山下 |
コドモサガリ!
いまのはこんなふうになっているんですか!
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瀬戸 |
ええ、コドモサガリはうちの定番でして、
ずっと扱っているうちに、
こんなかんじに進化したんですね。
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山下 |
進化! それは「九印」さんのテーマですね!
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「九印」とは、布製品のブランド名です。
瀬戸けいたさんと、奥様のなおよさん、
おふたりのデザインによる製品が並ぶ
このブランドのお店が吉祥寺に開かれたのは
6年ほど前のこと。
僕は偶然、そのオープンしたばかりの
「九印」に出会っていました。
はじめて目にしたそのブランドのテーマは
「進化とルーツ」。
なるほど、どの製品も生物の形態を
取り入れたデザインでした。
‥‥わかりやすく言いましょう。
「ぜんぶ目玉がついてる!」なのでした。
とりわけ僕が強く魅了されたのが、この
「コドモサガリ」というバッグだったのです。 |
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山下 |
瀬戸さん、きょうは瀬戸さんに
ぜひ見ていただきたいものを持ってきました。
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瀬戸 |
なんでしょう?
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山下 |
(カバンから出す)これです。
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瀬戸 |
ああ! これは‥‥。
おつかいいただいてたんですか。
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山下 |
もう、よれよれですけど(笑)。
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瀬戸 |
いやあ、うれしいです。
なつかしいなあ、すごい初期種ですよ。
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山下 |
いまのとはずいぶん違いますよね。
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瀬戸 |
ええ、こうやって比べてみると、
われながら進化を実感します。
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山下 |
せっかくですから対面させてあげましょう。
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瀬戸 |
あ、いいですね。
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山下 |
では、ごたいめーん。
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瀬戸 |
はははは。
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山下 |
笑ってるようにみえますよね!
おじいちゃんと孫、みたいです。
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瀬戸 |
なるほど、そういう関係ですからね。
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山下 |
おじいちゃん、おんぶー!
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瀬戸 |
(笑)おじいちゃん大変そうですねえ。
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山下 |
‥‥ん? こちらは別カラーですか。
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瀬戸 |
ええ。他にもいまはこんな柄もあるんですよ。
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山下 |
わあ‥‥。
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瀬戸 |
それと、もういまは一匹しか
残ってないのですが、クリスマス前には
こんなアルビノ種が出たんです。
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山下 |
‥‥‥‥か、か、かわいい!
これはまいりました!
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瀬戸 |
かわいいですか。
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山下 |
かわいいですよ! これにかぎらず
コドモサガリはどれもかわいいです。
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瀬戸 |
ありがとうございます。
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山下 |
このフックでつくった手の工夫とか‥‥。
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山下 |
ぶらさがるっていうのが、
いじらしいし、愛らしいです。
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瀬戸 |
ありがとうございます。
ですが、なんと言いますか‥‥
僕も家内も、かわいいものは大好きですが、
つくるときに「かわいくしよう」
という意識はほとんどないのですよ。
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山下 |
そうなんですか。
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瀬戸 |
ひたすら一生懸命、布で「生き物」を
表現しているだけなんです。
‥‥ほら、生き物ってエサを食べれば
排泄もしますよね。
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山下 |
ええ。
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瀬戸 |
からだの中には肉が、内臓が詰まってる。
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山下 |
はい。‥‥そういえばこちらの製品は
口のチャックを開けるとみな、
オレンジ色がみえます。
このモバイルケースも、
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山下 |
こっちのクッションカバーも。
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瀬戸 |
肉、ですよね。
そういうのをひっくるめて
「生き物」を表現したいんです。
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山下 |
なるほど‥‥。
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瀬戸 |
ですが、そんなことを思ってはいますが、
手にした方々が
かわいいと思ってくださるのは、
本当にうれしいんですよ。
やはり、かわいがっていただきたいですから。
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山下 |
かわいがる‥‥たしかにそうです。
こちらのコたちはカワイイだけじゃなくて、
かわいがりたくなるコたちばかりです。
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瀬戸 |
ありがとうございます。ですから
うちでは「買ってください」とは言わず
「飼ってください」と言うんです。
あとは「新発売」ではなく「新種登場」とか、
「製造停止」ではなく「絶滅しました」とか。
愛情を持ってつかっていただきたいので。
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山下 |
生き物、なんですねえ‥‥。
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瀬戸 |
いわゆる「見立て」ですよね。
庭園を川や宇宙に見立てるような、
自分では東洋的なことを
やっているつもりなのですが‥‥。
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山下 |
東洋‥‥。瀬戸さんは東洋的なことに
関心がおありなのでしょうか。
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瀬戸 |
はい、好きですねえ。
小さいころからカンフーをやっているので。
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山下 |
あ、それで! ずっと気になっていたんです。
そのいでたちが。
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瀬戸 |
これですか。
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山下 |
いつもそのような格好で?
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瀬戸 |
ええ、大好きなんです。
何かを生き物に見立てるのも、
カンフーの影響が大きいんですよ。
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山下 |
ん? といいますと?
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瀬戸 |
カンフーでは自分のからだを
鶴とか虎とか龍に見立てますよね。
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山下 |
あ、ジャッキー・チェン!
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瀬戸 |
そうです、ジャッキー・チェン!
あこがれました!
‥‥とにかく人間は古代から
さまざまな動物の動きを模倣して、
それを生活の中に入れ込んできたわけです。
「九印」の源流はそこにあるんです。
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山下 |
なるほどお‥‥。
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瀬戸 |
これが白鶴拳(鶴のポーズ)。
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山下 |
おお。
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瀬戸 |
これが虎拳(虎のポーズ)。
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山下 |
おおー。
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瀬戸 |
そしてこれが龍の拳(龍のポーズ)。
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山下 |
おおおー。
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それから僕らは、コドモサガリに
いろいろな物を食べさせて
写真を撮ることにいたしました。
山下のカバンに入っていた物、
「九印」の工房にあった物、
次から次にパクパクと、
コドモサガリにかぶりつかせます。
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瀬戸 |
携帯を入れるのは
みなさんよくなさってますね。
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山下 |
たのしそうに食べられてます(笑)。
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瀬戸 |
こうした小物もよく食べますよ、
コドモサガリは。
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山下 |
用法と用量をたしかめずに
飲んでますね。
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瀬戸 |
これはコドモサガリの大好物です。
いちばん好きなのはiPodなのですが。
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山下 |
持ってないのです‥‥。なので、
僕も大好物です。のどから手が出ます。
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瀬戸 |
飴をひとりじめですね。
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山下 |
途端にがめつい顔に見えました(笑)。
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瀬戸 |
筆記具なんかは便利ですよね。
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山下 |
で、電卓‥‥(確定申告、なんにも
やってないことを思い出す)。
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瀬戸 |
ああ、これはおしい。
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山下 |
かろうじてくわえたのですが、
口がしまりません。
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瀬戸 |
‥‥で、最後も大物なのですが、
どうでしょうか‥‥。
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山下 |
いけると思うのですが‥‥。
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瀬戸 |
最後に口がしまるかどうかですね。
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山下 |
とりあえず、持たせてみましょう。
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瀬戸 |
‥‥うーん、大丈夫かなあ。
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山下 |
やってみましょう。
‥‥さあ、食べなさい! おいしいよ!
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瀬戸 |
入った!
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山下 |
入った!
では、しめます‥‥。よいしょ。
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瀬戸 |
呑んだ!
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山下 |
はははは、呑んだ呑んだ!
見てくださいよ、これ!
すっかり顔が変わりました!
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瀬戸 |
満足そうです。
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山下 |
ほんとに満足そう(笑)。
いやあ瀬戸さん、きょうはどうも、
ありがとうございました!
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