不正解、食べられません!
エゾサルノコシカケ食不適

ぼくのメインの撮影地である、
北海道、青森県、秋田県、岩手県あたりの冬は、
関東より西の気候にくらべると、
寒いし、雪が降るし、とても厳しいので、
きのこ探しはけっこう大変です。

きのこ発見! しかもいい感じ!
と、思って近づいてみたら、
秋に発生した個体のフリーズドライだった、
という、トホホ体験も数知れません(笑)。

し かし、夏はくまさんが怖くて行けなかった場所も、
冬ならスノーシューなどをはいて近づけますし、
冬ならではの美しい森と対面できますし、
結局、春夏秋冬1年中、森を歩いちゃうわけです。

阿寒湖から屈斜路湖へ向かう国道は、
雄阿寒岳の南側を抜け、緩やかな山並みの、
けっこう上の方まで登っているので、道沿いに、
スノーシュー散策に手頃な場所が多々あります。

半分くらい雪に埋まっている駐車帯に車を停め、
防寒対策をして、スノーシューをはいて、
ダケカンバとエゾマツやトドマツが混じった、
真っ白な森に、一歩、一歩、足を進めていきます。

笹薮の中にきりりと立つ、
大きなアカエゾマツを目指して登っていくと、ビンゴ!
幹の下側に大きなサルノコシカケの仲間を発見!
長い年月をアカエゾマツと過ごしてきたからか、
ほとんど木と一体化しているようにも見えますね。

そのきのこ、エゾサルノコシカケは、
エゾマツやアカエゾマツの幹から発生しますが、
樹齢50年以下の若い樹木には見られません。
成木の枯枝の心材部から樹木に侵入し、
樹木本体の幹へと腐朽を進めていくようです。

傘は半円形、平ら〜やや蹄形で、
横経30〜40cm、厚さ15〜20cmと大型です。
(写真の個体は厚さも40cmくらいありました!)

傘の表面は著しい環溝があり、
コケや地衣類が付着している場合が多いのですが、
これがまた、冬の森を歩いていると、
とても美しく感じるわけです。
縁の若い部分は茶褐色、
老成した部分は暗褐色〜黒褐色。

傘の下側は小さな穴が集まった、管孔状です。

食不適。

まあ、カチカチの硬いきのこですから、
とてもとても、食用には向かないかと。

冬の森を歩いていて思うのは、生物の力強さ。
マイナス30度近くになろうという寒さの中、
樹木やきのこはもちろん樹皮上のコケや地衣類は、
ときに休眠しつつも命の灯を保っているわけです。
森はいろいろな細胞が集まってつくった、
ひとつの生命体と言っても過言ではありませんな。

このコンテンツでは、
				きのこの食毒に触れてますが、
				実際に食べられるかどうかを判断する場合には、
				必ず専門家にご相談ください。