天久 | 看守の仕事をやりながら描きためた 漫画の原稿を持って 出版社を何軒か回りました。 そして、ある出版社で、 「漫画を多めに入れた本を 新しく創刊するから、 じゃ、新人としてデビューするか!」 と決まったので、 神戸に戻り、辞表を叩きつけまして。 |
瀧 | 辞表。漫画形式の(笑)。 |
天久 | 4コマで(笑)。 で、向こうも、 「おまえはそっちのほうがいい」と。 |
── | 看守の上司も、 薄々は感じていらっしゃったんですね。 |
瀧 | まあまあ、そうだろうなあ(笑)。 |
天久 | そうやって「がんばれよ」という感じで 送り出していただいて、 そこからは、ぼちぼち食えてはいってますね。 まあ、拾い食いとかをしながら。 |
── | ‥‥‥‥それが、 おいくつぐらいのときだったんですか? |
天久 | 20歳くらいのとき。 |
── | 上京されるきっかけは、 その出版社のお仕事1本で? |
天久 | うん(笑)。 連載だったんで「いけるかな」と 思ったんですけど、 その雑誌自体が半年ぐらいで 廃刊になっちゃって、 そこからは、ゴミあさり(笑)。 網の上の雑誌を取ったり、 おもにそういう「出版関係」で暮らしていました。 |
一同 | (笑) |
── | メシの種が、出版関係(笑)。 この4人のなかでは、 天久さんがいちばん、明確に目的を持って 行動した感じがありますね。 |
瀧 | 天久さん、1回就職して、 それを辞めたんだもん。 |
天久 | 本当にやりたかったのは看守ですけどね、 やりたい道をあきらめて、ここに。 |
浜野 | ああ、そうなんですね(笑)。 |
瀧 | 泣く泣く。 |
板尾 | 看守さんって登り詰めたらどこに行くんですか。 |
天久 | 所長。 |
板尾 | 所長ですか。すごいなあ。 |
天久 | 所長は、戦中派とかのお年寄りの人が多くて、 すごい人格者が多かったです。 すごく優しくしてくれました。 |
── | そこをあきらめて、漫画の道へ。 |
天久 | うん。きっと、極端なところを選んだほうが 自分がわかるんじゃないかな、と思います。 |
── | では、つづいての質問にいきたいと思います。 |
グレート・フリーは 親や親類からの風当たりが強そうに 思えるのですが、いかがでしょうか? (ジファンク) |
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板尾 | 親類からか。 |
瀧 | 親類だったらいいじゃん、って感じがします。 社会的に風当たりが 強いのに比べれば。 |
板尾 | まあ、そうですね。 |
天久 | うん、そうですね。 |
板尾 | つまり、親類の風当たりというのは、 「よかれと思っての風当たり」でしょ? 心配してくれてるってことでしょ? |
瀧 | そうそう。 「大丈夫か、おまえ、そんなとこで」 「おまえみたいなもんが」 ということでしょう? 親や親類は、 「おまえがそんなだったら、俺たち恥ずかしいよ」 ってわけじゃないんです。 |
── | 先を心配なさってのことだと。 |
天久 | うん。 |
板尾 | 家が代々何々で、とか、 そんなんやったら別ですけどね。 |
瀧 | うん。「家族全員医者なのに」とかね(笑)、 だったら問題になるかもしれないけど。 |
板尾 | ふつうは大丈夫でしょう。 |
浜野 | ‥‥でも、 みなさん、ご活躍されてますけど、 僕ぐらいのレベルの人は かなりいると思うんです。 いま、葬式とか親類のイベントがあるときには、 「CD出してるんじゃん、すごいじゃん」 みたいなことは言われるんですけど、 この先どうなるのか、 ちょっと心配なところですね。 あの、そんなに別に 風当たりっていうほどじゃないんですけど。 |
天久 | そうですね。 僕も心配はされます。 白い目で見られたりはしないですけど、 でも、田舎に帰るときは、 念のため掲載誌を持って帰ります。 |
── | そういう努力も要りますね。 |
天久 | うん。けっこう応援してくれますよ、 やっぱ、なったらなったでね。 |
浜野 | そうですか。 |
天久 | うん。 (明日につづきます!) |