|
アフリカの音楽が北米に渡ったら
打楽器が禁止されちゃったんですか? |
|
ええ、そうなんです。
そのかわり、ぜんぶ「歌」になって、
ブルースが発達するんです。
でも、カリブ海では禁止されなかったから、
そこでは打楽器文化が独自に発達して
サンバが生まれたりしたんですよ。 |
|
|
|
打楽器禁止って‥‥すごい話だなぁ。 |
|
使用人がオフの時間に何やってもいいとしても、
みんなで集まって、太鼓叩いているとなると、
白人たちには不気味だったかもしれませんよね。 |
|
‥‥なるほど。 |
|
北米のイギリス人の雇い主たちは、
ビシッと禁止した。
でも、カリブ海の国の宗主だった
スペイン人とかポルトガル人は‥‥。 |
|
ま、いいんじゃないの、と。 |
|
らしいですね。
だからカリブには残ったんですよ、
打楽器文化が。 |
|
いやぁ、いまの話だけでもおもしろいなぁ。 |
|
やがて、ニューオリンズという
カリブもヨーロッパも軍楽隊もお葬式もあるような、
ごった煮なところでジャズって音楽が生まれて、
すごくおもしろい歴史を刻むんだけど、
それが、あらためてカリブ海の打楽器文化と
出会うのは、ずっとあとの話なんですよね。 |
|
もともとの場所から別れてったものが。 |
|
出会い直して。 |
|
再会する、みたいな。 |
|
ジャズが打楽器をとり入れるってのは、
スイングジャズの時代より前には
ないんじゃないかな。 |
|
そうか、さらに本格的に交わるのは
デイジー・ガレスピーの、さらにそのあとですね。 |
|
そうなんだよね。
ソニー・ロリンズにも
「セント・トーマス」っていう曲があるし。 |
|
ええ。 |
|
で、1960年代になると
サンバを洗練させていった
「ボサノバ」が出てきますね。
アントニオ・カルロス・ジョビンという人が
ああいうサウンドを集大成したらしい。 |
|
ほう、ほう。 |
|
あの、山下さんが文章に書いてる話、
すっごくおもしろいですよね。
記者会見での‥‥。 |
|
ああ、ジョビンがね。
「いいえ、わたしは
ジャズに教わったんではありません」って。 |
|
教わってない。 |
|
断固、主張してたんですよ。
ヴァーヴレコードの記念式典で。 |
|
|
< 続きます > |