こんどの「JAZZ」、どうする?

第9回 ジャズに教わったんではありません。

糸井

アフリカの音楽が北米に渡ったら
打楽器が禁止されちゃったんですか?

山下

ええ、そうなんです。

そのかわり、ぜんぶ「歌」になって、
ブルースが発達するんです。
でも、カリブ海では禁止されなかったから、
そこでは打楽器文化が独自に発達して
サンバが生まれたりしたんですよ。

 
糸井

打楽器禁止って‥‥すごい話だなぁ。

山下

使用人がオフの時間に何やってもいいとしても、
みんなで集まって、太鼓叩いているとなると、
白人たちには不気味だったかもしれませんよね。

糸井

‥‥なるほど。

山下

北米のイギリス人の雇い主たちは、
ビシッと禁止した。
でも、カリブ海の国の宗主だった
スペイン人とかポルトガル人は‥‥。

糸井

ま、いいんじゃないの、と。

山下

らしいですね。
だからカリブには残ったんですよ、
打楽器文化が。

糸井

いやぁ、いまの話だけでもおもしろいなぁ。

山下

やがて、ニューオリンズという
カリブもヨーロッパも軍楽隊もお葬式もあるような、
ごった煮なところでジャズって音楽が生まれて、
すごくおもしろい歴史を刻むんだけど、
それが、あらためてカリブ海の打楽器文化と
出会うのは、ずっとあとの話なんですよね。

タモリ

もともとの場所から別れてったものが。

山下

出会い直して。

タモリ

再会する、みたいな。

山下

ジャズが打楽器をとり入れるってのは、
スイングジャズの時代より前には
ないんじゃないかな。

タモリ

そうか、さらに本格的に交わるのは
デイジー・ガレスピーの、さらにそのあとですね。

山下

そうなんだよね。
ソニー・ロリンズにも
「セント・トーマス」っていう曲があるし。

タモリ

ええ。

山下

で、1960年代になると
サンバを洗練させていった
「ボサノバ」が出てきますね。
アントニオ・カルロス・ジョビンという人が
ああいうサウンドを集大成したらしい。

糸井

ほう、ほう。

タモリ

あの、山下さんが文章に書いてる話、
すっごくおもしろいですよね。
記者会見での‥‥。

山下

ああ、ジョビンがね。
「いいえ、わたしは
 ジャズに教わったんではありません」って。

糸井

教わってない。

山下

断固、主張してたんですよ。
ヴァーヴレコードの記念式典で。

 
< 続きます >

あなたの質問に、壇上の3人が答えます!

前回の「はじめてのJAZZ」では、
みなさんから募集した「ジャズに関する質問」に、
山下さん、タモリさん、糸井重里が答えるという
コーナーをもうけました。

山下洋輔カルテットの実演もとびだすなど、
たいへん盛り上がった企画だったので、
今回もまた、やりたいと思います!

「ジャズ」についての質問・疑問があったら、
どんなことでもOKですので、
ペンネームをお書き添えのうえ、
メールにて、どしどしお送りください!

質問をおくる
たとえば、前回の「はじめてのJAZZ」には
こんな質問が寄せられました。
ジャズって勉強が必要ですか?
ついきいてしまうCDを教えてください。
ぶっちゃけ、
スウィングするというのが、
いまだにわかりません。
どういった感じなのですか?
なんか、今さらすいません。
ジャズをどうきけばいいのでしょうか?
イメージではソファーなどで座って
足を組み、グラス片手に目をつむり、
音をわかってるふうに
ちいさくリズムを取るというか。
手拍子や合いの手、掛け声などは禁止。
服装は、ドレッシーなんでしょうか?

なお、みなさんからいただいた質問は、
イベントのときだけでなく、
後日、このページでもご紹介したいと思っています。

ジャズについて、3人に聞きたいことがあったら
どうぞお気軽に、お送りくださいね!


2007-10-03-WED
もどる