6月のとある金曜日。 西武新宿線・新井薬師駅から歩くこと5分、 民家を改造した瀟洒な画廊に、僕はいました。 とても静かなお昼の12時です。 「入口の紫陽花がきれいでしたね」 南椌椌さん(53)はそう言いながら 高さ約15cmの物体をバッグから取りだすと、 僕の手のひらに、乗せるのでありました。
吉祥寺で料理店を経営しながら、 絵画、絵本、イラスト、テラコッタ製作など、 幅広いジャンルでご活躍中の 南椌椌(みなみくうくう)さん。 そのお名前をはじめて知ったのは、 2年半ほど前のことでした。 僕が脚本を担当した舞台のポスター画を 描いてくださったのが、南さんだったのです。 その舞台は、南さんがよくモチーフにする、 「天使」をテーマにした物語でありました。 そして、ことし6月。 “南さんの個展開催中”の情報を得た僕は、 「天使はカワイイというテーマで 何かご紹介いただけませんか、ぜひ!」 と、ずいぶん強引に取材を依頼。 この日の初対面が実現したわけです。
2004-06-23-WED