── | つづいて質問いたします。 |
「ひとりだな、さみしいな」と 思うことはありますか。 (うみねこ) |
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天久 | 僕はありますよ、 ひとりでやってますからね。 だけど、なんかね、 「もうひとがんばり」が できなかったりするんですよ。 誰かが見ててくれたら、 「もうちょっとがんばるフリ」で 結果的にがんばれたり するんですけど。 |
板尾 | そうか。漫画家は、 描いてる現場では 別に誰にも見られない仕事ですもんね。 |
天久 | ギャグを考えて、 早く見せたいけど まわりに誰もいないし。 |
瀧 | ギャグ言ったとこで、 「ワッハッハッハッハ」って笑うやつがいれば、 ペンの力ももうちょっと強くなる? |
天久 | うん。若いときは自分でもウケたりして、 「ギャハハ」って言ったりしてたんですけど いまはね、もうおとなしいもんです。 「人は笑うだろうなー」ぐらいで。 |
板尾 | 確かに、原稿を書いたりしてるときは、 わからないですね。 「これホンマにウケてんのかな」と思います。 一切ライブ感がないから、 ちょっと気持ち悪いですよ。 |
天久 | ないですよ、ライブ感。一切ない。 「現場」、憧れますよ。 だからもう、今日は楽しくて楽しくて。 |
一同 | (笑) |
天久 | フリーの人が集まって プロダクションとかスタジオとか 作ったりするでしょう。 それも、こういうことが もとにあるような気がします。 若いうちは、ひとりでやったほうが 磨かれる場合もあるかもしれないけど、 それだけじゃ足りなくなるから、 集まるのもいいんじゃないかな。 |
瀧 | みなさんは、磨き合う仲間は いらっしゃるんですか。 |
板尾 | まあ、いますね。 |
浜野 | 僕なんかは、メンバーがそうですね。 |
板尾 | みんなでワーワー言うてるなかで 仕事ができていったりとか、 そういうのはいいと思うね。 |
瀧 | 「あ、そうなったか」 なんて、全員で言いながらね。 それは、おもしろいですよ。 |
天久 | 「ほぼ日」もそういう雰囲気じゃないですか。 人が集まってみんなでワイワイしてて。 |
── | そうですね、 トキワ荘みたいな感じです。 |
天久 | トキワ荘、憧れるなあ。 |
── | 仕事で嫌なことって、ありますか? |
天久 | 「嫌なこと」って、ほとんどが 人間関係じゃないでしょうか。 だから、ひとりだと、ないです。 落ち込むことはありますけどね(笑)! |
浜野 | 僕は一度、ものすごい大一番で 大失敗しちゃったことがあるんです。 つまり、ぜんぜんよくないライブを 大きな舞台でやっちゃった。 そのあと、ライブがずっとなくて、 仕事もあんまりない状態がつづいて、 そのときはちょっと 旅行に出かけました。 |
板尾 | かわいいなあ、それ。 |
天久 | ひとり旅? |
浜野 | いえ。 |
板尾 | かわいいなあ(しみじみ)。 俺は、落ち込むことは いまはあまりない。 |
瀧 | うまくいかないときとか、 「なんか違ったな」なんてときもありますけど、 それは、考えてもしょうがないから 考えないようにしています。 何をやっても取り返せないし。 |
板尾 | その次にこうならないように、 ということだけ パパッと考えて、もう忘れます。 |
── | じゃあ、その日1日 なんだかぼんやりしちゃったな、ということも ありませんか。 |
天久 | ないです。 僕は、人のせいにします。 |
瀧 | 「あの編集者が!」とか。 |
天久 | そう。 「俺が悪いみてえじゃないか」って(笑)。 |
瀧 | 「俺に恥かかせるな」 |
板尾 | (笑)いやいや、 それはでもね、 たいがい悪いんです、向こうが。 いや、そうです、絶対。 |
── | では、現在の仕事をつづけられる理由は? |
瀧 | 僕たちは、ちゃんと車幅感覚があって、 自分を完全に乗りこなしているかというと、 そうじゃない。 自分でも捉えきれないところがあります。 だからつづけてるんだと思います。 自分の、半分遊びのようなところを 発掘しつづけてるんじゃないでしょうか。 |
浜野 | 僕は、なんだかね、やっぱり ちやほやされたい。 |
瀧 | さっきから何回も出てくるね、 「ちやほや」が。 |
浜野 | すごくしっくり来るんですよ。 |
板尾 | そうやね。 ほかの仕事でもきっとそうやと思うけど、 僕らのやってることは、 お客さんあってのことですからね。 もうそりゃあ、絶対そうですよ。 リアクションあってナンボです。 だからやれる。 (明日につづきます!) |