北村 |
この写真は売店で撮られたのですね(笑)。 |
山下 |
はい、佐野サービスエリアの売店で。
あまりにかわいかったものですから。 |
北村 |
ありがとうございます。 |
山下 |
最初にみたときは、ほんとに衝撃的でした。 |
北村 |
そうでしたか(笑)。 |
数日前、私用で那須へ訪れた僕は
帰りの東北自動車道、佐野サービスエリアで
この「モーちゃん牛乳」に出会いました。
ご覧のように動眼がつかわれている点も
衝撃の理由だったのですが、とにかく、
「こんなにカワイイ牛乳はみたことがない!」
と、強く感じたのでありました。
帰宅後すぐに製造元へ電話をかけ、
担当のかたが「おじさん」であることを確認。
再度栃木へ赴き、この取材が実現したわけです。
訪れたのは「両毛酪農業協同組合」の工場。
「両毛」は「りょうもう」と読みます。
工場の屋根には牛乳ビンがありました。
さて、「モーちゃん牛乳」ご担当者の
北村秀一さん(既婚)が、応接室のテーブルに
発泡スチロールの箱を4つのせております。
なかにはもちろん、「モーちゃん牛乳」。
お話、うかがってまいりましょう。
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山下 |
僕もひとつ購入したのですが、
レジでこの箱に入れてもらいました。
これはやはり保冷のために? |
北村 |
はい、牛乳ですので。 |
山下 |
家について箱をあけたら、
中にちょこんと入っていて。
それがまた愛らしいんですよ‥‥。 |
北村 |
こんな具合ですね(箱をあける)。 |
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山下 |
そうそう(笑)。
僕が連れ帰ったのも、まさしくこの子でした。 |
北村 |
「スモールモーちゃん牛乳」。 |
山下 |
はい、750mlのモーちゃん。
たしか大きいのもありましたが‥‥。 |
北村 |
こちらですね(箱から出し山下に手渡す)。 |
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山下 |
わ、ずっしり重たい。 |
北村 |
スモールモーちゃんの約倍の内容量、
「モーちゃん牛乳」です。 |
山下 |
これが元祖ですか、かわいいなあ‥‥。 |
北村 |
それと(箱から出し手渡す)、
こちらが「モーちゃん珈琲」になります。 |
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山下 |
コーヒー牛乳。これもまた‥‥。 |
北村 |
で、もう一種類(箱から出し手渡す)、
この子が「おとめちゃん」です。 |
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山下 |
いちご牛乳は、おとめちゃん!
‥‥なぜおとめちゃんなのですか? |
北村 |
栃木県はいちごの産地でして、
「とちおとめ」といういちごがあるので
それにちなんで、おとめちゃんと。 |
山下 |
なるほどー。
おとめちゃん、リボンつけてます。 |
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北村 |
ええ、その子だけシールで。 |
山下 |
牛乳の色でウシのキャラクターが変わる、
この透明な容器のアイデア、すごいですよね。 |
北村 |
ありがとうございます。
ウシと言ってもらえるだけでもうれしいです。
よく「カバ?」などと言われますので。 |
山下 |
いやいや、まちがいなくウシですよ。 |
北村 |
「ムーミン?」と言われたこともありました。 |
山下 |
(笑)そんなことないです、ウシさんです。 |
北村 |
ありがとうございます。 |
山下 |
‥‥あの、せっかくですので、
4種類を並べて写真を撮りますね。 |
北村 |
はい、ではこれをこっちに(動かす)。 |
山下 |
あ、いやそんな、僕がやりますから(動かす)。 |
北村 |
いえいえ、どうかお気をつかわずに(動かす)。 |
山下 |
いやいや、そんな(動かす)。 |
北村 |
この箱もかたづけましょうね(かたづける)。 |
山下 |
すみません、恐縮です(並べ終わる)。
‥‥では、撮りまーす。 |
北村 |
私、横にどかないと‥‥。 |
山下 |
あ、どうぞそのままで! |
北村 |
そ、そうですか‥‥。 |
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山下 |
いいですねえ、こうやって並ぶと。
‥‥このモーちゃん牛乳は、
どういうきっかけで誕生したのでしょう。 |
北村 |
はい、そもそもはですね、
もう7年くらい前になりますか、
サービスエリアの売店の社長さんからですね、
なにか特徴のある牛乳をつくってくれないか
という話がありまして、それで考えたんです。 |
山下 |
このモーちゃんのかたちなどは、
北村さんのデザインなのですか? |
北村 |
ええ、どうせつくるんなら、
カワイイのがいいかなと思ったので。 |
山下 |
どうせつくるならカワイイものを!
すばらしいです!! |
北村 |
(笑)ありがとうございます。 |
山下 |
とうとつですが、北村さんお子さんは? |
北村 |
息子と娘がおります。 |
山下 |
よろこばれたでしょう、
おとうさんがこんなにカワイイものを
つくったのですから。 |
北村 |
そうですねえ、娘は当時小学生でしたから
「おとうさんなにこれー!」なんて、
はしゃいでいましたけれども‥‥。
ああそうだ、お誕生会に
持ってってやったことがありました。
そしたらお友だちがみんな喜んでねえ‥‥。 |
山下 |
それはうれしいですよ、
お誕生会にこれがやってきたら。 |
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山下 |
‥‥そのお嬢さん、いまはおいくつで? |
北村 |
高校生になりました。 |
山下 |
そうですかあ、息子さんは? |
北村 |
もう二十歳でして、
東京で服飾関係の勉強をしております。 |
山下 |
あ、デザイン! デザインですね。
おとうさんの影響でしょうか。 |
北村 |
いやあ、どうなんでしょう(笑)。 |
山下 |
す、すみません、立ち入ったことでした。
‥‥それにしましても、
モーちゃん牛乳のこの容器、
これだけ特殊なかたちですと
開発にご苦労も多かったのでは? |
北村 |
ウシのかたちの容器をつくるのは
資材屋さんの仕事なのですが、
その資材屋さんと1年ほど試行錯誤しました。 |
山下 |
1年。そんなにかかるんですね。 |
北村 |
食品の容器なので法的な規制もありまして。
容器に色をつけるのがダメだったり‥‥。
いろいろ試してできたのが、この木型です。 |
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山下 |
はあー、これをもとに容器をつくるのですね。 |
北村 |
ウシとわかるようにカウベルを持たせました。 |
山下 |
目の部分は、最初からこれでいこうと? |
北村 |
いや、それはですね、たまたまなんです。
試行錯誤を繰り返してるときにですね、
組合長のお孫さんが、
それのついたオモチャを持ってるのを
たまたまみかけまして‥‥。 |
山下 |
これだ!と思った。 |
北村 |
ええ、もうこれしかないと。
ちなみに目は、接着剤を使ってないんですよ。 |
山下 |
え? そうなんですか? |
北村 |
やはり法律で接着剤が使えないのです。
でも、お子さんが口にすると危ないので
とれないようにしなくてはならなくて。 |
山下 |
じゃあ、どうやって(モーちゃんを凝視)。
‥‥‥‥これ、もしかして、埋めている? |
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北村 |
そうなんです、成型した直後、
容器がまだやわらかいうちに、
この目玉を埋めこんでいるんです。 |
山下 |
そんなに細かいご苦労があったとは‥‥。
‥‥あの、北村さん。
北村さんは、この目玉がですね
「動眼」と呼ばれるものであること、
ご存知でしたでしょうか。 |
北村 |
動眼ですか‥‥いや知らなかったです。 |
山下 |
じつは僕、これが趣味のようなものでして、
たくさん持っているのです、このように。 |
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北村 |
‥‥すごいですね。普通に売ってるんですか。 |
山下 |
はい、手芸洋品屋さんに。
で、これをいろんな物に貼って遊ぶのです。
たとえば、この出していただいた
お茶に貼りますと‥‥(貼る)。 |
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北村 |
お。 |
山下 |
途端に、ね。 |
北村 |
‥‥愛着がわいてきます。 |
山下 |
ああ、よかったー‥‥。
北村さんならわかってくれると思ってました。
‥‥ん? でも、この湯のみに対して
この動眼はちょっと大きかったかな‥‥。 |
北村 |
目の大きさひとつで、
かわいさはぜんぜん変わりますからね。 |
山下 |
はい、目は微妙なものです。 |
北村 |
モーちゃんの目を変えたらどうなるでしょう。 |
山下 |
‥‥‥‥え? |
北村 |
ひとつ、試してみてはいかがですか。 |
山下 |
よ、よろしいのですか。 |
北村 |
ええ、どうぞ。私も興味があります。 |
山下 |
それでは(持参した動眼を貼る)。
‥‥‥‥‥‥あ。
‥‥‥‥‥‥こ、こんなことになりました! |
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北村 |
‥‥‥‥‥キンメダイのようです。 |
山下 |
たしかに、キンメダイです、魚の。
‥‥キンメダイちゃん。 |
それから僕はわがままを言って、
牛乳工場を見学させていただくことに。
ガラス越しに作業場を見おろせる部屋へ
案内していただきました。 |
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北村 |
ちょうどいまあそこで
モーちゃん牛乳の作業をやってますね。 |
山下 |
え、どちらで? |
北村 |
ほら、あのいちばん奥です。
ちょっと遠いのですが、見えますでしょうか。 |
山下 |
あ、あちらですね。 |
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山下 |
なるほど、あの人が手にしているのは
モーちゃん牛乳の容器のようです。
もうちょっと近くだといいのですが‥‥。
よし、このあまり高価ではないデジカメの
ズームを最大にしてですね、なんとか‥‥。 |
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山下 |
みえた! おとめちゃんだ!
台にのったおとめちゃんが、
次から次に頭からいちご牛乳を
注入されています!
北村さん‥‥‥‥あれ? |
気がつけば僕はひとりでした。
すこし心細くなりましたが、
北村さんはすぐに再登場。
両手に牛乳ケースを抱えてらっしゃいます。 |
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北村 |
失礼しました。よいしょ(ケースを置く)。
‥‥いや、せっかくですのでね、
モーちゃん牛乳をたくさん並べて
写真を撮っていただこうと思いまして。 |
山下 |
そ、そうですか! うれしいです!
僕はたくさん並べるのが大好きなんです! |
北村 |
では、このテーブルに並べましょう。 |
山下 |
手伝います。 |
北村 |
いやいやいや、私がやります(並べる)。 |
山下 |
いえいえ、たいへんですから(並べる)。 |
北村 |
いやいや、ほんとお気をつかわずに(並べる)。 |
山下 |
いえいえいえ(並べる)。
牛乳ケース、かたづけますね(かたづける)。 |
北村 |
すみません、恐縮です(並べ終わる)。 |
山下 |
‥‥うわあ、これは壮観ですねえ。
では、撮らせていただきます。 |
北村 |
私、横にどかないと‥‥。 |
山下 |
あ、どうぞそのままで! |
北村 |
そうですか。ではすこしポーズを‥‥。 |
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山下 |
すばらしいポーズでした(笑)。 |
北村 |
いやあ、ははは‥‥。 |
山下 |
モーちゃんアップで、もう一枚。 |
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山下 |
ああ、かわいい‥‥。ほんとかわいいです。
北村さん、ありがとうございました!
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