったら、
ただの何とか会館とは違うと思うんです。

それがあるのとないのとでは、
やれることの範囲が
ずいぶん違うというか……
ただ、ジァンジァンも潰れたし。
あんなに、おおぜいの人が、
ジァンジァンって言っていたのに。
山下 はい。

だから、
いかに経営がたいへんか、です。
今だってじゅうぶん、
ジァンジァンは名前でいけるのにね。
タモリ ジャズライブの店、
新宿でやってますけど、たいへんですよ。
よく持っているなぁと思う。
糸井 え、タモリさん、やってらっしゃるんですか?
山下 ああ、『J』だ。タモリさん、株主だもんね。
タモリ そろそろ、今年の決算。
山下 (笑)
タモリ 取締役で会に出なきゃいけないんですよ。
そこで
「5万の黒字です」
というと、みんなで
「バンザイ!」
「よくやった!」
といいましたね。
山下 いいなぁ。
 
(つづきます)



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2005-01-04-TUE


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