11月上旬、曇り空の木曜日、午後3時。 三鷹駅南口商店街、引きも切らない列ができる、 とあるお店の前に僕はいました。
「さ、あついうちにどうぞ」 末木孝尚さん(34)は、ご商売人らしい 活気あふれる笑顔でそう言うと、 白い紙袋に入ったほかほかの物体を 僕にぽんと手渡すのでありました。
末木孝尚さん(独身)は、 三鷹商店街にある創業50年の甘味処 「たかね」の三代目店長さん。 僕は数年前から、こちらのたい焼きの とりこになっておりました。 店長さんとお話するのは、この日がはじめて。 さて、それでは、 その初対面のシーン、約1時間前へと 時計の針を戻してみましょう。 場面は「はじめまして」のご挨拶直後です。
店頭のたい焼きを焼く場所に入っていく山下哲。 職人スペース独特の緊張感が漂っています。 型に手早く生地とあんこをのせて、 がたごとがたごとと大きな音で型を常に回し、 ころんころんとたい焼きが 生まれていく様を、僕は目の当たりにしました。 ですが、どう考えても僕は邪魔です。 数枚写真を撮ると奥の喫茶室へと移動しました。
2004-11-17-WED