5月下旬の金曜日、よく晴れた午後1時。 下北沢駅南口から徒歩約5分。 開店前のしずかなカフェに僕はいます。 山井聡さん(36)は、すこしはにかんだ笑顔で 紙製の丸い物体を僕に手渡すのでありました。
2年ほど前の、ちょうどいまくらいの季節。 古き良き時代のアメリカのマグカップの本を つくるために僕は、 様々なショップやコレクターさんたちの間を せっせと渡り歩いておりました。 そして、多くの方々にマグをお借りすることで、 こんなにポップで アメリカンなかわいさに満ちた本が完成。 山井聡さん(独身)との出会いもこの時でした。 ご自身がオーナーを勤める 「TERRAPIN(テラピン)」というカフェには ファイヤーキングのマグがズラリ。 ほとんど山井さんが買い集めたコレクション。 最初に訪れたときは声を出して驚いたものです。 さて、その山井さん、最近は 同じ時代のアメリカのミルクキャップを 収集していらっしゃるのだとか。 さっそくお話をうかがってまいりましょう。 ファイリングされたコレクションブックを、 山井さんがおもむろに開きます。
山井さんが座右の銘を考えているあいだ、 僕は店内の写真を撮らせていただくことに。 平日の昼下がり、大きな窓から差し込む光に マグの並んだ棚がやわらかく照らされています。
山井さんが集中できるように、 約5メートルの距離を保って僕は 店内をしずかにうろうろいたしました。
2005-06-01-WED