── | さきほどの質問のつづきで、 同じ方からもうひとつ‥‥ |
いま、さまざまな企業が 「社会貢献」「業界ナンバーワン」などの 経営理念をかかげています。 グレート・フリーのみなさんの経営理念は? (ジファンク) |
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浜野 | 理念ですか。 |
瀧 | それは「夢を与える」的なことですか? |
── | あ、いえあの(笑)。 |
天久 | 「子どもたちの未来、笑顔のために」(笑)。 なしです、僕は、理念ないです。 |
── | 理念はない、と。 |
天久 | うん。おそらく、 あると邪魔なんじゃないでしょうか。 理念は、誰かに聞かれたりして、 あとでついてくるんじゃないかな? ま‥‥用意しといたほうが いいかもしれないですね! |
── | いやいや(笑)。 |
瀧 | みなさん、ほんとうのところは 理念のようなものを お持ちなのかもしれないですけど、 理念を持つことより先に、 まずは、仕事が来ないと仕事にならない、 ということがあります。 理念は、逆に、持っててもしょうがない。 要求されたものに対して 自分が返せるものを返すことが基本にあるから、 フリーにはあんまり理念とかは、 ないような気がする。 |
天久 | 会社や集団だと みんなを団結させるために 理念は必要だと思うんですけど、 個人の理念って、言い方を変えると 単なるワガママとも言えるんです。 |
瀧 | うん。 「こだわり」になるのか。 |
板尾 | ‥‥そうですよね。 そこをホンマに、わかりやすく言うとしたら、 「キャラクター」ですね。 |
瀧 | ああ、そうですね、そうですね。 |
板尾 | 「こいつにやらせたらおもしろい」と、 仕事が来るわけですからね。 僕らにそういう大切なことがあるとしたら、 そこのことのような気がします。 |
天久 | そうですね。 人から声をかけられるときは 理念のすばらしさじゃなくて、 「おまえオモロイから」って感じですからね。 |
板尾 | 「楽しそうやから」とか。 |
瀧 | じゃあ、理念は「おもしろい」かも? |
天久 | 「なるべくおもしろくする」(笑)。 |
浜野 | その「おもしろそう」と思われる キャラクターって、 仕事でどんどん変わっていくんですよ。 |
瀧 | うん、うん。 |
浜野 | 僕は、まだ経験が 2年とか3年なんで 自分のスタンスやキャラが どんどん変わっていくのがわかります。 |
天久 | どんなふうに? |
浜野 | 「ハマケンは モテるキャラじゃなくて 童貞キャラでいこう!」 みたいなことをディレクターに言われて‥‥ そういうのはちょっと 違うんじゃないかなと思ったんです。 僕の理念が(笑)。 |
瀧 | そうやって、向こうに 決められるときもあるんだよね。 「ここ押さえて」って感じで。 |
浜野 | はい。で、そういうのに応えていったりして。 |
瀧 | でも、違うんだったら 無理にやんなくてもいいと思う(笑)。 |
天久 | 自分の責任感でずっと つづけられるんだったらいいけどね。 ハマケンは、本業はミュージシャンだから、 タレントとしてコメントを求められたりするのも ほんとうは嫌だったりするのかな。 |
浜野 | あ、全然大丈夫です。 |
瀧 | 「曲やるんじゃねえんだ」みたいに思ったり。 |
浜野 | うーん、それも特に‥‥ |
── | ジャンルを超えた いろんなお仕事がやってくるなかで、 力配分は、みなさん、どうなさってるんですか? |
瀧 | うーんとね、 「ここで100出してもしょうがないだろ」 というときもあるし、それこそ 「120出さなくちゃいけない」局面もあります。 追い込みのあたりはほんとに 寝る間惜しんで、なんてこともあるんで、 それはほんとに、そのときによりますね。 |
天久 | でもやっぱり、たまには キャパを超えたものも引き受けないと 力になっていかないんじゃないかな。 僕、2年ぐらい前に 瀧さんからプロモーションビデオの アニメの仕事を振られて。 |
── | 電気グルーヴのPVを。 |
天久 | それまでほとんどそういうことを やったことなかったんですけど、 できるかどうかわかんないけど 「いちおうできます」と引き受けたら(笑)、 それはやんなきゃいけなくなって けっこう勉強になりました。 |
瀧 | そう。あれは1年ぐらい、 ずーっと絵を描いてた。 |
板尾 | 僕はそのPV見ましたけど、 あれは大変そうやと思いました。 |
瀧 | 途中で天久の頭に 俺(註:瀧さんのこと)を殺せば もうこれは描かなくていい、 と、浮かんだという(笑)。 |
板尾 | そうね、たまに そういうのをやったほうがいいね。 自分の限界をわかったり超えたり、 思いもよらん感じで、できたりするから。 |
瀧 | うん。着地点がわかんない仕事を引き受けると おもしろいんです。 自分でも 「ここに着地したか!」ということになって。 |
板尾 | 「できるかなあ」と 最初に思ってたことが。 |
浜野 | いまでもそういうのはあるんですか? |
板尾 | 俺はけっこうあるかな。 俺はもともと着地を わけのわからんとこに決めてしまうことが 多いんやろうけどね。 「やったことないけど、まあ、何とかなるやろ」 と思ってやって、 「あ、こうなるんや」 みたいなんは、いまでもやってるなあ。 |
浜野 | なるほど。 そういう仕事が来たときに、 ほんとうに「依頼されてる」という気がしますね。 それは、やっぱり期待されてるわけですから。 |
板尾 | うん、そうですよ。 |
浜野 | 僕にとってはもう この座談会こそがキャパオーバーです(笑)。 いま自体がもう120%(笑)。 (明日につづきます!) |