山下 |
‥‥す、すばらしいです。
これが、全種類の動眼ですか‥‥。
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鈴木 |
そうですね、特注の場合をのぞけば、
動眼に関してはそんなラインナップです。
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このコーナー第1回でご紹介しました、
動眼(どうがん)の再登場です。
いきなり、ほぼ日手帳に動眼。

読者の方が送ってくださった画像です。
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わたしはコレに動眼をつけました!
きょときょと動いてかわいい~!
つい、いろいろ書きたくなります!
(しょうちゃん) |
とのこと。
他にもいっぱい、ほんとうにたくさんの、
ご感想をいただいております。
動眼人口、予想以上に増えている様子。
人々のカワイイのツボを押す、動眼。
これをつくっている会社の社長は
さぞかしカワイイもの好きに違いない!
強くそう思い込んだ僕は、
工場の所在をなんとかつきとめ、
ついにこの日、埼玉にある
動眼メーカーへとたどりついたのです。
バスの窓から工場が見えたときには、
驚きと感激ですこし足が震えました。
だって、ほら、これですよ。
さて、それではまず、
動眼の歴史からうかがってみましょう。 |
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鈴木 |
この動眼というものはですね、
昭和20年くらいから生産しているんですよ。
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山下 |
なるほど、スズセイさんではその頃から‥‥。
ほかにつくっている会社はあったんですか?
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鈴木 |
いやいや、ありませんよ、
動眼はわたしのほうで考案したものですから。
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山下 |
え? そうなんですか、
こちらで生まれたものなんですか。
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鈴木 |
ええ、わたしの父が考案しまして、
当時は特許も取得していました。
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山下 |
そうなんですか‥‥。
動眼が日本生まれだとは知りませんでした。
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鈴木 |
当時の動眼はですね、東京都認定の
優良輸出商品だったのですよ。
あの頃は輸出に力を入れてましたから。
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山下 |
そんなに立派な肩書きまで‥‥。
動眼が流行した時期とかあったのでしょうか。
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鈴木 |
これ自体が大流行ということはないですが、
昭和30~40年代はたくさん出ましたね。
それ以降は、まあコンスタントに。
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山下 |
コンスタントに、現在もこれだけの種類が
生産されているわけですね。
ん? これは、ボタン?
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鈴木 |
ええ、糸で縫い付けるんです。
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山下 |
裏がシールのものはないのですか。
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鈴木 |
ああ、そういうのもありましたが、
いまはつくってないです。
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山下 |
‥‥そうですか。
サイズは、こんな感じで。
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鈴木 |
はい、いちばん小さいのが3ミリです。
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山下 |
ちっちゃいなあ、虫の目くらいですかね。
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鈴木 |
そして、大きいのが30ミリ。
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山下 |
はい、これは僕もお世話になっています。
‥‥もっと大きいのはないのですか?
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鈴木 |
特注でなら何度かつくりましたが‥‥
ですがしかし、そんなに大きな目玉をつける
人形とかヌイグルミはあまりないでしょう。
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山下 |
いや、あの、冷蔵庫とか‥‥。
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鈴木 |
冷蔵庫?
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山下 |
じつは僕は、人形やヌイグルミじゃなくて
ただのモノに貼るんです。こんな感じで。
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鈴木 |
‥‥ほう、おもしろいですね。
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山下 |
ありがとうございます。
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鈴木 |
(笑)おもしろい。
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山下 |
(笑)ええと、こちら、
目玉のスズセイということですと、
もちろん動眼以外にも目玉を‥‥。
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鈴木 |
はい、現在はこういう、
クリスタルアイというものが主力です。
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山下 |
なるほど、このヌイグルミがそうですね。
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鈴木 |
目玉をどれにするか、これが微妙なんです。
ちょっとしたことでかわいさが変わります。
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山下 |
そうですよね、目は重要ですよね。
キャラクターものはとくに。
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鈴木 |
国内の正規キャラクター商品の目玉は、
まずほとんど、うちでつくったものです。
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山下 |
え、それは、例えば?
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鈴木 |
まあ、ディズニーのものとか。
あとは、ジャイアンツのマスコットとか、
警視庁のピーポーくんとか‥‥いろいろです。
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山下 |
へえ~、そうなんですかあ。
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鈴木 |
そうしたデフォルメした目玉の他に、
こういうリアルなものもあります。
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山下 |
‥‥すごい。
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鈴木 |
こうした人形の目になります。
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山下 |
うわあ、こ、これはまた‥‥。
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鈴木 |
かごちゃん。
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山下 |
え?
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鈴木 |
いや、あの、モー娘。の。
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山下 |
ああ!
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鈴木 |
似ていると思うのですがどうでしょう。
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山下 |
(笑)たしかに、すこし。
‥‥で、あの鈴木さん、
きょうはですね、ぜひ動眼がつくられている
工場を見学させていただきたいのですが‥‥。
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鈴木 |
ん? いや、それは無理ですよ。
動眼はすべて中国工場ですから。
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山下 |
‥‥‥‥そうなんですか。
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鈴木 |
はい。
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山下 |
とても残念ですが仕方ありません‥‥。
でしたらせめて、きょうは
動眼をゆずっていただくというのは‥‥。
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鈴木 |
ああ、かまいませんよ。
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山下 |
売っていただけますか!
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鈴木 |
1個や2個ではちょっとアレですが、
千個からでしたら。
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山下 |
せ‥‥‥‥。わかりました。
では、に、2千個ください。
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鈴木 |
(笑)そんなに高いものではないですからね。
待ってください、いま電話して用意させます
‥‥‥‥あれ?
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山下 |
すみません。
さっき勝手に僕が貼りました。
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鈴木 |
‥‥‥‥‥‥おもしろい(笑)。
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こうして鈴木社長のおはからいで、
僕はとても安価に2千個の動眼を
手に入れたのでありました。
しかし‥‥勢いで購入したものの、
これだけのものを、どこに貼りましょう‥‥。
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